中国語をゼロからはじめる初心者におすすめの参考書と勉強法をまとめてみた
今回は全くの初心者が中国語の勉強を始めたい、という場合におすすめの参考書と勉強法を紹介していきたいと思います。
これらの本は、基本的に独学で学んでいきたいという人が、
「最大の効率で中国語の基礎を身に付けるためには一体どうすればいいのか?」
を考えに考え、厳選に厳選を重ねたものです。
- 中検やHSKなどの資格試験に合格したいという人
- 単に日常会話ができるようになりたい人
- 仕事で必要な人
などなど、学習者によって勉強のゴールは様々だとは思いますが、ここで紹介した参考書を正しい方法で消化していけば、どんな目標にしろ、それを達成するために必要な基礎が完成すると信じています。
まずは発音!
外国語を学習する上では、どんな言語をやるにしても発音をいちばん最初に習得しなければいけないというのがぼくの考えですが、中国語に関しては、この"発音"が最も大切だと言っても過言ではありません。
学習の最初の段階で発音の基礎がしっかりできたのかどうかでその後の学習が成功するのかどうかが決まってしまうんです。
超大事なことなのでもう一度言います。中国語で最重要なのは発音です。
なぜ発音がここまで大切なのかというと、中国語では少しでも発音が違うと相手に通じないからです。
これは実際にしゃべってみるとわかるのですが、勉強を始めたばかりのときは、自分が正しく発音できていると思っていても、全く通じないことがあります。
こうなってしまう理由は、中国語の発音がバリエーション豊かであることから説明できます。
つまり、単純に中国語を形成している音の種類が多いんです。
音の種類が多いということは、少しでも発音が違うと、それが別の発音の単語に聞こえてしまう可能性が高いということです。
この意識をまずもつことが中国語学習の第一歩となります。
中国語以外、たとえば英語なんかでは、ある程度発音が違っていても実は結構通じます。
その単語がその単語であると認識される音声の許容範囲というものがある程度あるので、少しくらいズレがあっても意思の疎通ができてしまうわけです。
それに対して、中国語はピンポイントで正しく音を出せていなければ通じないと考えてください。
香港映画を見ていると、よく北京語と広東語の通訳の人が出てきたりしますね。英語ではイギリス英語とアメリカ英語の話者同士では通訳は必要ありませんが、中国語では方言同士でもはや"別言語"なんです。
とまぁ、中国語学習においていかに発音が大切なのかを書きましたが、じゃあ具体的に何をやればいいのかというと、これには『紹文周の中国語発音完全マスター』が最もおすすめです。
- 作者: 紹文周
- 出版社/メーカー: アスク
- 発売日: 2003/03/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- クリック: 3回
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中国語の発音の参考書はいろいろ出ていますが、これが一番おすすめです。すべてはこの1冊から始まると考えてください。
日本語の母音は「あ・い・う・え・お」の5個、子音は10個ありますが、中国語にはなんと母音が39個、子音が21個あります。めちゃめちゃ多くないですか?
この『中国語発音完全マスター』では、まずそれらの発音すべてについて、口の形、開き具合、発生する音を写真と図を使って詳しく説明しています。
さらに各ページの下にはそのページで扱っている発音がCDの音声と一緒に練習できるようになっています。
説明の仕方が非常にわかりやすく、また、CDの音声もこれでもかというくらい発音の仕方を強調し、しかもきれいな声のナレーターを使って収録しているので本当におすすめなんです。
また、第2章では、単語の発音の仕方が練習できるようになっています。
中国語は声調言語であり、四声というシステムによって発音がさらに区別されますが、2つの漢字の組み合わせにおける声調の発音が全パターン練習できるようになっています(何言ってるか全くわからないと思いますがこの本を読めばすぐわかります大丈夫です笑)。
とにかく、この本を使い、
- すべての子音と母音が正しく発音できるようになる
- 単語の発音ができるようになる(2つの漢字の組み合わせの声調)
というのを目指して練習しましょう。
発音特訓は1ヵ月継続させよう!
期間の目安としては、1ヶ月です。
この学習の最初の1ヶ月は、基本的に発音学習のみをやりましょう。毎日、30分~1時間くらいで大丈夫なので、とにかく継続してやることを意識してください。
繰り返しになりますが、中国語学習においていちばん大切なのは発音の習得です。
これをしっかりやるのかどうかですべてが決まります。
中国語の発音は正直難しいですが、この『中国語発音完全マスター』を1ヶ月しっかりやれば、発音は身に付けることができます。
ぼく自身、この参考書に1ヶ月取り組むことで、ネイティブに四声と発音がしっかりしているとお墨付きをもらえるレベルになりました。
ちなみに、発音テキストについては下記の記事でおすすめを3冊紹介しています。
「他の発音テキストも気になるな」
という人はぜひ合わせてお読みください。
文法と単語を覚える
発音の学習が終わってから何をすればよいのかについて書いていこうと思います。
基本的にやっていくことは、
- 文法を覚える
- 単語を覚える
の2つです。
文法というと、学校の英語の授業を思い出してつらくなる人がいるかもしれません。
しかし、英語や他のヨーロッパ言語を学ぶ場合とは異なり、中国語では文法学習が無いに等しいくらい簡単であるという特徴があります。
というのも、中国語の文法学習は複雑な変化形を覚えたりするようなものではないからです。
中国語では、文法学習は、漢字の"並ぶ順番"を覚えることなんです。
英語などの言語は複雑に単語が変化(動詞に~ingとつけたり)しますが、中国語ではそれがなく、単純に漢字を組み合わせていくその"組み合わせ方"が文法学習にあたります。
なので、文法と聞いても恐れる必要は全くありません。
また、個々の単語がわからなければ何も始まらないので、単語集を使っての単語暗記も同時に進めていきましょう。
それと、中国語の文法学習は単純とは言ったんですが、たまにわかりにくい事項が絶対に出てくるので、文法が詳しく書かれた本を1冊用意しておき、たまにそれを参照するという形で使っていきます。
それでは
- 文法を学習する
- 文法でわからないことがあれば調べる
- 単語も同時進行で覚える
という3つそれぞれについて、おすすめの勉強方法を紹介していこうと思います。
文法を学ぶ
文法学習は、基本的に文法(=漢字の並ぶ順番と意味)を覚え、あとはそれを例文を音読していく中で体に染み込ませていく、という方法で勉強していきます。
なので、ここで使う参考書は、文法の解説と、それを使った例文が載っていて、しかもCD音声も付いているものです。
徹底的にリサーチを重ねた結果、選択肢は2つに絞れました。
まずは、『ゼロからスタート中国語』です。
『文法編』と『文法応用編』の2冊が出ていますが、これを使う場合は必ず2冊とも勉強してください。
1冊だけやると中途半端になってしまうので注意。
1冊目の『文法編』から順番にやっていきます。
最初に簡単に発音のトレーニングができるようになっていますが、発音はこの時点でもう完璧になっていますね。飛ばします。
そのあとは、あいさつフレーズから始まり、各文法事項の説明と例文、詳しい解説が載っています。
使う際の注意点としては、必ずCDで音声を聞き、さらに例文を音読してください。中国語では音声がとにかく大事なんです。
さて、もうひとつの選択肢ですが、これは『本気で学ぶ中国語』シリーズです。
実は、個人的には本当はこれがいちばんおすすめです。
ではなぜ、最初に『ゼロからスタート中国語』を紹介したのかというと、『本気で学ぶ中国語』は、タイトルからも想像がつくように、かなり"ガチな参考書"になってます。
分厚い本です。かなりのボリューム感があります。
しかしその分内容はなかり充実しています。
最初にその課のテキストが載っていて、その後に文法事項の解説が続きます。
例文がとてつもなく豊富で、しかもそれらすべてにもれなく音声がついています。
音声を聞いて、自分で音読をすることで、文法を体に染み込ませてしまいましょう。
この本も続編が出ています。それが『本気で学ぶ中級中国語』です。
『本気で学ぶ中国語』をメインで使っていこうという人は、こちらの続編も絶対に消化してください。
ここまでやれば、実用レベルでの文法事項は制覇したことになります。
さきほど紹介した『ゼロからスタート中国語』は、『本気で学ぶ中国語』ほど到達点が高くはありません。
なので、中国語検定で言うところの3級~2級程度が最終目標の人は『ゼロからスタート』を、中検準1級からそれを超えたレベルを目指していく人は『本気で学ぶ』をメインのテキストとして使っていきましょう。
文法を調べるための総合教材
中国語の文法は簡単なものであると書きましたが、時にはどうしても詳しい説明が必要になってしまうときがあります。
そういうときのために、文法のことならなんでも載っている総合教材を1冊手元に用意しておきましょう。
これには『Why?にこたえるはじめての中国語の文法書』を使うのがベストです。
この本は、中国語を勉強する人は全員必ず手元に置いておかなければなりません。超おすすめです。
なかなか分厚い文法書で圧倒されてしまいそうですが、中を開いてみると意外と字が大きく、また、説明も難しい言葉は使っておらず、文体も講義調だったりして非常にわかりやすいです。
本の最後に索引が載っているので、文法テキストで学習をしている最中、どうしても納得のいかない文法事項があれば、そこから調べて該当箇所を読んでいくようにしましょう。
また、これを順番に読んでいくという勉強法もアリです。
普通は、文法書というのは参照して使うもので通読には向かないのですが、この本は読みやすいのでどんどん読んでいくことができます。
文法テキストを使った学習&単語暗記がもちろん学習の中心ですが、たまに勉強に疲れてきたらこの本を読んでみるのも良いでしょう。
おすすめの単語帳
さて、続いて単語帳です。
全く何も中国語の単語を知らない人が一番最初に取り組む単語帳としておすすめなのは、『クラウン 中国語単語600』もしくは『キクタン中国語 入門編』です。
- 作者: 和平,古屋昭弘
- 出版社/メーカー: 三省堂
- 発売日: 2015/03/11
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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- 作者: 内田慶市,沈国威,氷野善寛,紅粉芳惠,関西大学中国語教材研究会
- 出版社/メーカー: アルク
- 発売日: 2008/05/27
- メディア: 単行本
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収録されている単語を見ると、あまり差がないのでどちらを選ぶのかは好みの問題になりますが、個人的には『クラウン』が好きです。例文の質が『キクタン』よりも実用的な気がします。
ただ、『キクタン』は入門編の後にも初級編→初中級編→中級編→上級編のシリーズが続いていて、中検の準1級レベルまで1単語のかぶりもなくボキャブラリーを積んでいくことができます。
なので、上級レベルを最終的に目指したいと思っている人は『キクタン』を使った方がいいでしょう。
(参考記事)
⇒中国語の単語帳おすすめリスト!ランキング形式で紹介します!
⇒『キクタン 中国語』の使い方を徹底解説!これが最良の覚え方だ!
番外編
今まで書いた学習方法があくまでメインなのですが、教科書的なテキストだけでずっと勉強していると、ネイティブが普段使うような会話表現のストックがどうしても足りなくなってしまいます。
なので、日常生活でまさに使いそうな表現が掲載されており、覚えるだけでそのまま使えるような"便利なフレーズが詰まった会話集"を1冊やっておくと効果的です。
おすすめの会話フレーズ集については、難易度と共にランキングトップ10を作ったので下の記事をぜひ参考にしてみてください。
また、ここまで中国語の学習方法について詳しく書いてきましたが、
「いきなり教材を買いそろえて始めるのはちょっと・・・。」
という人もいるかと思います。
そういう方については、まず『中国語のしくみ』を1回ざっと読んでから本格的な学習に取り組むか決めるのがおすすめです。
この本では、中国語を全く勉強したことのない人を想定し、なるべくわかりやすく中国語についてざっくり概要を説明しています。
なので、これから中国語を勉強したいと思っている人が、まずざっとその概観を把握するのにはもってこいの本であるといえます。
まとめ
というわけで今回は中国語をゼロからはじめる初心者の学習方法についてまとめてみました。
もう一度最後に整理しておくと、
- まずは発音をマスターする
- 文法学習&単語暗記
- わからないことは文法書を参照する
- 日常会話表現が不足しがちなのでそれを補うトレーニングも必要に応じて行う
という感じです。
ここまでやればその後にどんな方向に学習を進めようと、基礎がしっかりしているので、目標を楽に達成してしまうと思います。
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