キンコン西野氏の『新世界』を読んだら『ファイトクラブ』を思い出した話【レビュー】
本屋で平積みにされていてたまたま手に取った、キングコングの西野氏の『新世界』。
読み出したら止まらなくなってしまいました。
色々と思うところがあったのでレビューしていこうと思います。
信用経済って何よ?
この本は、3つのパートに分かれています。
まず第1章は、信用経済の話。
信用経済・・・これがこの本のある意味テーマと言ってもいいでしょう。
要するに、
お金とはそもそもが信用のこと。でも、今まではただ単に「つらい思いをしてその対価としてもらうもの」でしかなかった。
ところが今は、信用をお金に変える仕組みがいくつも出てきており、また、誰もがそれを使える時代になった。
たとえばクラウドファンディング。クラウドファンディングを使えば、信用さえあればネット上でお金を集めることができる。
・・・みたいな話で、これってこういう情報に敏感な人には、
「あぁ、いつものあれね」
ってくらいなじみのある話なんですが、全く知らない人には何のことだかサッパリわからない・・・みたいなテーマなんです。
この本では、信用経済についてこれでもかってくらいわかりやすい説明がされているので、
「信用経済って何? え、くらうどふぁんでんぐ? 人から金を集めるだと? だたの乞食じゃないか! けしからんブヒー!」
みたいな人は勉強としてぜひ読んでみるのをおすすめします。
ただ、ぼくはこういう話題については聞き飽きた前者なので、「西野氏の体験談はすごく面白いけど、新しい情報はないなぁ・・・」という感じで読んでいました。
ぼくが今回注目したいのは第2章です。
オンラインサロン
第2章のテーマが"オンラインサロン"。
この第2章が読んでいていちばん面白かった。
オンラインサロンについての詳しい説明はしませんが、簡単に言うとファンクラブみたいなもので、ただ、ファンクラブとは違い、
会員側もサービスを提供する
とか、時には運営側から会員にお金が流れたり、とにかく①サービス②お金の2つの流れが双方向なのが特徴です。
で、西野氏のオンラインサロン『西野亮廣エンタメ研究所』は会員数1万人を超える国内最大のサロンなんです。
ただの宣伝本ではない
『新世界』を読んだ人の中には、
「これってただのサロン宣伝本じゃん!」
と思った人もいるかもしれません。
ぼくも、以前ホリエモンの『好きなことだけで生きていく。』という本がただのサロン宣伝本で落胆した経験がありました。
(参考記事)
しかし、『新世界』を読んでいると、
サロンに入りたくなってくるんですよねwww
「っていうかサロンよくね?オレも入ろっかな・・・。」
と思えてくるくらい、なんというか、勢いというか、
やってやろうぜ!俺たちで世界を変えてやろうぜ!
みたいな、気持ち良いくらいのモチベーション、やる気、信念を感じ、
「うぉ~自分もサロン入ってなんかやりてぇ!」
みたいな気持ちになってくるんですよね。
この本のAmazonのレビューを見たんですが、
「行動できない自分でしたが、背中を押されました」
みたいな感想が多く、やはりこの本の啓発性はすさまじいのだなと思いましたね。
『ファイトクラブ』を思い出す
この本を読んでいてふと頭に浮かんだのが、ブラッドピッド主演の映画『ファイトクラブ』です。
※ネタバレ注意報!以下、『ファイトクラブ』のネタバレを思いっきり含みます。
平凡なサラリーマンの主人公が、唯一生きていいる実感を得られるのが、殴り合いをするだけの集団「ファイトクラブ」。
最初は本当に殴り合っているだけなのですが、やがて「ファイトクラブ」は現代の社会の仕組みや資本主義に疑問を持つ者たちの集団に変わり、最終的には社会的権威に対する破壊行動をするテロリスト集団に変わっていく・・・。
という話。
はっきりと断っておきますが、もちろん、ぼくは西野氏のサロンを危険な宗教団体だと言っているわけではありません。
サロンを傍観している限り、良いことしか言ってないし、良い人しかいなさそうだし、人によってはこのサロンを「搾取」だと言っていますが、月額費用も1000円と、高くはないです。
ぼくが似ているなと思ったのが、既存の価値観に疑問を持った人たちが集まり、熱が熱を生み、どんどん盛り上がっていっている部分です。
既存のレールに対する疑問とか、形は違えど、お金に対する既存の価値観への疑問とかもそっくりです。
映画「ファイトクラブ」の面白さのひとつは、既存の価値観に対する反抗的な活動が、見ていて気持ち良く、応援したくなり、ある種の快楽すらもたらすところです。
西野氏のサロンも、そういう快楽を周りに与えているんですよ。それはこの本を読むだけでも伝わってきます。
まぁ、結末は全然違いますけどね。
「ファイトクラブ」は結局テロリスト集団になり、最後は資本主義のシンボルとも言える銀行・クレジットカード会社を爆破してしまうのですが(ただの犯罪)、西野氏のサロンは面白いことを世の中に仕掛け続けてくれるでしょう。
でも、西野はサロンに入らないよ
この本を読んで、西野氏のサロンの考え方に共感し、自分も入ってみたいと思ったなら入ればいいと思いますけど、仮に、仮にですよ、
「自分も西野になりたい!!」
と思ったら入るのはちょっとおかしいと思うんです。
いや、こういう人って結構いると思います。西野氏になりたい人。
これ、オンラインサロン関係の本とか読むといつも思うのですが、
「いや、でもこのサロンの主がサロンをやってなかったとして、誰かのサロンに入らないよな」
っていう。
いやどういうことかというと、仮にホリエモンが今サロンをやっていなかったとして、そのホリエモンは誰かのサロンに入りますか?入りませんよね、って話です。
絶対自分で作りますよね。
その当時のボクが走っていたレールというのは、タモリさんや、たけしサンや、さんまサンといった先輩方が、もともと何も無かった世界に敷いてくださったレールだ。
当然、そのレールを走ると、最終的には、最初にレールを敷いた人間の背中を押す作業に入る。
「『踊る!さんま御殿!!』で結果を出せば出すほど、さんまサンの寿命が伸びる」という構造だ。
(『新世界』より一部引用)
このように、西野氏は、お笑いでトップ付近まで登りつめたけど、結局大先輩の背中は抜けなかった。そういう仕組みになっていた。。という内容を書いています。
ホリエモンとの共著『バカとつき合うな』にもこの話が載っていて、
いちばんになりたかった・・・的なことを西野氏は書いています。
いま、オンラインサロンを作ることで、西野氏は見事にいちばんになっています。
それは、レールを敷いたからなんですよね。
もう一度引用します。
「『踊る!さんま御殿!!』で結果を出せば出すほど、さんまサンの寿命が伸びる」という構造だ。
これが、
「『西野亮廣エンタメ研究所』で結果を出せば出すほど、西野サンの寿命が伸びるという構造」
になっているというわけ。
だから、西野氏にもしなりたかったら、今すぐ信用を貯める努力をして、自分でオンラインサロンを作る・・・なりなんなりしてレールを敷くしかないんですよ。
まとめ
というわけでキングコング西野氏の『新世界』をレビューしてみました。
記事中で「ファイトクラブ」を引き合いに出しています。
が、もう一度断っておくと、ぼくは西野さんのサロンが宗教団体ましてやテロリスト集団だなんてこの1ミリも思っていませんのでそこんところよろしくです^^
盛り上がっていく様子が、ふと「ファイトクラブ」を思い出させた・・・というだけですよん。