英語と中国語ではどっちが難しいのか?3つの角度から考えてみた!
中国語学習に興味を持つ人がどんどん増えています。
これは、中国がものすごいスピードで経済成長をしていく中で、
ビジネスでの中国語の需要が日本でも高くなっているから
というのが大きな理由でしょう。
しかし、英語と違い、中国語学習については情報が少なく、そもそも中国語がどんな言語なのか、についてさえ何も知らないという人がほとんどなのではないでしょうか。
特に多くの人が気になるのが、
中国語と英語ってどっちが難しいの?
ということでしょう。
今回は、英語も中国語もどちらも勉強しているぼくが、
- 文法
- 語彙
- 発音・リスニング
の3つのポイントから、英語と中国語の難易度を徹底的に比較し、この疑問に答えを出したいと思います!
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①文法
まずは文法から見ていきましょう。
結論から言うと、文法は英語の方が難しいです。
日本人にとって英文法が難しいと感じられる理由は大きく2つあります。
まずひとつ目は「冠詞」です。
冠詞とは、
This is a pen.
これはペンです。
における"a"のことですね。
"ザ・ブルーハーツ"の"ザ"も冠詞です。
This is the pen.
だとさっきとは意味が変わってしまいます。「ザ」は特定のものを指すときに使うので、
「これはペンです」というよりは、
これはぼくも君も知っている、あのペンなんですよ。
という意味になります。
冠詞の難しいところは、それが日本語には存在しないところです。
冠詞という考え方自体を身に付けるまでにかなり苦労するわけですね。
英文法の難しいポイントその2は「動詞の変化」。
英語では、動詞が意味に合わせて色々な形に変化します。
たとえば、
I jog.
は「ジョギングやってます」という意味ですが、これはジョギングを日常的にやっているという意味。
これをたとえば皇居の周りをまさに走っているときに電話がかかってきて、「今ジョギング中!!」と相手に言いたい時は、
I am jogging.
と言います。
"jog(=ジョギングする)"という動詞が、"jogging"に変わっているところに注目してください。現在進行形というやつですね。
また、「昨日ジョギングしました」のように過去形のときは、「jogged」になります。
このように英語では動詞がさまざまな形にフォームチェンジしていきます。で、これがまた難しい。
時間をかけて考えれば正しい形に変化させることができても、会話のときにとっさに動詞を変化させて話すためには、文法を感覚レベルにまで落とし込むためのしっかりとしたトレーニングが必要になります。
では中国語ではどうでしょうか。
中国語ではまず、英語学習において難しい「冠詞」がありません。
冠詞というもの自体がないんです。
これは大きいですよ。
英語を話すときは正しい冠詞を選べているか、ということに大きな神経を使いますが、中国語ではこの負担がないんです。
ただ、強いて言えば、中国語にはある、名詞にかかわる文法事項として「量詞」というのがあります。
たとえば英語では「(ひとりの)人」のことを
a person
と言います。
中国語では
一口人
です。この「口」が量詞にあたります。
日本語で「一冊の本」と言ったときの「冊」ですね。
中国語では「1人の人」ではなく「1口の人」と言うわけです。
名詞の前にこの量詞をつけることがあるので中国語は厄介だという人がいます。確かにそれはその通りですが、英語の冠詞と比べたら量詞の方が楽です。
日本語でも量詞と同じ概念があるというのが理由です。
中国語の量詞はすでに日本人は概念として知っているんです。冠詞はそもそも概念として頭の中にないので、それを感覚レベルで習得しなければいけません。
動詞の変化についても、中国語にはありません。
たとえば「写」は「書く」という意味の中国語単語ですが、「写」は「写」のままで、英語の動詞のようにさまざまな形に変化するということはないんです。
「写」に別の漢字が付いて進行形や過去のことを表すことはありますが、この動詞自体が変化するということはありません。
もっと言ってしまうと、動詞に限らず、中国語には単語の変化というのがないんです。
文法学習というと、変化形をたくさん覚えなければいけないというイメージがある人も多いかもしれません。しかし、それは英語などのヨーロッパ言語での話です。
では、中国語における文法学習は何なのかというと、それは漢字の並び方です。
単語が変化しないのですから、意味を表すためにはあとは漢字の順番しかないですよね。
つまり、中国語の文法学習とは、
「こういう順番で漢字が並んだらそれはこういう意味ですよ」
という知識の積み重ねなんです。
文法の論理的な部分がわかっていないと習得が厳しい英語と比べると、こっちの方が簡単ですね。乱暴な言い方をしてしまうと、中国語は"覚えるだけでなんとかなる外国語"なんです。
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②語彙
外国語学習といえば単語暗記。
そもそも単語を知らないと何も始まりません。
ぼくは、単語を含めた語彙学習は、外国語学習の半分以上を占めるのではないかと思っています。
とにかく単語学習は重要。ここが簡単かどうかは大きいです。
まず、英単語の学習しやすいポイントとして、
勉強をはじめる前から日本人は多くの英単語を知っている
というのが挙げられます。
「りんご」「本」「インターネット」
この3つの単語を英語で言えますか?
答えは「アップル」「ブック」「インターネット」。
「こんなの答えられるに決まってるじゃないか」
と思った人もいるかもしれませんが、じゃあこれらを中国語で言えますか?
おそらくほとんどの日本人は答えることができないでしょう。それだけ英語は日本語の中に浸透しているということです。中国語の単語学習では、ほぼ何も知らない状態から覚えていかなければいけません。
続いて、中国語単語の学習しやすいポイントですが、これはズバリ漢字です。
日本語ネイティブであるわたしたちは、中国語の学習をはじめる前からすでに何千もの漢字を知っています。
もちろん、中国語の単語と日本語の単語が、同じ漢字で同じ意味であるというわけではありません。
しかし、漢字それぞれの意味から推測できるものが非常に多いので、中国語単語を見て意味がわかる、というレベルまでなら単語学習はサクサク進んでいきます。
読み方は違うのでそこは覚えなければいけませんが、漢字を1ミリも知らない人よりははるかに単語学習はスムーズでしょう。
このように、単語学習については、英語も中国語も覚えやすいポイントがあり、どっちが簡単かは一概には言えません。
ただ、中国語は単語を覚えれば覚えるほど、それまでに覚えた単語からの類推がきくようになり、学習が進むほど単語学習の負担が減っていくので、そこを考慮すると中国語の方が語彙学習は多少楽かな、という気がします。
③発音・リスニング
英語といったら、発音が難しいというイメージを連想する人が多いのではないでしょうか。
これはその通りで、英語で使われる音は日本語で使われる音と90%以上違うので、正しい英語の発音で話せるようになるためには、英語で使われる発音をひとつひとつトレーニングしていかなければいけません。
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個々の音の難しさの他にも、英語では単語の音がすべて発音されるとは限らず、音の消失や、次の単語との連結がしばしば起こります。
このように英語の発音はかなり難しいんですが、中国語の発音はこれの2倍難しいと考えてください。
中国語は"声調言語"です。声調言語とは、音が同じでもイントネーションによって意味が変わってしまう言語のことです。
中国語には4つの声調があり、これを正確に使い分けないと、相手に全く伝わらないんです。
さらに、中国語では単純に使われている音の数が多いんです。母音で36個、子音で21個も音があります。日本語では母音5個ですよ。多すぎ・・・。
『紹文周の中国語発音完全マスター』などの、最短距離で中国語発音を学習できるテキストを使ったとしても、よっぽど発音が得意じゃない人でもない限り習得には1ヶ月はかかるでしょう。もちろん、集中的に1ヶ月勉強して、の話です。
発音が難しい、これはリスニングが難しいことも意味します。
これは当然ですね。使われている音が難しいのなら、それを聴くのは難しいはずです。
中国語をちゃんと聞き取るためには、中国語で使われている50種類以上の音をひとつひとつ正確に区別して判別する必要があるんです。
結局どっちが難しいの?
さて、というわけで
- 文法
- 語彙
- 発音・リスニング
の3つの観点から、英語と中国語の難易度について比べてみました。
整理すると、
(1)文法学習は英語の方が難しい。
英語には日本人が感覚として理解しにくい冠詞、また、覚えるのが厄介な動詞の変化があるが、中国語には冠詞がそもそもなく、単語も語形変化しない。
(2)語彙についてはどちらも学習しやすい。
日本語として浸透している英単語は多いので、英語学習をはじめる前からかなりの単語を日本人は知っている。中国語については日本語として浸透しているものは少ないが、日本人は漢字を知っているので語彙学習は楽。
(3)発音は中国語の方が圧倒的に難しい。
というような感じです。
全体として考えると、
日本人にとっては中国語よりも英語の方が難しい
というのがぼくの結論です。
確かに中国語の発音は難しいんですが、さきほど紹介したようなちゃんとしたテキストを使ってトレーニングすれば1ヶ月程度で誰でもできるようになります。
それに比べて英語の文法については、文法を概念として、つまりすべてが繋がったひとつのシステムとして感覚レベルで覚える必要があり、これは短期集中で習得できるものではありません。
日本語の概念をきれいさっぱり捨て去って、英語という概念を新しく作っていく必要があるので、難しいと言えます。
中国語では日本語の概念の助けを借りて学習できるポイントが多く、発音さえ集中的にまずトレーニングしてしまえば、勉強していく中で大きな壁にぶち当たることもないでしょう。
さいごに
というわけで今回は英語と中国語の難易度を比較してみました。
徹底的に比較してみた結果、中国語の方が簡単だという結論になりましたね。
ドイツ語やフランス語など、日本で人気のある他の外国語と比べても中国語は学習しやすいと思います。
中国語は、漢字がわかるという日本語ネイティブの力を発揮してどんどん学習を進められる言語です。
ちなみに、英語との比較関係なく、単純に中国語がどのくらい難しいのかについては、
という記事にまとめたのでぜひ合わせてお読みください!
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