TOEIC LRとSWでは何が違うの?受ける前に知っておくべき違いを解説してみた!
英語の資格試験として有名なTOEICですが、実はTOEICには大きく分けて3種類のテストが存在します。
それは、
- TOEIC Listening&Reading (TOEIC LR)
- TOEIC Speaking&Writing (TOEIC SW)
- TOEIC Bridge Test
の3つです。
3つ目の「TOEIC Bridge Test」は、通常のTOEICと比べて難易度がやさしく、問題数、時間が半分もなっている初心者向けのテストで、まさにTOEICへの"架け橋(=ブリッジ)"となる試験です。
普通"TOEIC"と言うと、意味するのはひとつ目の「TOEIC Listening&Reading Test」のことです。
しかし、最近2つ目の「TOEIC Speaking&Writing」、通称「TOEIC SW」が徐々に注目されるようになるにつれて、
「この2つって何が違うの?」
と思っている人も増えていると思います。
というわけで今回は「TOEIC LRとSWの違い」を解説してみました。
TOEICの受験を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
※最新の情報については受験前に必ず公式HPをご確認ください。
TOEIC|コミュニケーション英語能力を測る世界共通のテスト
測る技能・問題の形式が違う!
まずは、2つのテストの問題形式の違いについて説明していこうと思います。
色々と細かい違いがあり、全部挙げるとキリがないので、ここでは受験者として絶対に知っておくべきことをピックアップして紹介していきます。
TOEIC LRテストとは?
まず、TOEIC LRは「Listening&Reading」、つまり「聞く&読む」技能を測るテストです。
LRでは、前半ではリスニング問題が出題され、後半ではリーディング問題が出題されます。
解答はマークシート方式で、すべて選択問題です。
LRテストの特徴は、とにかく"忙しい"ところです。
リスニングではかなり速いスピードの英語を大量に処理する必要があり、続くリーディングでも、かなりの量の英文を読まされます。
リーディングについては、受験者のうちのほとんどが時間内に解き終わらないくらいの量です。
頭フル回転、フルスピードを2時間ぶっ通しで続けなければいけないという、非常に忙しく、またタフさが要求されるテストです。
ちなみに受験料は税込で5725円(2016年12月現在)と、他の英語資格と比べてもかなりリーズナブルな値段での受験が可能です。
TOEICと似ている名前の英語試験でTOEFLというのがありますが、こっちは受験料が2万円以上します。
気軽に受験できて英語の力を測れるという意味ではおすすめだと言えますね。
TOEIC SWテストとは?
続いて、TOEIC SWは「Speaking&Writing」、つまり「話す&書く」技能を測るテストです。
最初、20分間程度のスピーキングテストがあり、その後約60分程度のライティングテストが続きます。
TOEIC LRとの違いとしては、「マルかバツかで正解が決まるテストではない」というのが最も大きいでしょう。
SWテストでは、自分がPCに向かって吹き込んで録音した英語や、自分が書いた英作文を、複数の採点基準に従って、人が採点します。
たとえばスピーキングテストには音読問題がありますが、この問題では
- 発音
- イントネーション
- アクセント
といった基準から総合的に判断されてスコアが決定されます。
LRのように答えが(A)なら(A)、(B)なら(B)というように白黒はっきりしているわけではありません。
SWでは解答の自由度が高く、同じ点数でも無数の解答があり得るわけです。
また、さきほどLRの説明で「忙しいテストだ」と書きましたが、SWでは問題ごとに制限時間が決まっており、時間もそこまでシビアではないので、比較的余裕のあるテストだと言えます。
ちなみに受験料は税込で10,260円と、少し高め。
人を使って採点するので、人件費がかかるのかもしれません。
なお、スピーキングのみでの受験も可能で、その場合は6840円で受けられます。
(2016年12月現在の価格です。申し込み前の受験料の確認は忘れずに!)
形式の違いまとめ
色々と違いを見てきましたが、いちばん大きいのは、測る技能が「受信型の英語力」なのか「発信型の英語力」なのかということです。
つまり、LRは「聞く&読む」能力なので、英語を理解する力、つまり"受信する力"が測定できます。
それに対してSWでは「話す&書く」という、自分から英語を"発信していく力"が試されるんです。
(TOEIC LR)
- 「聞く・読む」=受信型の英語力を測定
- 解答はマークシートでの選択問題
- とにかく"忙しい"テスト
- 受験料は5725円とリーズナブル
(TOEIC SW)
- 「話す・書く」=発信型の英語力を測定
- 話した(書いた)英語を人が採点
- LRと比べると忙しくはない
- 受験料が10,260円と少し高め
人気・注目度が違う!
試験の規模に大きな差
TOEIC LRとSWは、テストを運営している公式は等価なテストとしてアピールしていますが、試験としての規模は実は全く違います。
公式HPでの発表によると、2015年度の受験者数は、
TOEIC LR・・・2,556,000人
TOEIC SW・・・26,300人
となっています。
とんでもない数字ですが、これ、タイプミスじゃないですよ。
TOEIC LRは年間約255万人も受けています。
それにに対し、SWは約2.6万人程度。
受験者数に約100倍もの差があるんです。
企業からの評価が高いのはLR
受験者数にこれだけの差があるのにはいくつか理由が考えられますが、大きいのは企業からの評価でしょう。
TOEICを受ける人には、大きく分けて2種類の人がいると思います。
まず、「日々の英語学習の成果を測る」という目的で受験する英語学習者。
このような人はかなり多いです。
しかしその一方で、
- 就活で必要だから
- 会社での昇進のために必要だから
といった、ビジネス上の理由でTOEICを受ける人も多数存在します。
就活でTOEICのスコアを重視する企業は多く、入社後を考えてみても、昇進にTOEICスコアを要求する企業は増えています。
で、本題ですが、ここで言う"TOEIC"は、ほとんどの場合"TOEIC LR"のことなんです。
最近はビジネスシーンでも英語を「話す力」が重視されてきてはいますが、そういう傾向がある一方で、企業が評価するのは依然としてTOEIC LRです。
SWを評価する会社ももちろん増えてはいますが、
「えっと・・・TOEIC SWってなんだっけ?それって普通のとどう違うの?」
という採用担当も多いはずです。
企業が評価するから受験者数が増えているのか、それとも受験者数が増えているから企業が注目しているのか、どちらかは断定できず、これはニワトリと卵の話になってしまうんですが、少なくとも「企業のTOEIC LR重視」と「受験者数」は深く関わっています。
身も蓋もない言い方をしてしまえば、「金になるのはLR」ということです。
SWはとっつきにくい
「TOEIC SWはとっつきにくい」というのも受験者数が少ない理由のひとつです。
LRは受信型の英語テストで、解答も選択式なので、仮に英語力にあまり自信がなかったとしても、本当に全くできないということはありません。
それに対してSWは自ら英語を発信しなければいけない上に、明確な答えもないので、多くの人にとって手を出しにくいテストなんです。
学校の英語教育にも大きな原因があります。
日本の英語教育は、昔から「読む」のが中心で、"英語の勉強"と言うと、難しい英文の意味を理解するために、ひたすら単語を覚えて、文法をマスターする、というのを意味します。
スピーキングやリスニングの重要性が叫ばれている今でも、状況はほとんど変わってはいません。
これが原因で、「スピーキングのテスト」と言われてもいまいちピンと来ないという人や、また、スピーキングやライティングといった「発信型の英語力」に自信がないからSWには興味がない、という人が多いんです。
まとめ
というわけで今回はTOEIC LRとSWの違いを、
- 問題の形式の違い
- 試験としての規模の違い
という2つの観点からまとめてみました。
後半では「企業に評価されるのはLR」ということを書きましたが、今後SWテストが評価されていく可能性は大いにあり、また、学習の指標としてもSWは活用していく価値はあります。
また、「とっつきにくい」TOEIC SWテストの対策法については、別の記事に詳しくまとめたのでぜひ参考にしてみてください。
⇒TOEIC SWスピーキングの対策とおすすめの勉強法をまとめてみた
それではまた!
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