ピクサー映画『ファインディング・ドリー』にレズビアンカップルが登場すると話題になっているらしい。
『ファインディング・ニモ』の続編としてアメリカでは6月17日、日本では7月に公開予定のピクサー映画『ファインディング・ドリー』の米国版予告編で、レズビアンカップル"らしい"2人が出てくるとして、アメリカで話題になっているようです。
その予告編はこちら。
You've Found the Latest 'Finding Dory' Trailer
話題になっているシーンは1:06~のわずか数秒の部分。
ベビーカーに乗った子が転んでマグマグを落としてしまいます。それをカップル(らしき)2人が拾い、ベビーカーを見てみるとそこに座っていたのはタコだったというシーンがあるんですが、その2人がレズビアンカップルだと言われています。
米国では、この予告編が公開された直後から、ソーシャルメディアを中心にかなり話題になったようです。
もし、これが本当だった場合、ディズニー映画では初のレズビアンカップルとのこと。
LGBT関連の法案の是非などについて、アメリカでは最近ずっと話題になっていたこともあり、ソーシャルメディアでは
「これはセクシャルマイノリティ受け入れへの重要な一歩だ!」
という意見が多いようですが、中には
「レズビアンのカップルを映画に出すなら見ない」
と言っている人もいるらしいです。
ところが、そういう人に対しては、
「誰がドリーの声優やってるのかわかってんの?w」
という声もあります。
というのも、今回の主人公ドリーの声優を務めたのは、エレン・デジェネレス。『エレンの部屋』などの人気番組の司会で知られるコメディアン・女優ですが、彼女は1997年にカミングアウトしたことで有名です。
ぼくがこのニュースを知ったのは、普段よく見ているアメリカのYoutubeチャンネル『Pop Trigger』です(英語注意)。
この番組に出ているパネリストでレズビアンを公言している人がいるんですが、その人はこのニュースに対して良い印象ではなかったみたいです。
「ピクサーのいかにも"狙ってやってる感"がムカつく!ゲイの人は普通に世の中で生活しているわけで、こういう風に特別に取り上げる必要はなかったんじゃないの?もしかしてこのドリーだってゲイかもよ。」
なるほど。こういう意見も多いみたいですね。「これが本当だった場合、ディズニー初のレズビアン」と言っていますが、特に取り立てて言っていないだけで、ディズニー映画にレズビアンはもう何回も出てきているはずだ、というわけですね。
このニュースを見て思い出したのは、『アナと雪の女王』のエルサです。
映画評論家町山智浩氏の映画解説「映画その他ムダ話」を聞いて知ったんですが、アメリカでは、主人公エルサが男性愛に無関心のキャラクターとして描かれていることが話題になっていたらしいです。
『アナと雪の女王』の原題は『Frozen』。英語ネイティブは、この"Frozen"という単語から、あるイメージを連想するようです。
同じ語源の単語に"frigid"という単語がありますが、この言葉の意味は、
- 極寒の
- (女性が)不感症の、性的に冷めた
です(ロングマン英和辞典より)。
ググってみると日本語サイトでもこのような分析がいくつか出てきましたが、日本ではこのようなことはほとんど話題にならなかったですね。
コメントでめちゃくちゃ非難されたみたいですが、まぁ仕方ない・・・。
ちなみに、町山智浩氏はエルサはレズビアンではなく、Aセクシャルなんじゃないかと結論付けていました。
恋愛感情を持てない? アセクシャル(無性愛者)とはいったい? - NAVER まとめ
で、数日前だったと思いますが、米国で「エルサにガールフレンドを」というハッシュタグがトレンドになりました。
これは、『アナと雪の女王』の続編でエルサのガールフレンドを登場させてくれ!という運動で、このハッシュタグでツイートしていた人達には、「子供達にLGBTに対する理解を促進させる効果がある」といった狙いがあったみたいです。
実は、『アナと雪の女王』以前からディズニー映画の登場人物がLGBTではないかとの推測が多くのファンの中で行われてきました。
ライオンキングのティモンとプンバアとか、アラジンのジーニーとか。
ただ、アナ雪のエルサもそうですが、ディズニーがあからさまにゲイを描いたことはなく、今回の『ファインディングドリー』がかなり話題になっているみたいですね。
個人的には、米国のように、日本でももっとこのようなことが話題になるべきだと思っています。
意見はさまざまだと思いますが、まず話題になり、議論されることが第一歩。かわいい魚達が出てくるだけの映画、という認識で終わってほしくないですね。
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