『ドラゴン桜2』の感想・レビューを元旧帝大のニートが超超超辛口で語っちゃったけど許してくれ。
旧帝大に入ったもののほとんど行かずにやめた系ニート(27)のかずーい(@kazuui81)です。
ドラゴン桜って覚えてますか?
経営破綻寸前の落ちこぼれ高校の再生を請け負った弁護士・桜木が「5年後に東大合格100人」を掲げて生徒を指導する・・・という話で、2003年から2007年まで『モーニング』で連載されていたマンガです。
実際に使える受験テクニックが詰まったハウツー本
として話題になり、ドラマ化までされました。
ぼく当時中学生で読んでましたが、高校受験にもかなり役に立ったのを覚えていますね。
で、10年以上経って続編がスタートしたんですよ。
タイトルは『ドラゴン桜2』。
この記事を書いている2018年12月現在で3巻まで単行本が出ているので全部買ってきて読んでみました。
今回は、作者の三田紀房ファンであり、元旧帝大の自分が感想を書いていこうと思います。
※以下、『ドラゴン桜』及び『ドラゴン桜2』3巻までのネタバレを含みます。
前作と一緒じゃん
いきなりハッキリ言うと、ドラゴン桜2はビミョーな点がいくつかあります。
2のあらすじは、
桜木の功績で東大合格者を輩出し、学校は再建成功。
一時は東大合格者2ケタを達成するも、桜木が学校を去ってから再び学校は落ちぶれてゆき、とうとう東大合学者はゼロに。
再び桜木が学校に乗り込む。。。
みたいな話で、1巻を読むと、桜木が生徒の前で「お前らみんな東大へ行けコノヤロウ」みたいな熱い演説をしています。
(『ドラゴン桜2』1巻より)
そして、東大専門コースを新設し、指導に取り組む・・・
ってこれ、前作と一緒の展開なんですよ。
東大専門コースには男女1名ずつ生徒が来るんですが、これも前作と一緒。
話自体は面白いんですが、今作はもうちょっと新しいものが欲しかったというのが正直な感想です。
なんでいまそれをやるの?感
そもそもの話、東大受験っていう題材がもうウケないんですよね。
前作『ドラゴン桜』では、登場人物もそうですし、読んでいる読者も含め、「東大」というものに唯一無二の価値を見い出せていて、そういう「絶対の価値」の獲得に向かって
「オリャアアア!行け!勉強しろ!合格しろ!うおおおおおお!」
という雰囲気が出ていたのが大きな魅力だったわけです。
が、10年以上経って時代は変わりました。
「東大に入れば万事オーケー」なんていうのは遠い昔の話。
東大含め、難関大学の卒業生でも就活に苦しんでいます。
また、東大自体も、かつてはアジアトップの大学だったのが、現在はアジアで8位です(アジア大学ランキング2018)。
東大、アジアで8位ですよ。アジアで。
下落し続けている東大に絶対の価値を見い出すのはもう不可能なわけです。
また、大学入試の仕組み自体がいま見直されていて、2020年度からはセンター試験の廃止を含む大学入試改革が行われます。
『ドラゴン桜2』がどのくらいで完結するのかはわかりませんが、おそらく連載途中で入試改革になってしまうのではないでしょうか?
そうしたら、それまでで説明されてきたテクニックがもう時代遅れになってしまう可能性もあります。
「なんでこのタイミングでこの題材・・・?」
マンガを読んで一番最初に思ったのがそれでした。
だって、作者の三田先生がこれの前に連載していた『インベスターZ』はマジで名作でしたから。
投資や金融・経済をテーマにしたマンガです。めちゃくちゃためになるし面白いしで、全巻買いましたもん。
次の期待値が大きすぎたのもあって「あれ・・・」という感が否めないわけです。。。
スマホで勉強・・・も当たり前
『ドラゴン桜2』では、東大専門コースの生徒はスマホを使って勉強します。
(『ドラゴン桜2』1巻より)
具体的に言うと、『スタディサプリ』っていう、人気講師のわかりやすい授業を動画配信で勉強できるアプリを使ってやるんです。
あとは、英語でツイートをしたり、ユーチューバーになって英語で話す動画を投稿したり・・・。
前作の時にはなかったテクノロジーを駆使して勉強して東大を目指すっていうところが今作の重要なポイントなんですが、これもなんかなぁ~という感じ。
だって、スタディサプリみんな知ってるし。
前作では、東大受験のためのテクニックが細かく解説されていたんですが、それらはどれも、
「へぇ~、こんな方法があったんだ!」
と思うようなものばかり。
それもそうで、こういう東大受験テクニックみたいなのって、予備校とか有名進学校の中だけで受け継がれてきたもので、いわば"門外不出のテクニック"だったわけです。
それを"門の外に"出してみんなに公開したというのが前作『ドラゴン桜』の功績であり、評価ポイントでもあるんです。
でも、いまとなってはネットが発達したおかげで、みんな簡単に最高のテクニック・最高のツールを知ることができちゃいます。
『スタディサプリ』もそうですし、英語でSNSで発信するというのもまぁよく聞く学習法です。
アッと驚く&深く感心するようなノウハウが詰まっているわけではないという点でも評価は下がります。
入試が全然変わってないことに驚愕
スタディサプリの出現・・・みたいに、勉強のツールはここ10年でそこそこ変化しましたが、
受験自体は10年以上前とほとんど変わってない
というのには驚きました。
入試自体ががらっと変わったなら、この『ドラゴン桜2』が果たす役目も大きかったと思うんですが、肝心な入試自体がほとんど変わっていないので、
「っていうか前作読んでその通りに勉強してもまだ全然合格できるんじゃね?」
と思わざるを得ないのですよ。
実際、まだまだ前作の方法論は通用しますよ。それで東大も合格できると思います。
こう考えるとますます「じゃあ今回の続編が果たす役目って何?」と思ってしまいます。
モチベーションアップ・自己啓発にはおすすめ
かなり辛口なレビューを続けてきましたが、おすすめできる点もあります。
このマンガを読むと、モチベーションがアップするんです。
受験生はもちろんですが、全然受験とか関係ない普通の社会人も、やる気アップは間違いないです。
『ドラゴン桜2』では「とにかくやれ!」という類のメッセージが何度も登場します。
(『ドラゴン桜2』1巻より)
「行動行動。とにかく行動。」というのは三田マンガの中では作品を問わず繰り返し出てくるメッセージです。
(『インベスターZ』8巻より)
三田マンガの自己啓発力は今作でも爆発しているので、モチベーションアップのために読むのは老若男女学生社会人問わずおすすめですね。
まとめ:今後も読むけどね
というわけで今回は『ドラゴン桜』の続編『ドラゴン桜2』をレビューしてみました。
かなり辛口レビューをしてしまいましたが、今後出る単行本はぼくは全部買って読みますw
だって、面白いから。
ってお前言ってることが・・・!!!
という感じだと思いますが、この記事ではあくまで作品だけを見て評価しただけで、
- 前作の『ドラゴン桜』ファンであり、ドラマ版も全話見ていて
- 受験というカデゴリーも個人的に好み
な自分にとってはめちゃくちゃ面白いです。
第1巻の最初で、久しぶりに高校を訪れた桜木がダラケ切った学校運営側に活を入れるシーンの後、昔の桜木を知る教師のこんな1コマがあります。
ここまででも書いた通り、東大受験というテーマのマンガを今やるのってどうなんだろう・・・というのが一般的な批評を考えると思うところですが、
前作『ドラゴン桜』ファンにとっては嬉しさしかない
のは確かです。
「これこれ!懐かしいこの感じ!」
少なくとも前作が好きなら間違いないですね。
あ、言い忘れましたけど、2巻を買うとき注意です。
本屋に行ったら、背表紙に『ドラゴン桜2 2』って書いてあるのが2巻です。
ぼくは間違えて3巻が2巻だと思って買っちゃいました。『ドラゴン桜2』の「2」が2巻の2だと勘違いしたんですw