中検3級のレベル・難易度はどのくらい?学習期間は?【中国語検定3級】
中国語検定3級をこれから受験される方がまず疑問に思うのが、
3級って実際どのくらいのレベルなの?
・・・なのではないでしょうか?
中国語検定の公式HPを見ると、試験の難易度について、
自力で応用力を養いうる能力の保証(一般的事項のマスター)
基本的な文章を読み,書くことができること。
簡単な日常会話ができること。
(学習時間200~300時間。一般大学の第二外国語における第二年度履修程度。)
発音(ピンイン表記)及び単語の意味,常用語1,000~2,000による複文の日本語訳・中国語訳。(公式HPより引用)
と書いてあります。
が、正直に言って「これを読んでピンと来る受験者はあまりいないのでは・・・?」と思ってしまいます。あいまいな部分が多いんですよね。
そこで今回は、3級より一段階難しい2級を保持している自分が、3級の問題を分析し、そのレベル・難易度について詳しく書いていこうと思います。
これから3級の対策を始める方はぜひ参考にしてみてください。
単語はいくつ必要?
まず、中検3級に合格するには一体いくつの単語を覚えていればいいのか、について考えていきたいと思います。
全体として出題される範囲については、先ほど引用した公式HPに
常用語1,000~2,000
と載っている通り、2000単語がひとつの目安となります。
実際には、筆記試験の長文問題や、リスニングの最後の方の問題ではこのレベルを超える単語も出題されるので、
2300単語程度覚えていればわからない単語にはほぼ遭遇しない
という認識で大丈夫でしょう。
・・・いかがでしょうか?
おそらく、2300単語と聞いて、
「多すぎるわ!!!」
という印象を受けた人が多いのではないでしょうか。
現時点で500単語覚えているとして、1日に20単語、理想的なペースで進めたとしても残りを覚え切るには3ヶ月もの期間を要します。
しかし!
ここからが重要なポイントなのですが、2000とか2300というのはあくまで"全体としての単語数"のことで、試験問題を実際に見てみると、
ほとんどの文が基本1000~1500単語程度で構成されている
のがわかります。
難しい単語はコスパが悪い!?
ここで実際に出題された問題を一部見てみましょう。
第90回の筆記試験の空欄穴埋め問題から2題引用します。
(1)昨天朋友开车( )我送到了机场。
①为 ②对 ③把 ④被
(9)飞机太贵了,咱们( )坐火车去吧。
①还是 ②既是 ③就是 ④都是
・・・いかがでしょうか?答えは順番に③、①です。
(1)の問題は"把構文"という基本的な文型を知っていれば2秒でわかりますし、(9)の还是も「やっぱり」という意味で、常用1000語、もしくは500語に入るとも言える基本語彙です。
意味についても
(1)昨日友達が車で私を空港まで送ってくれた。
(9)飛行機は高すぎるから、やっぱり電車で行きましょう。
・・・と、日常会話レベルを超えません。
(これから勉強される方は全くわからなくて当然なので問題ないですよ。)
今挙げたのは2題だけですが、リスニング含め他の問題についてもほとんどがこのレベルです。
つまり、中検3級に必要な単語数は一般的には2000前後と言われていますが、実際には基本1000~1500単語の定着を測定される試験だと言えます。
高得点での合格を目指している人は別ですが、
「とりあえず合格したい」
という基準で対策をされる方は、基本1000語をとにかくしっかりと定着させることをまず第一に考え、その後に試験までの残りの日数と相談しながら、じわりじわりと語彙をさらに増やしていき、試験当日を迎える・・・というのがもっとも良い戦略だと言えるでしょう。
中国語単語集を選ぶ際も、たとえば『キクタン』(最も売れている中国語単語集)なら『キクタン中国語 3級レベル』に手が出てしまいそうですが、
そのひとつ下の4級レベルに不安がある人はまずこっちを徹底的にやった方が合格は近くなります。
リスニングは前半と後半で難易度に大きな差
ここからはリスニングと筆記試験に分けて見ていきます。
リスニング試験は選択問題が全部で20問。
そのうち13問以上を正解すれば合格です。
前半の10問は短い文章、もしくは会話を聞いた後に続く返答を選ぶ形式です。
第88回試験からリスニング問題の原稿をちょっと引用してみます。
(2)你觉得昨天那个电影怎么样?
①我昨天看电影了。
②他觉得不太好。
③我觉得很有意思。
④你明天也看吗?
正解は③(わからなくても大丈夫ですよ)。
わかりやすいように日本語訳を見てみましょう。
昨日の映画、どう思う?
①昨日映画見た
②彼はあまりよくないと思った
③すごく面白いと思う
④明日も見ますか?
まずわかることとして、日常会話レベルの文が出題されるということです。
いま紹介したのは1問だけですが、前半の10問については、どれもこのくらいのレベルで作られています。
基本的な会話フレーズ集、たとえば個人的におすすめなのは『日常中国語会話 ネイティブ表現』あたりを使い、日常会話のストックをためていけば楽に正解できます。
また、ハズレの選択肢に紛らわしいものが一切含まれていないのも大きな特徴です。
もう一度日本語訳を確認してみてくだい。正解の③以外は答えとして全く繋がりませんよね。
これが2級以上になると紛らわしい選択肢を放り込んで受験者を罠にはめてくるんですが、3級では素直な選択肢しか基本的にはありません。
これは「なんとなくわかれば正解にはたどり着ける」ということも意味します。
間違いの選択肢は「これ絶対違うだろ」というくらい違うので消去法が使えますし、正解の選択肢も「なんとなくこれっぽい」レベルで選ぶことができます。
後半は難しい
前半は楽なのですが、後半の10問は2分前後の文章を聞いたあとに一気に5つの質問に答える形式が2題続きます。
あとで一度過去問を解いて体感していただきたいのですが、2分間の中国語、めちゃくちゃ長く感じます。
使われている中国語の表現のレベルは相変わらず日常会話レベルなのですが、2分間中国語を聞きながら適宜メモを取り、質問に備えるというのは、3級を目指すレベルの方にとってかなりの負担です。
全体としては難しくはない
後半は手ごわい、これは事実なのですが、全体を考えると難易度はそこまで高くはないと言えます。
というのも、合格点は65点(20問中13問正解)だからです。
前半で10問中8問取ってしまえば、後半は半分間違えても合格できます。
なので、これから対策に取り組む方は、
前半でいかに取りこぼしをなくすのか
を最優先に考えて勉強をすすめていけば合格にグッと近づきますよ。
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筆記も後半が難しい
続いて筆記です。
筆記についてもリスニングと同じく、合格点は100点中65点になっています。
最初に出題されるのは単語の発音です。
第88回の過去問より出題されている単語を一部引用して羅列してみます。
农村
规定
文章
积极
广播
校园
介绍
准备
・・・こんな感じです。どうでしょうか?
多少勉強されている方がこれを見たら、
「え、結構いけそう・・・」
という感じなのではないでしょうか?
(再三になりますがわからなくてもこれからやれば全然オッケーです)
実際、これらは基本1000語、難しくても1500語には入るような基本単語ばかりで、単語単体の問題だからといって難しいものが出題されるわけではありません。
これらの基本単語に加え、先ほどちょっと紹介した"把構文"のような基本的な構文や文の並べ方を理解すれば、長文問題と中国語作文を除いた60点分については8割以上の得点が見込めるでしょう。
長文と作文は難易度高め
ただし、こちらもリスニングと同じく、後半の問題は難易度が高めになっています。
最後から2番目の大問で出題される長文問題は、日常会話レベルを超える表現が散りばめられていますし、3級を受ける受験者は長文を読むことにそもそも慣れていない人が多いでしょうから、文章をどんどん読み下して意味を取っていく、その流れに上手く乗れずになし崩し的に失点してしまうパターンも考えられます。
また、最後は日本語を中国語に訳す問題が5問出題されます。
(1)兄は3年前東京に半年ほど住んでいた。
(4)お金があれば、わたしも1個買いたい。
第88回の過去問より2題引用
日本語は単純なものですが、いざ中国語に直せと言われると、結構キツイと思います。
また、漢字を手で書くという習慣がない人にとっては難易度はさらに上がるでしょう。
中検を受ける方は書けなさそうな漢字に出会ったらすぐさま3回書いてみる習慣を付けるのがおすすめです。
時間はタップリ
中検3級は全体の試験時間が100分、リスニングに30分程度かかりますから筆記試験はだいたい60~70分程度かと思われます。
これは、解き終わるのには十分すぎる時間だと言えます。
時間に追い立てられることがないので、いわゆる「本番に弱いタイプの人」でも落ち着いて実力が発揮できるでしょう。そういう意味では難易度は高くないです。
慣れてくると大幅に時間を余らせて終了させるのも可能です。残った時間は見直しに充てるもよし、早く帰るのもOKです。
(※中国語検定ではある程度の時間を超えたら帰宅が認められています。ただし、当日に必ず試験監督の説明をちゃんと聞いて確認をしておきましょう。)
学習期間はどのくらいかかる?
さいごに必要な勉強時間についてです。
全くのゼロから中国語を始める、という場合、必要な期間は1年間~1年半をみてください。
ほんとうに3級に合格するためだけにそれに特化した勉強を毎日何時間もやれば半年~10ヶ月程度での合格も全然可能だと思いますが、これはおすすめしません。
3級は、合格した時点では本当に日常会話がやっとできるくらいで、胸を張って「中国語ができる」と言えるレベルにはちょっと及びません。
それを考えると、しっかりと時間をかけて基礎を作り、その完成を確かめる意味合いで3級を通過点として突破し、次の勉強へ進んでいくのがおすすめだと言えます。
ちなみに、ゼロ~基礎レベルの勉強法については下記の記事で詳しくまとめているのでこちらをぜひ参考にしてみてください。
中国語の勉強をすでに始めている方は、1年半からすでに勉強している期間を引いた期間が必要な勉強時間の目安になります。
続いて、大学などで第二外国語として中国語を学んでいる学生は、2年間が必要な学習期間の目安です。
(中国語を専攻している人なら2年生の途中でぜひ取りたいところ)
大学の第二外国語の授業と言うと、週に2~4回程度だと思いますが、しっかりと授業を受け、予習復習もちゃんとこなせば、中国語が専攻外の人でも2年生の終わりごろに(ギリギリだとは思いますが)合格は可能です。
「専門外だけど中国語面白い!」
となってハマってしまった大学生は、ぜひ2年生の終わりか3年生の途中での合格を目指してみてはいかがでしょうか。
まとめ:まずは過去問を解いてみよう
というわけで中国語検定3級のレベルと勉強期間について詳しく解説してみました。
3級の語彙はよく使われる単語1000~1500語が中心、内容も日常会話レベルと、基礎の完成をはかるにはぴったりの資格試験になっています。
- 初心者段階を抜けたかどうか、自分の力を試したい
- 基礎段階がちゃんとできてるか確認したい
という方はぜひ受験を検討してみてください。
ちなみに、これから対策を始めるという人は、まずはとりあえず過去問を1回分解いてみるのを強くおすすめします。
どのくらいのものなのか、できなくても体験してみることで学習の見通しはおのずと見えてきますよ。
過去問は何種類か出ていますが、最もおすすめなのはレイアウトが見やすく、解説も丁寧な白帝社のものです。
ちゃんと時間も測って1回分解いてみましょう。
では、合格を祈っています!
中検3級の勉強方法&おすすめテキストをまとめました!
下記の記事にて中検3級の勉強法をくわしくまとめました。
こちらもぜひ合わせてお読みください!
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