洋書は切り刻んで読め!初心者~中級者におすすめの「英語力を上げるための」洋書の読み方!
洋書が読めるようになりたい!
という目標を持って英語を学習している人は多いと思います。
洋書が読めるようになると、英語学習がとにかく楽しくなります。
ぼくは映画が好きなのでよく映画の原作を洋書で読みますが、好きなことがそのまま勉強になるのはすごく楽しいことですし、何よりモチベーションが維持されるんですよね。
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ただ、相当な上級者でもない限り、洋書を辞書なしで完璧に読めることはないでしょう。
そこで今回は、英語学習として洋書読書を考えた場合、どのように読んでいけばいいのかを詳しく解説してみることにしました。
キーワードは2つ。
「ていねい読み」と「ざっくり読み」
です。
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ていねいに読む
これは洋書に限ったことではないんですが、英文を読む際に最も基本的となるのがこのスタンス。
その英文で使われている文法や単語ひとつひとつに意識を向け、ていねいに意味を取りながら読んでいく読み方で、英語学習法を扱った本などではよく
精読
と呼ばれている方法です。
いま、巷の英語学習本では多読(とにかく多くの本を読むこと)やパラグラフリーディング(段落ごとの意味に注意して読む)がもてはやされているように感じます。
たとえば多読では、洋書を読んでいて遭遇したわからない単語や英文の構造を飛ばしながらとにかくたくさんの英文に目を通すことを目的とします。
しかし、ぼくはこれは中級者以上の人向けの学習法だと思っていて、初心者や洋書を読みなれていない人が安易に手を出すのは危険だとすら思っています。
というのも、英語学習というのは、総じて
知識の習得→慣れ
という流れをたどるものだからです。
つまり、単語や文法についてほとんど知らないまま英文をただ読んでも、それによって頭に知識として蓄積されるためのベースとなるものがそもそもないので、学習効果が得られないのです。
これが、「ていねいに読む」ことが一番大切で、基本的なスタンスである理由です。
さて、続いて具体的にどうやって読んでいけばいいのか、ですが、まず、わからない単語に遭遇したらその意味を辞書で調べます。
最初のうちは、わからない単語をすべて調べるのがいいでしょう。
これはかなり大変なんですが、慣れてくると辞書で調べるべき単語・調べないで大丈夫な単語がわかってきます。
辞書で調べなくてもよい単語というのは、たとえば人名やその後一生出会わないであろうマニアックな単語です。セイタカアワダチソウとか。
調べた単語は、今後のためにノートに書いてあとで復習するのがおすすめです。
ぼくは読書中にいちいちノートを取り出して記録していたら効率が悪いので、iPhoneの英和辞書で調べたらとりあえずその単語のページをスクリーンショットで記録し、あとでまとめてノートに殴り書きしています。
(適当でいいのでノートに単語をまとめておこう)
わからない単語はないんだけれども、文法的にわからない表現に遭遇した、というときもそのままにして放っておくようなことはしません。
ただ、文法の場合は単語のときと違って、辞書で調べて解決、というわけにはいかないんですよね。
これについては、例えば英語を習っている人なら英語の先生に聞いたり、英文読解のテキストや文法書を使って学習した人はそれらの本を参照することになります。
それでもわからないという場合はあきらめて無視して飛ばしてしまってOKです。
ただ、一応ひとつヒントを書いておくと、文法がわからないと思っても、実は単に熟語を知らないだけだったという場合がよくあります。
これが英単語の奥深いところなんです。
たとえば、中学1年で「get」という単語を覚えると思いますが、「get」という単語には熟語がたくさんあります。
- get up
- get by
- get rid of などなど。
知らない熟語を見ると「ここの"文法"がわからない」と錯覚してしまいがちです。
熟語の可能性があるなと思ったらすぐさま辞書を調べましょう。ここの労力を惜しまないのが上達のコツです。
具体的な調べ方ですが、ぼくはまずiPhoneの『ロングマン英和辞典』で調べ、その後にアルクの『英辞郎』でもう一度調べます。
英辞郎はネット上の辞書のようなもので、初心者から上級者まで人気のあるウェブサービスです。
英語学習・TOEIC対策・英辞郎 on the WEB | アルク
それでもわからない場合は、グーグル検索でなんとか探そうとします。
この検索方法については、 『Google英文ライティング 英語がどんどん書けるようになる本』という本で超詳しく書かれています。この本はおすすめ。
Google 英文ライティング: 英語がどんどん書けるようになる本
- 作者: 遠田和子
- 出版社/メーカー: 講談社インターナショナル
- 発売日: 2009/12/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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ざっくり読む
続いて、もうひとつのアプローチとして大事なのが「ざっくりと読んでいく」ということ。
よく「速読」とか「多読」という言葉とともに英語学習本で説明されているのがこの読み方です。
ひとつ前で「いちばん大事なのは精読だ」ということを述べました。
確かにその通りなんですが、実はこの「ざっくり読み」が抜けてしまったら洋書は読めるようにならないんです。これら2つの読み方で読んでいくことで読む力がつきます。
これは、先ほど紹介した英語学習上達のプロセス
知識の習得→慣れ
の「慣れ」の部分にあたります。
「ていねい読み」で身につけた知識を今度はちゃんと使えるものに変えていく段階です。
この「ざっくり読み」では「ていねい読み」とは異なり、わからない単語に出会ってもなるべく辞書はひかないようにし、細かい文法も気にしないで、全体の意味を取ることに注意して読んでいきます。
「全体の意味だけに注意して読む」というのは多くの日本人の英語学習者が苦手としていることです。
なぜなら、これは学校では教えてくれないからです。
学校での英語の授業では細かい文法やスペルにこだわり、全体としてこの文章では何が言いたいのか、ということにフォーカスした学習はやらない傾向があるんです。
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受験英語は今すぐ忘れろ!その弊害についてどうしても語りたい。
なので、これは特に注意して意識する必要があります。
多少乱暴な言い方をすれば
「とにかく適当に読め」
ということです笑。
わからない表現がたくさん出てくるとは思いますが、我慢して辞書を引かないで下さい。
「ていねい読み」と「ざっくり読み」はどちらが欠けてもだめなんです。
「ていねい読み」ばかりやってしまうといつまでたっても速く読めるようにはなれませんし、「ざっくり読み」ばかりやっていても正確に読めるようになれません。
また、リズムも意識して読んでください。
英語は日本語と比べるとアクセントが強く、文単位でも重要な単語を強調して発音します。
スピーキングの場合に限らず、英文を読んでいるときにもリズムを意識して読めるようになれば、より速く・正確に読めるようになっていきます。
ちょうどネイティブスピーカーが話しているような英語を頭の中でイメージしながら洋書を読んでいくように努力するとリズムを意識した読みができます。
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本当に全くわからない人は
洋書を買って読み始めたはよいが、本当に全く、全然意味がわからないという場合もあると思います。
そういう場合のために、解決策を3つ紹介します。
①教材に戻る
ひとつは洋書は一度やめて、リーディングに特化した教材に戻るという方法です。
圧倒的に読みの技術が足りていない場合、この方法を取ったほうが結果的に効率がよくなります。
具体的に何を使えばよいのかという話ですが、たとえば『英語上達完全マップ』、『瞬間英作文』で有名な森沢洋一氏は、『基礎英文問題精講』という本によって洋書を読むのに必要な構文をマスターしたそうです。
- 作者: 中原道喜
- 出版社/メーカー: 旺文社
- 発売日: 2004/09/22
- メディア: 単行本
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この『基礎英文問題精講』は大学受験向けの英語参考書になります。
洋書が読めるようにならない人で、これら構文系の参考書を終了していない人は、このような参考書を1冊潰しておくとかなり視界が良好になります。
その際、いま紹介した『基礎英文問題精講義』を使わなくてももちろん大丈夫なのですが、できれば大学受験の参考書から選びましょう。
大学受験向けの参考書というのは、英文読解に関しては研究され尽くされていて、洋書を読みたい人がその基礎力をつけるためにはベストです。
これ以外にはぼく個人的に、『基礎英文解釈の技術100』は分量・難易度を考慮してもかなりおすすめです。
②ラダーシリーズを使う
語彙が足りない!というのが理由で読めない人は『ラダーシリーズ』というちょっと特殊な洋書を使うのがおすすめです。
オズの魔法使い The Wizard of Oz (ラダーシリーズ Level 2)
- 作者: フランクボーム,Lyman Frank Baum
- 出版社/メーカー: IBCパブリッシング
- 発売日: 2005/07/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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普通の洋書はネイティブが楽しむためにあるものであり、語彙には当然制限がありません。
それに対し『ラダーシリーズ』は、英語学習者向けに使われる語彙が制限されており、初心者でも洋書が楽しめるようになっているんです。
普通の洋書を読んでみて「わからない単語だらけでさっぱり」という人はまずはこの本から始めてみましょう。
ちなみに、この『ラダーシリーズ』について詳しくはこちらの記事にまとめたのでぜひ合わせてお読みください。
③あきらめずに読む
もうひとつの解決策(?)は、わからないんだけど辞書を片手になんとか洋書と格闘するという方法です。
実は全く洋書がわからないと最初は思っても、頑張って食らいついていくうちに少しずつではありますが読めるようになってくる場合があります。
これは、ある程度英語学習が進んでいる人、具体的には英検準1級を目指す~合格くらいのレベルで、初めて洋書を読む人におすすめの方法です。
洋書の英文は、普通のテキストに出てくる英文とは少し違い、独特のクセがあります。
日本の小説を考えてもそうですよね。それぞれの作家ごとの文体の違い・クセがあるじゃないですか。
すでにある程度英語ができる人は、単純に洋書自体に慣れていない場合があるんです。
なので、難しいからといってすぐにあきらめずに、とにかく食らい付いてみる、というのも試してみてください。
まとめ
洋書を読む際は「ていねいに読んでいるのか」または「ざっくり読んでいるのか」を意識すると学習効果が高くなります。
基本となるのは「ていねい読み」で、これがなければ「ざっくり読み」には入っていけません。
ただし、中級者~上級者になるにつれて「ざっくり読み」の割合がだんだん高くなってきます。
語彙や文法についての知識が増えてくるにつれて、ていねいに読んでいく必要がなくなってくるのです。
こうなると英語での読書が勉強ではなくただの楽しみになります。
ぜひこのレベルを目指してやっていきたいものです。
また、この2つのアプローチは人によって無限のアレンジが可能です。
例えば、「ていねい読み」において、熟語が苦手だなというひとは文法や単語にはあまり注意を向けずに熟語だけに焦点を絞って読むことができます。
「ざっくり読み」にしても「今回はちょっとスピードをできるだけ速くして読んでみよう」みたいに、いろいろなアプローチが可能です。
今回の記事のタイトルはそのような意味をこめてつけました。
つまり、いろいろな方向から切り込んでアプローチしていくわけです。
本当に洋書をカッターで切らないでくださいね笑
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