白水社の語学書『ニューエクスプレス』シリーズが最高すぎる件。
『ニューエクスプレス』という語学テキストを知っていますか?
白水社という出版社が出している初心者向け語学参考書で、外国語学習をはじめる初心者を中心に、とても人気のあるシリーズです。
ぼくもこの『ニューエクスプレス』の大ファンで、いろいろ買っては読んでいます。
今回は、このシリーズの魅力について書いてみようと思います。
多数の"マイナー言語"に対応!
まず、最大の特徴として、『ニューエクスプレス』は多数の"マイナー言語"に対応しているという点が挙げられます。
日本では、外国語学習といったら英語のことを指しますよね。
英語を除くと、フランス語や韓国語、中国語、スペイン語などが人気的にはその後に続きますが、英語と比べたら、学習者の数は、文字通りケタ違いです。
普通、"マイナー言語"といったら、本当に話者数の少ない、名前が人にあまり認知されていないような言語を指すんですが、日本では英語以外すべてマイナー言語といったような状況です。
『ニューエクスプレス』シリーズは、このような英語以外の言語を取り扱っている、とても貴重な存在なんです。
一応英語もあるんですが、『イギリス英語』という、やっぱり変化球なんです。さすがですw
ちょっといくつかそのラインナップをあげてみましょう。
ビルマ語
アイヌ語
現代ヘブライ語
フィンランド語
ラトヴィア語
タミル語
ブルガリア語
ペルシア語
ラテン語
デンマーク語
10冊あげてみましたが、これはほんの一部です。
この他にも、フランス語や中国語など、日本で比較的人気のある第二外国語も出版されています。
中でも驚いたのが、今年(2016年)出版された、『ニューエクスプレス シンハラ語』です。
シンハラ語、名前すら聞いたことがない人も多いかもしれません。
シンハラ語は、スリランカの公用語で、ネイティブスピーカーは約1500万人います。
このシンハラ語、ずっと気になっていたんです。というのも、文字が世界一かわいいからですw
මෙම සිංහල වේ.
ඔබ ලස්සනයි හිතන්නේ නැහැ.
ただ、良さげな初級テキストがなく、情報が全く手に入れられなかったので、『ニューエクスプレス』からシンハラ語が出たときは感動しましたね。
初級レベルが気軽に学習できる
『ニューエクスプレス』は、どの本も大体次のような内容です。
~語ってどんなことば?
文字と発音
テキスト、文法解説
練習問題
単語リスト
まず、その言語がどんなことばなのか、についての解説があります。
ここを読むことによって、その言語の背景にある情報をサクッと知ることができます。学習のモチベーションも上がるんですよね。
文字と発音についてもしっかりと解説されています。
言語にとっての文字と発音は、ピアノでいう音階のようなもので、これがないと始まらないんです。『ニューエクスプレス』では、文字と発音のシステムについても最初に学べます。
続いては、メインのテキストです。これは、ちょうど中学校の英語の教科書を想像していただくとわかりやすいかと思います。
つまり、2人か3人くらいの人物の会話があり、その後に単語リストとそこで使われた文法解説が続き、きりの良いところで練習問題があるという具合です。
この"スタンダードな教科書"という体裁がすごく良いんです。
日本で最初の同時通訳者のひとり、國弘正雄は、中学校の英語の教科書をひたすら音読することの高い学習効果を提唱していました。
『ニューエクスプレス』も、ちょうど一冊で英語で言う中3レベルくらいまでの文法事項を網羅しています。
これを何度も音読することで、その言語の基礎を身に着けることができちゃうんです。
しかも、どの本も全20課で構成され、ページ数も全部で150ページ弱ほど。
分量的に見ても、かなり取り組みやすいといえるでしょう。
やはり、外国語学習の初級レベルは、とにかく挫折との勝負。『ニューエクスプレス』のような取り組みやすいテキストを使うのがベストだといえるでしょう。
外国語学習者の強い味方!
このように、中身のクオリティーについても申し分ない『ニューエクスプレス』ですが、やっぱり、ぼくはどうしても「マイナー言語のテキストを扱っている」というところに好感を持ってしまうんですよね。
というのも、勉強している人が少ない言語って、とにかく参考書がないんですよ。
言語によっては、"少ない"というレベルを通り越して、本当に"ない"んです。
そんな状況において、『ニューエクスプレス』は本当に救世主的な存在なわけです。
ついこの前も、国際語学社という、アジア言語の参考書を多く扱っていた会社が倒産してしまい、テキストがすべて絶版になってしまいました。
良質なテキストを扱っていただけあって、とにかく悲しかったですね。
やっぱり、英語以外の語学参考書って、正直な話あんまり儲かる分野じゃないと思うんですよね。
そんな中で、ひたすら良いものを提供し続け、そして一定の評価を得続けている『ニューエクスプレス』、というかそれをプロデュースしている白水社って、すごいなと思います。
まとめ
『ニューエクスプレス』シリーズは本当におすすめです!
その言語を勉強する人はもちろん、「ちょっと○○語が気になるな」いうレベルでも、このシリーズを買って眺めてみると、勉強になりますし、いろいろな発見があって面白いと思います!
ぜひ手に取ってみてください!
(こちらの記事もおすすめ)
『外国語を学ぶための 言語学の考え方』(黒田龍之助著)は外国語を学ぶすべての人に読んでもらいたい一冊!