"大人のための"漢検準2級勉強法!
大人が漢検を受ける意義
尊敬している人がこう言ったらどう思いますか?
「もっと"ぼんようせい"の高い方法を採用したいんだけれど」
「(あ、これはおそらく"汎用性"と言いたいんだな)」
と間違いに気付いたとしても、面と向かってはっきりとそれを指摘するのもなんだか野暮なことのような気がして、結局その間違いがなかったことにするのが妥当な線でしょうか。
いま、日本語の間違いに対して、世の中はだんだんと寛容になってきていると思います。
語彙の間違い以外にも、たとえば「ら」抜き言葉なんかも言語の自然な変化のひとつとしてみようという意見も強く、日本語の"乱れ"についてうるさいのは専ら一部の人だけのような気がします。
ただ、そういう流れがあるにしても、最初に挙げたような間違いは、周りの自分に対する評価を下げてしまう可能性があります。
いや、はっきり言いましょう。語彙力が"ヤバい"人はバカだと思われてしまうのです!
斎藤孝氏の名著『語彙力こそが教養である』にもある通り、話す日本語によって、その人に対する評価が決まってしまうんです。
語彙豊かに、しっかりとした日本語を話し、周りから一目置かれる存在になる・・・とまではいかないにしろ、ちょっとこの人日本語があれだなと思われないためにはどうすればいいのでしょうか。
それはやはり、日本語力を、もっと言えば語彙を鍛えるしかないんです。
そして、そのために漢字検定が使えるのではないかとぼくは思うんです。
話が飛躍したと思う人がいるかもしれません。
しかし、最近、日本漢字能力検定協会は、いままで小中学生向けのテストだと認知されてきた漢検を、大人の語彙力強化のための試験としてもアピールをしていて、実際、そういう目的で漢検を受ける大人は増えているんです(ぼくの実感調べ)。
ただ、大人になっても小学生と同じように、ただ漢字を暗記して合格不合格で喜んでいる人が多いのが現状です(ぼくの実感調べ)。
大人が受けるからには、徹底的に活用しなければいけません。
今回は、大人のための漢検勉強法について書いていきたいと思います。
ちなみに、級は準2級についてです。これは、実用性を考えると最も適切な級だからです。
"大人のための漢検"心得
漢検勉強法ということで、漢字がみるみる覚えられる魔法の方法、とかを期待した人もいるかもしれませんが、すみません、そういうのは一切この記事では扱いません。
この記事では、表層だけを切り取ったような浅い情報ではなく、もっと深いところまで切り込んでいこうと思うわけです。
ここで、大人のための漢検、2つの心得を示していこうと思います。
①大人は合否を気にしない
先ほども書いたように、大人が漢検受験によって目指すのは、語彙力を中心とした日本語力を上げること。
なので、漢検を受験した結果、自分の日本語力が上がったのかということが唯一重要なことであり、そのほかのことはどうでもいいことなんです。
当然、合格不合格もどうでもいいことになります。別に不合格でも、日本語力が向上していればいいわけです。
合格して嬉しい、不合格でかなしい、そんなことは一切気にせず、目的が達せられたのかだけに着目する。それが大人の漢検。
②大人はプロセスを楽しむ
漢字の勉強というと、良いイメージを思い浮かべる人はあまり多くないと思います。
多くの場合、小学生のときに大量の漢字を練習させられた思い出が原因です。
しかし、それを引きずって、嫌々漢字の勉強をしてはいけないのです。
小学生の時とは違い、大人になった今では、漢字の勉強を楽しめるはずです。
というのも、大人は、語彙が実際に使われる場面に何度も遭遇しているので、小学生よりも、その漢字に対してリアル世界で使われる実感を得ながら学習ができるからです。
また、勉強が進んでいくにつれて、いや、もはや漢検の勉強を始めたその日から、自分の日本語力が上がっていくのを実感していくでしょう。これは単純に楽しいことです。
とにかく、プロセスそのものを楽しんでしまいましょう。
それが大人。
アウトプット力を上げよう
ではここからやっと具体的な勉強方法に移りたいと思います。
まず、漢検を大人が勉強する上で最も重要な原則として、
アウトプット力を上げる
というのを念頭に置いてください。
やはり、しっかりとした語彙力でしっかりとした日本語を"話せる"、"書ける"というのを最も意識すべきです。
話したことや、メールなどに書いたことで、自分の評価を上げていくのが"大人の漢検"における大きな目標でしたね。
漢字の読み方がわかるのも重要ですが、アウトプットまでできればその漢字は読めるので、やはりアウトプットを最重要視すべきなんです。
さて、勉強に使うテキストですが、これに関しては『漢字検定準2級[頻出度順]問題集』の1冊だけです。
この問題集がベスト。
公式から出ている問題集もネットでの評価は高いんですが、四字熟語の意味が載っていなかったり、レイアウトがいまいちだったりしておすすめできません。。
読み・書き・誤字訂正
漢検準2級は、9つの大問で構成されています。
大問1では読み問題が30問、大問6、8、9では書き取り問題が合計45問、大問7では誤字訂正問題が5問出題されます。
誤字訂正問題というのは、
外資系の製薬会社による独専禁止法違反の裁決が注目を集めた。
というように文が載っていて、
専→占
といった具合に間違いを訂正する問題です。
実は、"大人のための漢検"において一番効果を期待できるのはこの3つの大問なんです。
というのも、どれも文と共に出題されるので、文脈の中で漢字の学習ができるからです。
これらの大問は勉強方法は同じです。
- 答えを見る
- 書いて練習
- 声に出して文全体を音読する
まず、考えてると時間がもったいないのでとりあえず答えを見て、それを書いて練習してください。
大事なのが次の部分です。
絶対に"文全体を"声に出して読んでください。
さっきの例だと、「外資系の製薬会社による独占禁止法違反の裁決が注目を集めた。」とすべて口に出してください。
景気の停迷に打開策が求められる。
答えは「停→低」ですが、この問題で「低迷」という漢字を覚えるだけでは不十分です。必ず文全体を音読するようにしましょう。
どんどん音読するにつれて、「景気」「低迷」「打開策」という3つの語彙が身に着くだけではなく、これらが有機的に繋がっていきます。
経済のことは全く関心がないという人でも、忘れたころに、ふとしたときに「景気の低迷」という、おそらく漢検の勉強をしていなかったら一生口にしなかったような言葉がぽろっと口から突然出てくるでしょう。
これは、ただ単にひらがなを漢字に直す学習だけをしていたらなかなか身につかないんです。
文脈の中で漢字を覚え、文全体を音読する。これによってどんどん語彙を伸ばしていきましょう。
ちなみに、読み取り問題だからといって書く練習を怠ってはいけません。どれもいま紹介した3つの手順に従って処理してください。
熟語の構成・対義語・類義語
大問3では、熟語の構成が問われます。
これは、例えば「登山」という漢字は、「山を登る」、つまり下の漢字が上の漢字の目的語になっている、というような知識を問うものです。
大問5は対義語と類義語を書かせる問題です。たとえば「加盟」の反対は「離脱」ですね。
"大人のための漢検"では、徹底してアウトプット力を上げることを目的にしているので、これらの大問はあまり重要ではないように見えるかもしれませんが、実は重要です。
というのも、これらの問題を通して漢字そのものの知識を広げていくことで、結果的にアウトプット力の向上も期待できるからです。
特に、類義語と対義語は気合を入れて学習しましょう。
語彙が横に拡大していくので、話しているときに表現の幅が広がります。
この大問に関しては、さっきとは違い、いきなり答えは見ず、考えて問題をまず解くようにしてください。
四字熟語
大問4は四字熟語になっています。
『漢字検定準2級[頻出度順]問題集』では赤シートで意味を隠しながら四字熟語が勉強できるようになっています。これを活用しましょう。
この勉強だけで合格点が取れるんですが、アウトプット力を上げるのを目指すのが大人のための漢検でしたね。
全ての四字熟語でやる必要はもちろんありませんが、すでに知っていて、かつリアル世界の会話で使いたいなと自分が思う四字熟語を見つけたら、その用例をググって音読しましょう。
たとえば、準2級では「本末転倒」という四字熟語が出題範囲です。よく聞く四字熟語ですが、実際に使ったことのある人は少ないのではないでしょうか。これを使えたらかっこよさそうだな、そう思ったらネットで検索して用例を調べてみるわけです。
ネットでググってみると、
アルバイトに専念して学業を怠るのは本末転倒だよ。
という例を見つけました。
部首
大問2では部首についての問題が10問出題されます。
"大人のための漢検"においては、最もどうでもいいのがこの部首です。
色んな批判がありそうですが、実際、アウトプット力の向上を唯一究極の目標とする"大人のための漢検"において、部首なんて知ったところで何にもならないんです。
なので、ここはスルーしましょうw
どうしても合格できないのではないかと気にしてしまう人も多いかもしれませんが(そもそも大人のための漢検は合否を気にしないんだけれども)、配点が低いですし、適当に書いても何問か当たるので大丈夫ですw
まとめ
というわけで今回は「大人のための漢検準2級勉強法」について書いてみました。
普段の生活の中で、たとえば会社で話すときやメールを書くときなど、しっかりとした日本語を話せて(書けて)いないなと思っている人は結構多いのではないでしょうか。
そういう人は、漢字検定を受験してみるのが良いかもしれません。
だいたい大人になるとみんな日本語力を鍛えることはしなくなるので、ちょっとやれば他と圧倒的な差を付けられますよ!
(大人は漢検何級から受ければいいのかについて書きました!)