紀伊国屋新宿本店の語学コーナーが最高過ぎてその魅力を語らずにはいられない
外国語の勉強法や参考書レビューを書いているブロガーとして、その情報収集のために普段かなり頻繁に本屋に行きます。
本屋に行くと、最新の本や、話題の本コーナーに行けばどの本が売れているのかを知ることができ、 かなりインスピレーションを受けられるんですよね。
世の中には数多くの本屋がありますが、その中でもぼくがダントツで好きなのが紀伊国屋書店新宿本店の語学参考書コーナーです。
新宿紀伊国屋は、新宿駅から徒歩数分のところにドーンとあるデカい本屋です。
「東京で本屋と言ったらここ」と言ってもいいくらい有名ですね。少なくとも本好きならまず間違いなく知っている本屋でしょう。
8Fの約半分の面積を占めるのが語学参考書のコーナーなんですが、
ここがもう最高の空間なんですよ。
一度入ったら最後、しばらく出てこれなくなります。
というわけで今回は、新宿紀伊国屋語学コーナーのヘビーユーザーのぼくが、その魅力について書いていこうと思います。
※店内の写真については、すべて許可をいただいています
品揃えが豊富
新宿紀伊国屋の語学コーナーは、品揃えがめちゃめちゃ良いです。
そこそこ以上売れてる本なら、まず絶対にありますね。
そんなにすごいことだと思わない人もいるかもしれませんが、語学参考書に関しては「そこそこ以上売れている本が揃っている」というだけでもかなりのレベルなんです。
どこの本屋も語学参考書なんか特別力入れませんからね。
だいたいの本屋の語学コーナーは、それっぽい本を集めてふわっと作ったものばかりで、よく見てみるとスカスカです。
新宿紀伊国屋は英語の参考書が中心ですが、英語以外の外国語についても充実しています。
韓国語、中国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語・・・などの人気のある第二外国語はもちろん、ウクライナ語やビルマ語(ミャンマーの公用語)など、マイナーな言語まで置いてます。最高ですね。
多くの本屋では英語以外の外国語の参考書は"おまけ"程度の扱いですが、紀伊国屋は何種類もの本をしっかりと揃えています。
その充実っぷりたるや、『古典ギリシア語 文典』をポップ付きでフィーチャーするほど。
英語の参考書が中心なので、
「英語が勉強したい」
と思っている人にはもちろんおすすめですが、それ以外の言語を勉強する人にも超おすすめです。
「何か外国語を勉強してみたいな」
と思っている人も、新宿紀伊国屋に行って、色々な言語の参考書をパラパラめくってみるだけで、かなり参考になるはずです。
本の並べ方がヤバすぎる
一般に言って、品揃えが豊富な本屋には「本を漁りにくい」というデメリットがあります。
品揃えが豊富だと、その分本の数が多くなるからです。
しかし、新宿紀伊国屋に関しては、品揃えが豊富なのにも関わらず、ストレスなく本を見てまわることができます。
それどころか、紀伊国屋よりも品揃えが悪い本屋と比べても、本をパラパラと見ながら本棚を回っていくのが抜群に快適です。
品揃えが良い"だけの"本屋の本棚は、多くの場合下の画像のようになりがちです.
(適当に拾ってきたフリー画像)
別に新書だったらこれでもいいんですよ。
新書はレーベルが同じだったらみんな同じ表紙で、本を選ぶ際はタイトルが命ですから。
でも、語学参考書を選ぶときにこういう並べ方をされたら、選ぶ気がなくなりませんか?
ずら~と並ぶ背表紙を見て「いったいどこから手をつけたらいいんだ!」となってしまうでしょう。
ちなみに東京で、新宿紀伊国屋と並ぶ(それ以上?)本屋であるジュンク堂池袋の語学コーナはこの並べ方ですね。
これに対し、新宿紀伊国屋の並べ方はこうです。
(単語集コーナーの実際の写真)
もう一度、先ほどの本棚の画像と見比べてみてください。
もし本屋の語学コーナーに行ったとして、本に手を伸ばす気になるのはどちらの本棚でしょうか?
これはもう10人いたら9人が下の紀伊国屋の本棚を選ぶでしょう。
理由は簡単で、紀伊国屋は本の表紙ができるだけ見えるように並べているからです。
画像の下側を見ていただくとわかると思いますが、平積みも積極的に使うことで、本の表紙の露出を増やしています。
これによって語学参考書の"顔"が見え、また、本棚にぎゅうぎゅうに詰めて背表紙しか見えない場合と比べ、圧迫感が少ないので「手に取ってみよう」という気がおきやすくなります。
また、本棚をよく見ると、背表紙だけが見える普通の入れ方で並べられた本もあることに気づくと思います。本棚の最上段と最下段という、いちばん見にくい場所です。
そして、これらの本は、表紙が見えるように並べられた本と比べるとそこまで売れてはいない本です。
以上ののことから、紀伊国屋は、
- 本棚の目の前に行った瞬間に目に入る場所に、本を表紙が見える状態で置くことで、まずはそれを手に取ってもらう
- それらの本はよく売れている本。一度手に取ってもらえさえすれば多くの人に買ってもらえる。
- それらは買わず、「他のはどうなのかな」と思った人のために、二番目に見やすい場所に同じジャンルの別の本を普通の入れ方で大量に配置する。この時点で、そのお客さんはもう本を選ぼうという姿勢ができているので、背表紙だけ見える状態でも手に取ってもらいやすい。
という戦略のもと本棚を作っていることが予想できます。
つまり、紀伊国屋は、「本棚にただ本を詰める」という方法ではなく、「平積みなど、表紙が見える状態で本を並べることを多用し、隙間に普通の並べ方をする」という並べ方をすることで、本棚を"立体的"にさせているのです。
立体的な本棚は、本屋での体験を立体的なものにします。
実際、ぼくは新宿紀伊国屋の語学コーナーを見ているときは、本屋を"探検している"という気分になるんです。
図書館のように、整然と並べられた本棚に本がぎゅうぎゅうに詰まっていると、すべての本が"平面化"し、本を見ていくという体験が2次元になります。
それに対し、新宿紀伊国屋は、人気のある本なのかどうかということを踏まえた上で2種類の方法で本を並べることで、本棚に奥行きを持たせ、本屋での体験を3次元にするのです。
本のチョイスがすばらしい
本の並べ方だけではなく、「どの本をどういうくくりで並べるのか」というそのチョイスについても新宿紀伊国屋は抜群に良いです。
ぼく自身英語学習ブロガーで、参考書のレビューをずっと書いてきているのでわかるのですが、本の選び方のセンスが良いです(ちょっと上から目線ですね)。
中でも「英語学習法」の棚に、『本物の英語力』という本があったときはすごいと思いましたね。
この本は新書なので、普通は新書コーナーだけにあるはずですが、紀伊国屋の英語学習法の本棚に1冊だけありました。
これは、『本物の英語力』が、
- 英語学習法を扱った本である
- クオリティが高く、おすすめの本である
という2つの情報がわからないとできないことです。
これらは実際に読まないとわからないような情報です。
かなり手間をかけて本棚が作りこまれていることがわかる例ですね。
また、臨時的に作られるコーナーも他の書店とは一味違ったものになっています。
最近見ていいなと思ったのが『総合英語 Forest』と『総合英語 Evergreen』だけを並べたコーナーです。
『総合英語 Forest』は、400万部以上売れている大大ベストセラーの英文法テキストです。
改訂を重ねて長年にわたり売れ続けてきた本ですが、最近、作者(複数)が別の出版社からForestとまったく同じような文法テキストを出すという事件(?)が起こりました。
『総合英語 Evergreen』というテキストです。
この背景にはごちゃごちゃとした大人の事情があるらしいです。
新宿紀伊国屋は、これら2つのいろいろ事情がある2冊を並べ、
「あなたはどっちを選ぶ?」
というコーナーを設けているわけですが、
普通こんなことに注目してコーナー作ったりしませんよ笑。
かなりマニアックだと思いますね。
でも、こういうのを見ると、やはり紀伊国屋の語学コーナーは深いレベルで本屋をデザインしているんだなということがわかります。
店員さんがすごい!
ここまでクオリティの高い本の並べ方ができるのは、紀伊国屋が膨大な量のデータ(売上データなど)を持っており、それを元に本社の人間が本の並べ方を理詰めで考えて指示を出しているからだとずっと思っていました。
しかし、聞いてみると実は、本の並べ方を考えているのは店員さんのようなのです。
もちろん、入荷についてはちゃんと担当の人がいるらしいんですが、本棚を具体的にどう作っていくのかは、店員さんの間でそれぞれ担当が決まっていて、担当の棚はその店員さんの自由で本を並べることができるらしいんです。
これには驚きましたね。
ポップの文章を見ても、店員さんの仕事の質はかなり高いなと思っていたんですが、
まさか並べ方を店員さんですべて決めているとは思っていませんでした。
語学参考書をうまく並べ、一言メッセージを添えて、注目を集め、買ってもらう
これはぼくが普段ブログでやっていることともかなりかぶるので、その難しさについては本当によくわかります。
ここまでのクオリティの仕事をしている紀伊国屋の店員さんはすごいと思いますね。誰でもできる仕事じゃないですよ。
まとめ
というわけで今回は新宿紀伊国屋の語学コーナーのすごさ・魅力について書いてみました。
外国語を勉強しているという人は、一度は行ってみるべきですよ!
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