『英語と一緒に学ぶ中国語』は英語の知識を活かして中国語が学べる良書!【レビュー】
中国語を勉強している人のうち、ほとんどの人は英語を勉強した経験のある人だと思います。
ガチで英語に取り組み、かなりのレベルに到達している人もいるでしょうし、そうでなくても、中学校の授業で勉強して、多少は知識があるという人がほとんどですよね。
今回は、英語の知識を活かしながら中国語を勉強できる参考書を見つけたのでレビューしていこうと思います。
『英語と一緒に学ぶ中国語』という本です。
テキストの内容
この本では、中国語の基礎的な文法事項について、例文を用いた解説がされています。ひとことで言うと「中国語の基礎文法テキスト」ですね。
しかし、普通の文法テキストとは決定的に違う点があります。
それは、英語の文法と比較しながら中国語の文法が解説されている点です。
各文法事項について、「英語ではこうだけど中国語ではこうなんです」という流れで説明がされています。
タイトルが『英語と一緒に学ぶ中国語』なので、英語も中国語も全くできない人が、2言語同時に勉強できるテキストだと思ってしまう人もいるかもしれませんが、このテキストは、正確には
「英語の知識がすでに多少ある人が、英語の知識を頼りに中国語の初級文法を学ぶことができる本」
です。
ここは実際に買う前に注意すべき点ですね。
中国語の文法は簡単!?
「でも、英語と中国語は全く違う言語だし、一緒に勉強して効果あるの?」
これが、この本に対する最も多い批判かなと思います。
でも、今回この本を一通り読んでみて、英語を頼りに中国語の初級文法を勉強するのはかなり効果的で、大きなメリットがあるなと感じました。
具体的にはまず、中国語の文法に対する恐怖意識がなくなることです。
『英語と一緒に学ぶ中国語』では、説明が
英語ではこんなに複雑!
↓
でも中国語ではこんなに単純!
↓
中国語、イケそうでしょ?
という流れでほぼ一貫しています。
疑問文の説明を例として挙げてみます。
中国語で「あなたは彼が好きです。」は
你爱他。
你(=あなた)
爱(=好き)
他(=彼)
となります。
(意味的に変ですが気にしないで下さい)
英語では
You love him.
ですよね。
ではこれを疑問文にするとどうなるのか?
英語では
Do you love him?
というように"do"という助動詞を文頭にもってくると疑問文ができます。
中国語では
你爱他吗?
のように"吗"を文末につけると「あなたは彼が好きですか?」という意味の疑問文になります。
どちらもそこまで難しくないように思えるかもしれませんが、英語では、主語によって"do"や"does"を使い分けなくてはいけなかったりして面倒です。
中国語ではそういった区別もなく、"吗"を文末につけるだけ。
しかもこの"吗"は、日本語で
あなたは彼が好きですか?
と言うときの文末の「か」と同じ感覚で使えるので、日本語ネイティブにとってものすごく親しみやすいんです。
今説明したのはほんの一例ですが、一般的に言っても中国語の文法は英語よりも簡単です。
この本を使えばそれを深く実感することができるので、読んでると「中国語の文法、なんだかイケそうじゃん!」という気持ちになってきます。
記憶に残りやすい
「勉強したことが記憶に残りやすい」というのも、英語と一緒に中国語を勉強する大きなメリットです。
英語の知識を頼りに中国語を勉強すると、すでに頭にある英語に関連付けられる形で中国語の文法知識が学習されるので、英語の知識が中国語の知識をひっかける"フック"となり、記憶への定着が早くなります。
「英語と中国語の知識がゴチャゴチャになりそうで不安・・・」
と思う人もいるかもしれませんが、それはむしろ逆で、しっかりと両者の違いを意識しながら勉強した方が、知識の混同がなくなります。ほんとです。
中途半端に英語の知識があると、中国語を勉強したときに英語の知識が邪魔になって、ミスをしてしまうというのはよくあること。ぼくもそうです。
しかしこの本を一通り読んでおけば、2つの言語の違いがハッキリとわかるので、頭の中でしっかりと区別され、整理されていきます。
ぼくが中国語の勉強を始めた2年前にこの本があったら、もっとスムーズに勉強が進んでいたのにな~と思いますね。。。
コラムが最高すぎる!
随所に散りばめられているコラムがめちゃくちゃおもしろいです。
これは本当にヤバイ。これだけでも買う価値ありかも・・・。
扱っているテーマとしては、
中国語を直訳した英語
Yes,Noに対する語彙がない中国語
コスパにこだわる「断捨離言語」中国語
バイリンガルな中国語世界
「中国語学習うんざり症」対策
などなど。
合計27個のコラムが本の途中途中に収録されています。
コラム自体がめちゃくちゃ面白くてためになるというのもあるんですが、このコラムのおかげで、単調になりがちな文法学習の気分転換ができます。
勉強が続くための工夫もされていて、本当に優秀な本だなと思いますね。
類書との比較
「英語をヒントに中国語を勉強してみよう」というコンセプト自体は、実は真新しいものではありません。
今まで『英語がわかれば中国語はできる』や 『英語も同時に覚えよう 聴いて覚える中国語』など、英語と中国語、2言語を扱ったテキストは何冊も出版されてきました。
- 作者: 外語教学与研究出版社,センゲージラーニング株式会社
- 出版社/メーカー: アスク出版
- 発売日: 2009/03/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 1人 クリック: 4回
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しかし、これらの本はどちらかというと「日本語、英語、中国語が並んだ例文集」という感じで、今回出版された『英語と一緒に学ぶ中国語』のように、
- 英語と中国語の文法の違いを詳しく「説明」している
- 説明がとにかくわかりやすい
といった特徴は持っていません。
そういう意味で、今回の『英語と一緒に学ぶ中国語』は、
英語と中国語の2言語を扱ったテキストの中では間違いなく最高品質
だと言え、さらに言うと
あるようでなかった新しい参考書
だと言うこともできるでしょう。
まぁ、要するに最高のテキストだということですよ。
ちなみに、知らない人にはどうでもいいことだと思いますが、この本の作者の1人は植田一三という、英語の参考書で絶大な人気を誇る英語超人です。
何冊も語学参考書を出版してきた植田一三氏だからこそのクオリティだと思いますね。
まとめ:こんな人に特におすすめ
というわけで今回は『英語と一緒に学ぶ中国語』というテキストがおすすめだったので紹介してみました。
英語の知識がある程度あり、
- 中国語の勉強をこれから始めてみたい
- ある程度中国語の勉強をしたけど、もう一度基礎を見直したい
という方にはかなり効果的なテキストです。
「中国語を本格的に始める気はないけど、中国語には興味があって、どんな言語なのかちょっと知りたいな」
という人にもおすすめですね。
ぜひ読んでみてください!
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