日本人にとってフランス語の発音は難しいのか?発音記号をすべて書き出して検証してみた!
フランス語を勉強しようと思った時に、いちばん最初にやらなければいけないのは発音の練習です。
完璧にする必要はないのですが、少なくとも発音のポイントをいくつか押さえていなければ、音読などができないので、学習を進めていくことができません。
しかし、フランス語の発音は難しいことで有名ですね。
ぼくはフランス語の知識がゼロの状態で聴いたときは、
「なんだこの音?」
と思いました。
しかし、本当にフランス語の発音は難しいのでしょうか?
実は、ただ難しく聴こえるだけで、世間の評判も全くフランス語を知らない人が想像で言ってるだけだとしたら・・・?
今回は、そんな期待を持ってフランス語の発音を発音記号まで分解して検証し、最後には発音の勉強法も書いてみました。
※以下、発音記号を挙げていきますが、発音の分類については諸説あります。この記事では、学習に役立てるという観点から発音について考えたものです。
子音
フランス語の子音を発音記号で挙げてみます。
[ f ] [ v ] [ ɲ ] [ ʁ ] [ p ] [ b ] [ t ] [ d ] [ k ] [ g ] [ m ] [ n ] [ s ] [ z ] [ ʃ ] [ ʒ ] [ l ]
この17個がフランス語で使われる子音です。
こんなの急にバッと挙げられてもわからん、と思うかもしれませんがとりあえず大丈夫です。
さて、日本語の子音はいくつかというと、16個。
数だけを考えると、ほとんど変わらないということがわかりますね。
では、この17個のフランス語の子音のうち、いくつが日本語と同じノリでイケるのかを考えてみようと思います。
「同じノリでイケる」というのは、たとえばフランス語の [ m ] は、日本語の「まみむめも」で使われるエムと考えてもとりあえずは大丈夫というような意味です。
このように「特別な訓練が必要なくてもとりあえずは大丈夫そうなもの」を赤字で示してみます。
[ f ] [ v ] [ ɲ ] [ ʁ ] [ p ] [ b ] [ t ] [ d ] [ k ] [ g ] [ m ] [ n ] [ s ] [ z ] [ ʃ ] [ ʒ ] [ l ]
17個中、10個は日本語と同じようなノリでOKなんです。
さらに、「練習が必要だけれどもそこまで苦労はしないですぐにできるようになるもの」を青字で表してみます。
[ f ] [ v ] [ ɲ ] [ ʁ ] [ p ] [ b ] [ t ] [ d ] [ k ] [ g ] [ m ] [ n ] [ s ] [ z ] [ ʃ ] [ ʒ ] [ l ]
このような感じになりました。
残った発音のうち、[ ʁ ] の発音、つまりフランス語のアール(r)の発音は学習者の中でも難しいと言われている音です。
ただ、このアールの音さえ徹底的に練習すれば、残る発音はそこまで難しくないです。
とりあえず子音のみを考えてみましたが、日本語の音でとりあえずは代用してOKなものが17個中10個あり、残る7個の中でも難しいのは1つ、と、かなり楽なのではないかと思ってきました。
母音
続いて母音です。子音の時と同じように、フランス語の母音を発音記号で挙げてみます。
[ i ] [ y ] [ u ] [ e ] [ ɛ ] [ o ] [ ɔ ] [ ø ] [ ə ] [ œ ] [ a ] [ ɑ ] [ ɛ̃ ] [ œ̃ ] [ ɑ̃ ] [ ɔ̃ ]
この16個がフランス語で使われる母音です。
では、日本語の母音はいくつかというと、みなさんご存知の通り、「あいうえお」の5個です。
ん?5個・・・・・?
5個!?
もう一度数えてみましょう。あ、い、う、え、お・・・・。確かに5個ですね。
なんだかアヤシクなってきました。
では、さきほどと同じように、「日本語と同じノリで発音して大丈夫なフランス語の母音」を赤字で示してみます。
[ i ] [ y ] [ u ] [ e ] [ ɛ ] [ o ] [ ɔ ] [ ø ] [ ə ] [ œ ] [ a ] [ ɑ ] [ ɛ̃ ] [ œ̃ ] [ ɑ̃ ] [ ɔ̃ ]
え!?赤字がひとつもない!
そうなんです。フランス語は、17個も母音がある上に、そのすべてが、日本語の「あいうえお」とは違うんです!
なので、ひとつひとつ発音できるように練習していくしかないというわけです。
さらにさらに、子音の時とは違い、フランス語の母音は、音が出せるようになるまでに結構な練習を要します。
上ににょろっとしたのがついた [ ɛ̃ ] のような音は鼻母音と呼ばれる音で、鼻から抜ける母音ですが、これが特に難しいです。
子音のときはちょっと期待が持てましたが、母音を考えるとかなり難しそうです。
リエゾン・アンシェヌマン・エリズィヨン
フランス語には、リエゾンやアンシェヌマン、エリズィヨンと呼ばれる発音上のルールがあります。
これらは、簡単に言えば単語同士の連結部分をどう発音するのか、ということに関するきまりです。
たとえばリエゾンは、発音されない語尾の子音を、次の音と一緒に発音するものです。
なんのことかわからないと思うのでちょっと日本語で考えてみようと思います。
「反応」という言葉。これは「はんのう」と読みますが、漢字一文字ずつで見ると、「はん・おう」ですね。
これは、「はん・おう」が、発音しやすいように「はんのう」と変化したと見ることができます。
このような"音の連結のルール"がフランス語にもあり、これらがリエゾンであり、アンシェヌマンであり、エリズィヨンなのです。
と説明しましたが、要するにこれらが難しいんですよ。
フランス語の発音は、正しい子音と母音の音を習得するだけではないということです。
その他にもごちゃごちゃとしたルールがあるんですね。
結局どうなの?
というわけでフランス語の発音について検証してきましたが、結局この記事のタイトルの質問「フランス語の発音は難しいのか?」については、
めちゃくちゃ難しい
という答えが得られましたw
世間の評判は正しかったようです。疑ってすみませんでした。
フランス語の発音勉強法
そんな難しい発音ですが、難しくてもやはり発音は大事なのでしっかりと練習しないといけません。
これについては、ひとつひとつの発音の出し方を練習できる本を使うしかないです。
いちばんおすすめなのは『やさしいフランス語の発音』です。
ぼくも購入し、今回の記事作成の参考にしました。
この本では子音、母音すべてがひとつひとつトレーニングでき、さらにリエゾンやアンシェヌマン、エリズィヨンの練習、アクセント、イントネーション、リズム、具体的なフレーズの発音練習までができるようになっています。
これだけの内容ですが分厚い本というわけではなく、サクッとできる本なので、フランス語初心者の人は学習の初期段階にこの本に取り組むことをおすすめします。
さいごに
というわけで今回はフランス語の発音は難しいのか?ということを検証するべく、発音記号を書き出して考察してみました。
結果、大方の予想通り、日本人にとってフランス語の発音はめちゃくちゃ難しいことがわかりました。
フランス語の入門書には、最初の方のページに発音のルールがちょろっと載っていますが、これだけではちょっと習得は厳しいなと思います。
変な癖をつけないという意味でも、やはり発音は専用の参考書を使って、学習の初期段階である程度時間をとって練習することをおすすめします。
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