大人は漢検何級から受ければいいのか?おすすめの級を考えてみた。
「漢字検定」というと、小中学生が受験するテストだと思う人が多いかもしれません。
しかし、実は漢検は、大人にもおすすめの資格試験なんです。
たしかに漢検は、就活や転職などのキャリア面では、英検などと比べるとそのメリットは小さいと言わざるを得ないでしょう。
ところが、勉強を通じて日本語力そのものを鍛え、周りから「この人は出来る人だ」「頭の良い人だ」と思われるような存在になれるという点で、漢検受験は非常におすすめなんです。
実際、日本漢字能力検定協会も大人にフォーカスして宣伝をしていますし、大人の受験者数も近年増えていると感じます。
ただ、受験しようと思ったときにまず迷うのが、「どの級を受ければいいのか」ということですよね。
ということで今回は、大人が漢検を受ける場合におすすめの級について考えていこうと思います。
1級、準1級は難しすぎる!
一番難しい級である1級、そのひとつ下の準1級についてまず見てみましょう。
公式から出ている過去問から、ちょっと準1級の読み問題を2つ引用してみます。
衆生済度の弘誓を立てる。
作品に犀利な感覚がほとばしる。
どうでしょう、わかりましたか?
これらの読み方がわかり、また意味もわかった方は相当な漢字力も持ち主だと思います。ほとんどの人がわからなかったのではないでしょうか。
今の2問でおわかりいただけたと思いますが、準1級以上はちょっと難しすぎるんです。
やはり、実際の生活で役に立つような語彙を増やせる級でないと、漢字マニアになりたいという人以外にとっては、モチベーションが上がりませんし、何より漢検を勉強することで得られるリアル生活でのリターンが少なくなってしまいます。
準1級では「表外の読み方」を問う問題も出題されます。この「表外の意味」とは、常用漢字表にはない読み方のことを指します。
たとえば、
言葉に刺があった。
(答え:とげ)
などの読みです。
「常用漢字」って社会生活で使われる漢字のことじゃないですか。その表外の読みを聞くって、実際にはあまり役に立ちませんよって公式が認めてるようなもんですよね笑。
ちなみに、1級はもっとマニアックな問題が出題されます。
友人のヘンテコな格好に吹き出した。
(答え:変梃)
ぼく自身は漢検2級ですが、2級に合格した後に準1級の勉強をしようと思ってテキストを見て「あっ・・・」と察してやめました。
4級以下はもの足りない
続いてぐっと下がって4級について考えてみましょう。さっきと同じように、27年度の問題から読み問題を2問引用してみます。
事態が切迫してきた。
夏を迎え電力の需要が増大する。
どうでしょうか?
おそらくほとんどの人が正しい読みを答えられたのではないかと思います。
ただ、今度はちょっと物足りなさを感じませんか?
漢検は一番簡単なのは10級までありますが、4級以下のレベルの級になると、大人にとってはちょっと歯ごたえがない問題になってしまうんですね。
たしかに、4級も内容としてはすごく良いですし、実際に使える語彙も多く収録されているんですが、もうちょっと難し目の内容で、ちょうど良い負荷がかかるくらいの方が学習効果が期待できそうです。
さきほど1級、準1級は難しすぎるからナシという結論になったのですが、4級まで下げてしまうと今度はちょっともの足りないなという感じですね。
3級はおすすめ!
ひとつ上げて3級の過去問を見てみましょう。
官民一体となって景気の浮揚を図る。
風船が今にもハレツしそうだ。
「あれ?」と思った人がちらほら出てくるのがこの段階です。
「ハレツ」、何も見ないで書けますか?
注目していただきたいのが、問題以外の部分、たとえば「官民一体となって」などです。
3級では、このように直接は問題になっていない部分でも、勉強することで語彙力が補強されるような表現が多く含まれています。
3級は語彙力を上げるという大人のモチベーションから考えてもおすすめですね。
ただ、問題なのが四字熟語です。
3級の四字熟語問題は、問題形式が文中の四字熟語のうちの二文字を漢字に直すというものなんですが、これでは意味がわからなくてもひたすら四字熟語を丸暗記すれば突破できてしまうんです。
四字熟語はやはり意味が大事で、これを問題形式で練習できないのはちょっとマイナスポイントですね。
準2級、2級もかなりおすすめ!
そこで準2級と2級です。
準2級と2級では、ちゃんと四字熟語の意味を選ばせる問題が出題されるんです。
なので、勉強を通じてちゃんと四字熟語の意味も一緒に覚えることができます。
ちなみに、準2級と2級はレベル面で見ても、大人にとってちょうど良い負荷でおすすめです。
ちょっと過去問から引用してみます。
納めた所得税の一部が還付された。
失業者の激増が革命を誘ユウハツした。
(準2級)
父の薫陶を受けて一人前になる。
恥のウワヌり。
(2級)
なかなか骨のある問題ですね。
また、準2級と2級で最もおすすめなのが、大問7の、
次の各文にまちがって使われている同じ読みの漢字が一字ある。上に誤字を、下に正しい漢字を記せ。
という問題です。
誤字を見つけて直せば正解なんですが、この問題の問題文が日本語の語彙力を”発信力”ろいう面で上げる上でとても良いんです。
たとえば、2級で出題されるのは次のような文(すでに誤字は修正済みです)。
消費税率が引き上げられて増大した住宅購入者の負担を軽減するため、国は様々な優遇制度の拡充を決めた。
これを音読することで日本語の語彙と発信力がぐいぐい伸びていきます。
(しょうひぜいりつがひきあげられてぞうだいしたじゅうたくこうにゅうしゃの・・・)
と声に出して読むというトレーニングをするわけです。
そうすれば、ニュースを見ていて消費税関係の話題が自然と頭に入ってくるようになりますし、普段の会話で「消費税率」「住宅購入者の負担」など、漢検の勉強をしていなければ口にしなかったであろう言葉が口をついて出てくることでしょう。
まとめ
というわけで今回は「大人は漢検何級から受けるのがおすすめなの?」ということについて考えてみました。
いま見てきたように、おすすめなのは3級、準2級、2級です。
3級か準2級から受けて、合格したら2級に挑戦して、2級がゴール、というのが良さそうですね。
ちなみにおすすめの勉強方法については、↓の記事に書いたのでぜひ参考にしてみてください。
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