『会話もメールも 英語は3語で伝わります』のレビュー!英語学習者は絶対に読むべき良書!
かなりおすすめの英語書籍を見つけたので紹介したいと思います。
『会話もメールも 英語は3語で伝わります』という本です!
この本を書いたのは、中山裕木子さん。
特許翻訳者、また大学の講師として活躍されている方です。
ぼくは中山さんの『技術系英文ライティング教本』という本がとても好きなので、
今回の新刊も、本屋で見かけたときに衝動的に"著者名買い"してしまったんですが、中身は期待通りの良書でした。
本の内容
「3語の英語」なら伝わる!
この本は、ひとつの考えがベースになって書かれています。
それは、
伝わる英語は、「3語の英語」
という原則です。
「3語の英語」とは、もっと詳しく言うと、
主語+動詞+目的語
が基本になっている文ということです。
この本に載っている例を挙げてみます。
① My job is an English teacher.
② I teach English.
どちらも「わたしは英語の先生です。」という意味ですが、①が日本人がよく書く英語で、②が「3語の英語」です。
①と②を比べてみてどう思いますか?
まず気付くこととして、②の方がムダがなく、すっきりした英文だということです。
無駄がなくすっきりしていると、ごちゃごちゃしていないので文法などのミスが減りますし、語数が少ないので単純にコミュニケーションのスピードが上がります。
しかも、②の「3語の英語」の方が、言いたいことがズバッと伝わりますよね。
「3語の英語」にはこのようなメリットがあるのです。
本書の第1章、2章では、英語を3語で伝えることによるメリットと、どうすれば3語の英語を作ることができるのかについての説明がされています。
具体的な文の作り方も学べる
本書の中盤からは、ちゃんと具体的に文の作り方も説明されています。
英語をちゃんと伝えるための「便利な動詞」もピックアップされて紹介されています。
ここでピックアップされている動詞は、スピーキング、ライティングはもちろん、ニュースのリスニングなどにおいても重要な役割を果たす動詞なので、本書で紹介されている動詞を押さえておけば、かなり役に立つでしょう。
後半では助動詞や時制の説明を交え、「3語の英語」にどのように情報を足していくのか、を学ぶことができます。
「3語」というのはもちろん単語3つだけですべての英文を作るというわけではなく、3つの要素を基本にする、という意味です。
後半では、それらにいかにして情報を付属させていくのかが説明されています。
感想
ちょっと本書から引用します。
私は、「特許翻訳」という特殊な翻訳の仕事に就いたとき、「難解な英語」を書く覚悟をしていました。難しい技術を説明するのですから、「難しい英語」が必要に違いない、と考えていました。しかし、そこにあった世界の理想は、「ノンネイティブとネイティブの両方に伝わり、誰にでも間違いなく理解ができる、単純明快で、平易な英語」でした。
(74ページより)
ここには特許翻訳の話が載っていますが、これは、どんな英語にもあてはまることですよね。
つまり、「単純明快で平易な英語が好まれる」というルールです。
英語は、次のような表現を好みます。
- あいまいさを避ける
- シンプルで無駄がない
- 何が言いたいのか(=結論)がすぐにわかり明確
日本語は、あいまいで、冗長で、何が言いたいのかがわからなくてもそれが許容されます。日本語を勉強している外国人は、よく日本語をvague(あいまいでわかりにくい)だと言います。
日本語の会話においては、話し手の言うことがあいまいでもそれが100パーセント話し手の責任にはなりません。
「そこは空気読んで察してよ」
となるわけです。
日本人の英語学習者は、この違いを明確に意識する必要があります。
文法にミスがなくても、日本語をそのまま英語に置き換えたような英文は"伝わらない"んです。
そもそも英語には単純明快でわかりやすく伝わる表現を好む、という原則を理解するのが、英語力をアップさせるのに必要不可欠なんです。
要するに、一度日本語におけるコミュニケーションの前提はきれいに捨てて、英語における表現の前提、マインドセット(=考え方)をそっくり脳にインストールする必要があります。
英語を学習すると世界が広がる、とよく言われます。
これは「意思の疎通ができる人が増える」という意味でとらえられがちですが、それでは浅いと思います。
英語を学習し、英語が持つコミュニケーションの前提、その考え方を習得することで、新しい考え方、世界の見方が加わる。そういう意味なんです。
「シンプルで平易」というのはそんな英語の考え方の重要な要素のひとつです。
この本は、そんな理解のための助けになる良書だと感じました。
初心者にも上級者にもおすすめ!
この本は、全レベルの英語学習者にとってためになると思います。
扱っている内容が本質を突いた深いものであるにも関わらず、難しい文法知識、単語は一切使っていません。
上級者についても、個々の単語や文法知識からは一歩引いた視点から、「伝わる英語とは何か」をもう1回考え直す良いきっかけになると思います。
分量としては軽く、サクッと読める本です。
おすすめなのでぜひ読んでみてください。
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