『「とりあえず」は英語でなんと言う?』のレビュー!カジュアルな英語表現が身に付く1冊!
「ネイティブのくだけた会話が全くわからない!」
「カジュアルな会話になると適切な英語が出てこない!」
そんな人におすすめの本を見つけたのでレビューしていこうと思います。
月間150万PVの超人気サイト「英語 with Luke」の管理人であるルーク・タニクリフ氏が書いた『「とりあえず」は英語でなんと言う?』という本です。
「とりあえず」は英語でなんと言う? (だいわ文庫 E 334-1)
- 作者: ルーク・タニクリフ
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2016/10/08
- メディア: 文庫
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「○○って英語で何て言うかわかりますか?」
(○○は「お疲れ様」とか「よろしくお願いします」などのいかにも日本語っぽい日本語)
のようなタイトルの英語参考書は、実は巷に数多くあるんですが、
正直言って大嫌いな種類のテキストなんですよね。
なぜかというと、「お疲れ様」とか、「よろしくお願いします」などのいかにも日本語っぽい表現は、文化や使われるシチュエーションで意味が決まるもので、英語と一体一の訳語があるわけではないからです。
要するに、いかにも日本語っぽい日本語を英語で表すのは不可能だということです。
実際、そういうコンセプトの英語参考書を見ても、日本語を無理やり英語に直したような不自然な表現が並んでいることがほとんどです。
今回紹介する『「とりあえず」は英語でなんと言う?』についても、書店の話題の本コーナーで最初に見つけた時は「またこの手の本が売れてるのか・・・」とうんざりな気持ちになったんですが、手に取って読んでみるとびっくり、
めちゃめちゃいい本だったんです!
カジュアルな表現が学べる!
この本は、一言でいうなら「カジュアルな英語表現集」です。
日常生活で頻繁に使うような、くだけた英語表現が数多く収録されています。
約60のトピックに分けられて英語表現が載っていますが、このトピックが
なつかしい
ハイテンション
無理しないで
リア充
ダサい
どんな感じ?
微妙
クソ
など、
日本語の会話で普段頻繁に使うけど、英語ではどう言うのか多くの人が悩むような表現
なんです。
「なつかしい」なんて本当によく使いますよね。
ただ、英語でなんて言うかといったら、わからなくないですか?
この本を使えば、そのような言葉にぴったりの英語表現を知ることができます。
と、ここまで読んで
「それってお前がさっき言った、巷の○○って英語で言えますか本と同じやん」
と思ったかもしれませんが、この本は違うんです。
ちょっと本書の冒頭を引用してみます。
僕は英語を教えるとき、生徒からよく「久しぶり」や「よろしく」などの日本語らしい言葉は、どう英語にすればいいのか聞かれます。これらは直訳すると不自然な英語になり、かえって誤解を生じてしまいます。
(略)
この本では、日本語の文化から生まれた「気持ち」や「考え方」をどうやって英語のネイティブに伝えるか教えます。
辞書に出てくる定義や単語の直訳ではなく、同じ状況で、ネイティブがよく使っているフレーズを紹介します。そして、それらのフレーズが、ネイティブにとって「どんなイメージがあるのか」「どんな文化にもとづいているのか」「どんなニュアンスがあるのか」を丁寧に解説していきます。
(3~4ページより引用)
『「とりあえず」は英語でなんと言う?』では、この方針に基づき、日本語を直訳するのではなく、それがどういうシチュエーションで使われるのか、会話においてどういう"意味"を持つのか、ということを考えて英語表現が考えられているんです。
「なつかしい」を例に取ってみます。
「なつかしい」を日本語では「ノスタルジー」と言うことがありますよね。
実際、「なつかしい」を英語で「nostalgic」と訳すこともあります。ただこれは間違いではないんですが、実際の英語の会話ではほとんど使われません。
『「とりあえず」は英語でなんと言う?』では、次のような表現が紹介されています。
It's been ages, but I went back to my grandma's house, and there was this wonderfully familiar smell.
久しぶりに祖母の家に行ったら、すごくなじみのあるいい匂いがした。
「なつかしい匂いがする」英語に訳そうとした場合、直訳でいくと「nostalgic smell」とやってしまいそうですが、
なつかしい匂い→(なじみのある匂い)→familiar smell
というように、いったん「その日本語がそのシチュエーションでどういう意味合いを持つのか」というところを経由することで、よく使われる英語でかつ意味的にもバッチリな表現になっています。
ここがこの本のスゴイところで、巷の○○って英語で言えますか本と一線を画している要素でもあります。
また、各トピックで複数の例文が載っているのも良いですね。
たとえば「なつかしい」なら、8つの英文が紹介されています。
「なつかしい」と一言で言っても、
- 3年前にデートした場所に久しぶりに戻ってきてなつかしい
- 家族の仲がよかったころの昔の写真を見たときのなつかしい
- 「昔はよかったよなぁ」のなつかしい
などなど、さまざまな「なつかしい」がありますよね。
この本では、それら複数の「なつかしい」を、複数の英文を使って示しています。
他の本では学べないような表現が満載!
『「とりあえず」は英語でなんと言う?』には、日常生活で使われるカジュアルな表現が載っていますが、こういう種類の英文って、普通に勉強しているとなかなか遭遇できないんですよね。
普通の英語テキストを使って勉強できる英文って、しっかりとした中身のある文章とか、ビジネス英語みたいな、「真面目でちゃんとした英語」がほとんどなんです。
スラング集みたいなのは一応他にも出ていますが、ぼくの観察してきた範囲では、内容的にイマイチなものばかりですね。
ぼく自身は、こういうくだけた表現は『フレンズ』や、最近のものだと『ビッグバン・セオリー』などの海外ドラマで学びました。
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海外ドラマを使えば、現地で実際に使われているような表現を学ぶことができるんです。
しかし、海外ドラマを使った勉強では、
- 見る
- わからない表現があったら巻き戻す
- 意味を調べてメモる
- 復習して記憶に定着させる
という、ちょっと効率の悪い手順を踏まなければいけないことになります。
それを考えると、本という形式でまとまった量のカジュアルな表現が学べる『「とりあえず」は英語でなんと言う?』は、かなり貴重な存在だと言えます。
もちろん、この本を使えば日常表現が完璧になるというわけではありませんが、基礎を固めることはできます。
『「とりあえず」は英語でなんと言う?』でまずは勉強して、実際の会話で使っていく中で表現が足りないなと思ったら、海外ドラマを使ってさらに表現の幅を広げていくというのが最も効率が良いでしょう。
その他おすすめポイント
その他にもいくつかおすすめポイントがあるので紹介していきたいと思います。
まず、アメリカ英語もイギリス英語も学ぶことができるのが良いですね。
カジュアルな表現って、話される地域によってかなり違うんです。
この本に載っている表現は、基本的にはアメリカ英語なんですが、重要な表現については「イギリス英語ではこう言いますよ」という説明もされています。
アメリカ人とイギリス人のハーフで、13歳までイギリスで暮らし、高校大学はアメリカで過ごした著者だからこそできることですね。
また、初心者から上級者まで使えるというのもこの本の大きなメリットです。
この本に載っている英文はカジュアルな表現なので、中学校までの英文法がわかっていれば問題なく読むことができます。
かといって初心者専用かと言えばそうではなく、上級者でも、この本を読むことで日頃の勉強でなかなか出会うことができないようなくだけた表現の補強ができます。
とにかく密度の濃い本です。上級者が読んでも知らない表現がいくつもあるでしょう。
まとめ
というわけで、日常生活で使うカジュアルな英語表現が学べる『「とりあえず」は英語でなんと言う?』のレビューでした。
「いつかネイティブとくだけた会話ができるようになりたい!」と思っている人は必読です。
本自体は文庫サイズで読みやすく、値段も定価740円と、この内容を考えると破格です。
おすすめなのでぜひ読んでみてくださいね!
「とりあえず」は英語でなんと言う? (だいわ文庫 E 334-1)
- 作者: ルーク・タニクリフ
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2016/10/08
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