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『話すための英語力』(鳥飼玖美子著)は英語が話せるようになりたい人必読!【レビュー】

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『話すための英語力』という本がかなりの良書だったのでレビューしていこうと思います。

話すための英語力 (講談社現代新書)

話すための英語力 (講談社現代新書)

 

著者は元同時通訳者で、NHKの英語講座でも有名な鳥飼玖美子氏。

 

この本は『本物の英語力』という本の続編にあたります。

本物の英語力 (講談社現代新書)

本物の英語力 (講談社現代新書)

 

『本物の英語力』は10万部越えのベストセラー。

このブログでも詳細なレビューを書きました。

(参考記事)

『本物の英語力』(鳥飼玖美子)は真っ当な英語勉強法を示してくれる良書である

 

前著『本物の英語力』では、 英語の勉強方法について具体的に書かれていましたが、今回の『話すための英語力』は、英語を"話す"ことに焦点が当てられており、これを読むことで

 

英語でコミュニケーションを取るための戦略

 

がわかるようになっています。

 

英語を話すのは簡単なことではない

この本は、まず「英語を話すのは実際難しい」という現実の確認から始まります。

 

日本社会において、英語は日常的に使う第二言語ではなく、あくまでも「外国語」であることです。日本では日本語が国語ですから、英語が使えなくても日本語が使えれば何の支障もありません。

(20ページより)

 

これは本当ですね。日本は日本語さえできれば何の不自由なく暮らせる国。

仕事などで英語を使うという人でない限り、英語を使う"必要性"が出てこないんです。

仕事のために海外へ行った人が、何年かすればその国の言語をちゃんと話せるようになることからもわかるように、語学学習において「必要に迫られているのかどうか」はかなり大事だと言えます。

 

三つ目は、心理的要因です。具体的には、「不安」という厄介な現実です。

(略)

「他人の前でみっともない英語をしゃべりたくない」と自分の英語運用能力や他人の評価が心配になりますし、下手な英語をしゃべっている我が身の情けなさに自尊心がいたく傷つきます。

(24〜25ページより)

 

これもわかりますね。

世界的に見ても日本人は自分の話す英語に自信がないことがわかっているようです。

しかし、自信を持ってどんどん積極的に話していかなければスピーキングの力は伸びていきません。このような心理的な面も日本人の英語スピーキング力が低い要因でしょうね。

 

本の中では他にも日本人にとって英語が難しい理由がいくつか挙げられていますが、最初に「英語って難しいよね」という確認から入るのがいかにも鳥飼先生っぽくて良いなと思いました。

「英会話なんて誰でもできる!簡単だ!」

というノリの英語本って多いと思うんですけど、正直うさんくさいですよね。

 

事実を分析し、冷静な視点から語る。

それが鳥飼先生の著書がどれも良書である理由だと思います。

 

 

英語には英語の"約束事"がある

『話すための英語力』は英語のコミュニケーションについての本ですが、会話フレーズを載せて解説するだけ、といったような内容の薄い本ではありません。

もっと広い範囲で、英語でのコミュニケーションに役立つコツが書かれているんです。

 

筆者は、コミュニケーションを上手く成立させるためには、英語独特の"決まりごと"を意識するのが大切だと説きます。

 

円滑なコミュニケーションが成立するには、言語能力に加えて話し方の決まりというか暗黙の約束事も必要になるわけで、これは母語でない言語の場合には一朝一夕には習得できません。コミュニケーションは情報伝達だと考えられがちですが、実際にはそれだけにとどまらない複雑な相互行為と言えるので、会話の本や参考書で網羅することはできませんし・・・

(30ページより)

 

たとえば、うなづき・あいづちについてです。

 

うなづき自体が日本語母語話者ほど多くありません。

このような「うなづきなし」の人々と相対すると、日本の英語学習者は落ち着かない気持ちになるようです。

(60~61ページより)

 

日本語の会話では、相手が何か言う度にうなづくことで、自分が相手の話を聞いていることを相手に知らせるのが普通ですが、英語ではうなづきの回数はかなり少なく、ほとんど顔を動かさずにじっと相手の顔を見ている時間が長いんです。

 

これについては以前ブログ記事でも書きました。

(参考記事)

教科書では教えてくれない!日本人が外国人と英語で会話をするときに気を付けるべき3つのこと。

 

うなづきの頻度って実はかなり大事なんです。

というのも、意識しないと、英語で話しているときも日本語の時と同じように「うん、うん」とうなづいてしまい、これが相手に

 

「うんうんうん。で?で?で?」

 

という挑発的な印象を与えてしまう可能性があるからです。

 

うなづき以外だと、「褒め」について説明された箇所も印象的でした。

 

日本語話者が意外に苦手なのが、「褒める」という言語活動です。

(略)

英語ではちょっとしたことで相手を褒めます。

(略)

それに比して、日本語では英語ほど頻繁に褒め言葉を繰り出さないし、英語でなら褒める場合も褒めません。

(73ページより)

 

日本語では「他人を褒める」というよりは「自分を卑下する」頻度の方がはるかに多いと思いますが、英語ではちょっとしたことでもおおげさに褒めます。

たとえば人の服を見た時に、「今まで見た服の中で一番綺麗」というような表現を使って褒めます。

 

英語を話す時に、この種類のコミュニケーションになかなか慣れることができない日本人は多いなと思います。

 

どんどん褒めて、褒められたら素直に「ありがとう」と言う

 

英語を話す時にこれを意識すれば、よりスムーズにコミュニケーションがとれると思います。

「人を褒めず、褒められたら自分を卑下するようなことを言う」

これは日本語では変ではありませんが、英語でこれをやってしまうと相手に「?」と思われてしまうかもしれません。

 

具体的な表現も学べる!

いま書いたように、『話すための英語力』では、英会話の際に役立つコツが学べますが、具体的な英語のフレーズについてもかなり載っています。

 

たとえば

意外に丁寧な英語

というセクションでは、依頼する表現について、

(1)Please write a letter of recommendation for me.

「推薦状、書いてください」

(2)Would you please write a letter of recommendation for me?

「推薦状を書いて下さいますか?」

・・・

・・・

・・・

(111ページより)

 

と、段階的に全5パターンの依頼表現が紹介されています。

 

こういうのは本当にためになりますね。

具体的に英文が載っているのはかなりうれしいです。

 

本で読んだ内容を実際の英文で実感するというプロセスを踏むことで、記憶に残りやすいですね。

この本を読む人は、ぜひ載っている英文の読み込みも実践してみてください。

 

『話すための英語力』は、このように「コミュニケーション全般」という抽象的で範囲の広い話と「英文を使った実際のフレーズ」というこれ以上ないくらい具体的な話がバランスよく組み合わされているので、レベルが高いことが論じられているのにも関わらず、読んでいて全く飽きないんです。

 

実際、鳥飼玖美子先生は大学で異文化コミュニケーションを専門的に研究されていた方なので、専門家という立場から難しい話をすればいくらでもできるのだと思います。

しかし、この本は誰が読んでもわかるように書かれています。

 

これはスゴイことだなと思うんですよね。

「エライ先生」の本って、難しい言葉で難しいことについて書かれたものが多いですから。

そういう本を読むと、「あんたが頭良いのはわかったから、一般人でもわかる言葉で説明してくれ!」と思ってしまいます。

 

本当にスゴイのは、「レベルの高い話を誰でもわかるように書く」ことだと思うんです。

 

『話すための英語力』はまさにそんな感じで、コミュニケーションについての深い考察が、誰でもわかるように書かれています。

 

まとめ

というわけで今回は鳥飼玖美子先生の最新刊『話すための英語力』をレビューしてみました。

いつも書評を書くときは、本の気になった部分にボールペンで線を引きながら読み、それを眺めながらどんなレビューを書こうか考えるのですが、今回は本がボールペンで引いた線だらけで大変なことになってしまいました。

 

それだけ密度が高い本ということなのでしょう。

実際、この本についてはぼくも今後何回も見返す必要があるなと感じています。

 

新書サイズの本ですが、英語コミュニケーションについてのコツがこれでもかというくらい詰まっています。

英語でのコミュニケーションを上手く成立させたいと思っている人は、ぜひ手に取って読んでみてください!

話すための英語力 (講談社現代新書)

話すための英語力 (講談社現代新書)

 

 

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