多言語学習のメリットとデメリットまとめ。トリリンガルが真面目に語ってみた。
トリリンガルブロガーのかずーい(@kazuui81)です!
ぼくは、ネイティブ言語である日本語の他に英語と中国語が話せます。
レベルがどのくらいなのか説明が難しいのですが、他の人が見たら、
「普通にペラペラだなこの人」
と思うくらいのレベルではこの1母語+2外国語を操ることができます。
で、その他にも台湾語とたまにドイツ語なども学習しているんですが、勉強が進むにつれて最近思うのが、
多言語学習ってメリットも大きいけど、大変なことも多い!!
ってことです。
良いことはもちろんたくさんあるんですが、複数の外国語を勉強するのって、やっぱりそれ自体かなり大変で、やってみて初めて見えてくるデメリットもあります。
というわけで今回は、何年も多言語学習を続けてきたぼくが、そのメリットとデメリットを書いていこうと思います。
※ここでは、2つ以上の外国語を勉強することを"多言語学習"と呼ぶことにします。
多言語学習のメリット
①掛け算で貴重な人材に
「100万分の1の人材」の話って知ってますか?
ぼくがこれを知ったのはネットニュースで著述家の藤原和博氏がインタビューで語っていた内容を読んだ時でした。
希少性を高めるために重要なのは、次のステップだ。ある分野で100分の1になったら、次は営業ならマーケティング、経理なら財務というように、隣り合う分野にシフトして100分の1を目指す。2つの分野で100分の1の人材は、100分の1×100分の1=1万分の1の希少性を持つ。このかけ算が重要なのだ。
100万分の1の人材というと、これはオリンピックの代表選手くらいの希少性らしいです。
オリンピック選手のようにこれをひとつの分野で達成するのは凡人には不可能ですが、100分の1の人材ならある程度の期間努力すればなれそうですよね?
で、これを3つ持てば、掛け算で100万分の1の人材に・・・。
これが100万分の1の人材の話です。
で、話は戻りますが、細かい数字は置いておくとして、外国語を複数習得すると、この100万分の1の話のように、掛け算で貴重な人材になれるんです。
ぼくは、ずっと英語だけを勉強していて、世間的に言えば"ペラペラ"のレベルに達することができました。
でも、英語を話せる日本人って結構いるんですよ。
なので、英語を話せる、それ自体すごいことだとは思いますが、市場において貴重な人材かと言われれば、
「すごいっちゃすごいけど、結構普通にいるよね」
くらいなわけです。
しかし、そこに中国語が加わったらどうでしょうか?
英語と中国語がどちらもできる日本人・・・周りにどのくらいいますか?
浮かんでもせいぜい1人か2人なのではないでしょうか?
正確な数字は知らないので適当ですが、仮に日本人のうち、英語ができる人が10人に1人だとします。
これは、20人の職場なら2人英語ができる計算になります。
では、中国語を加えて考えてみましょう。
中国語ができる人が20人に1人の場合。
20人の職場に1人中国語を話せる人がいることになります。
しかしこれが、「英語も中国語も話せる人」になると、0.1×0.05=0.005、1000人に5人、つまり200人に1人の人材です。
ひとつの外国語ができるだけなら1つの職場に1人2人ちらほらいる程度ですが、2言語どちらもできるなら、その会社の支店10か所トータルで考えても1人しかいない超~~~貴重な人材になれるわけです。
・・・とまぁ、はい。
わかります。わかりますよ。
いま出した数字は適当ですし、その他にもさまざまな要因があり、それを全無視したシミュレーションなのはわかっています。
ただ、複数言語ができるとかなりレアな人材になれる、それは理解していただけたかなと思います。
ちなみに、100万分の1の人材の話に興味がある方は、藤原和博氏のこちらの本に詳しく書かれているのでぜひ読んでみてください。
②世界が広がる
外国語を学ぶと、どんなことが得られるのでしょうか。
その外国語の単語・文法・発音などを習得して、話せるようになる・聞けるようになる・・・
もちろんそれはそうですが、それ以外にも、外国語を学ぶと、その言葉の背景にある考え方、文化や思想を学習することになります。
たとえば英語は、日本語よりも理論明快で、はっきりとしたものの言い方をする傾向にあります。
なるべく本音は隠して、建前で生きるのが善いとされている文化を持つ日本語ネイティブは、このようなコミュニケーション方式に最初は戸惑うでしょう。
どっちがいいのか、みたいな話は別にして、少なくとも、英語を学ぶことで、このような考え方の違いを身を持ってリアルに知ることができます。
もちろんいま挙げたのはほんの一例で、英語を学ぶことで見つかる新しい発見はまだまだいくつもあるでしょう。
要するに、外国語を学習することは、新しい世界を知ることなんです。
・・・と、なんだかスケールがでかすぎる話になってしまいましたが、
「英語を勉強したらドナルド・トランプのツイートが読めるようになった」
くらいのレベルでも十分「世界が広がった」と言えますよね。
いや、この話をすると、
「それって英語だけできれば別にいーじゃん。世界の情報の7割以上は英語で発信されてるんだし、他の国に行っても英語を話せる人はいっぱいいるわけで。」
と思う方もいるかもかもしれません。
一理あると思いますが、どこかの場所をマックス鮮度で感じたかったら、やはりその土地の地元の言葉を学習する必要があると思います。
たとえば中国のことをよく知りたかったら中国語を勉強すべきですし、英語が話せる人が多いドイツなんかで考えても、その文化を本当に深く知りたかったら、ドイツ語は必須でしょう。
多言語学習をすると、その言語の数だけ新しい世界を知ることができます。これは本当に大きなメリットです。
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③相互に良い影響
多言語学習をすると、勉強しているそれぞれの言語同士で良い影響があります。
たとえば、ぼくは英語をある程度学習してから、続いてドイツ語の学習を始めたんですが、ドイツ語の文法を勉強することで、英文法の理解がグッっと深まりました。
ドイツ語と英語は先祖が同じ、言ってみれば兄弟のような言語です。
で、ドイツ語の方が原型となる特徴を多く残しているので、それを学ぶことで英語に対する理解も深まっていったわけです。
これは、単に英語だけを学習しているだけではずっと得ることのできない感覚でした。
ちなみに、英語とは何の関係もない言語、たとえば中国語なんかを勉強しても、お互いの言語にとって非常に良い影響があります。
ドイツ語のあとに本格的に勉強したのが中国語でしたが、中国語を勉強していても、
「これって英語でいうところのあれだよな」
というのを"嫌でも"考えてしまいます。
たとえば、中国語ではあいさつ代わりに「メシ食った?」と聞くことがよくあります。
これを学習すると、もし英語も勉強していたなら、
これって、英語で言うところの「ハウアーユー?(調子はどう?)」だよな
と嫌でも思い出すでしょう。
"嫌でも"というのがポイントだったりします。
多言語学習をしていると、勉強中にその時勉強していない別の外国語のことを思い出す瞬間が絶対にあるんです。
これは、もう止めることができません。
こういう風にして、勉強している複数の外国語同士で知識の横のつながりができると、その知識は強烈に頭に固定され、簡単には忘れないようになります。
これは本当に大きなメリットだと思いますね。
ただし!!
こういうメリットがあるからといって第二外国語に手を出すのはコスパ悪すぎなので、おすすめしません。
たとえば、
「ドイツ語は英語に似ているから、英語のためにドイツ語もやってみよう」
というケースです。
英語のレベルを上げたいなら素直に英語だけを頑張った方が絶対に伸びますw
・・・とまぁなんか暗い話になってきたところで、デメリットいってみましょう。。
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デメリット:メンテナンスが大変
多言語学習のデメリットは、メンテナンスが大変すぎるということです。
複数の外国語をある程度の水準で保つのは、かなりのメンテナンスコストを要します。
ぼくが考えうる限り、デメリットはこのひとつだけなんですが、このひとつのデメリットが本当に大きく、人によっては
「じゃあやっぱり1外国語特化にしよう・・・」
と思ってしまうレベルかもしれません。
では、この"メンテナンス"とは何のメンテナンスなのか、具体的に見ていきましょう。
やればやるほど単語を忘れる
多言語学習は、ずばり忘却との闘いです。
何かの言語を勉強すると、その間に放置している他の言語の知識を忘れていく・・・。
悲しいですがこれがリアルです。
ひとつ前のメリットのところで、「多言語学習によって勉強している外国語それぞれに相互に良い影響がある」と書きました。
たしかにそれはそうなんですが、さっき書いたのは文法体系みたいなスケールの大きい知識の話で、その他の細かい知識、たとえば単語なんかは、新しい単語を3つ覚えたら別の言語の単語を1つ忘れるみたいな感じです。
ぼくがいま力を入れて学習しているのは英語と中国語ですが、2つの外国語だけでも凡人にはものすごくキツイです。
(参考記事)
これが3つ、4つ、5つとなっていったらもう本当に大変だと思います。
「ちょっと勉強しない間に文法の知識を丸ごと忘れてしまった!」
なんてことはまずないとは思いますが、問題は語彙で、3つ4つ、それ以上の数の外国語をある程度のレベルで維持しようと思ったら、いつも単語帳の復習をしていないといけなくなるでしょう。
こうなったら、あえて最悪の言い方をしますが"外国語学習の奴隷"です。
発音も劣化する
単語をどんどん忘れていってしまうこと以外に、放置しているとすぐに劣化してしまうのが発音です。
ぼくは日本語ネイティブにしては英語・中国語の発音が良い方だと思います。
行ったことすらないのに、アメリカ人に「君はアメリカに留学してたよね?現地の発音だもん。」と言われたり、上海出身の人に「訛りがない」と言われたことがあります。
とにかく、そのくらいのレベルで発音は身に付いているんですが、それでも、
英語をやり込むと中国語の発音が悪くなり、中国語をやり込むと英語の発音が悪くなります。
なんか、舌が上手く回らなくなるんですよね。スムーズに言葉が発音されないんです。
英語だけずっとやっていればそんな状態になることはないので、やはりこれは多言語学習の大きなデメリットだと言えるでしょう。
朗報:リスニングはあまり落ちない
このように、メンテナンスが大変で、ごちゃごちゃ色々勉強しているうちに
結局全部中途半端!!
みたいになってしまうおそれすらあるのが多言語学習のデメリットです。
ただ、ここでひとつだけ良いニュースがあります。
ぼくの経験上、多言語学習をして、何かの言語をある程度の期間放置してしまったとしても、リスニング力だけはなかなか落ちません。
理由はぶっちゃけわかりません!w
でもこれは、周りを見てもほとんどの人に当てはまるようです。
会話なんかは、相手の言っていることがわかりさえすれば、こっちがたどたどしい外国語で話したとしても何とか成立するので、
多言語学習をすると、放置してた外国語を使って会話ができなくなる!
・・・という心配はないわけです。
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まぁ、結局やるんだけどね!
長くなってしまいましたが、多言語学習のメリットとデメリットについて書いてみました。
簡単にまとめると、
メリットいっぱいあるけど維持するのが大変だよ!
ということなんですが、これを読んでくださったあなたはどう思いましたか?
ぼくも改めてメリットデメリットを書いてみて、やっぱり多言語学習大変だなとは思ったんですが、「やっぱりデメリット大きいし英語に特化しようかな」とかは全く思いませんでした。
だって、楽しいから。
多言語学習、こんな楽しいことやめられるわけないじゃないですか!
さっきあえて"外国語学習の奴隷"という言葉を使いましたが、
外国語学習の奴隷で何が悪いの?
全然いいじゃないですか。全然いいんですよ。だって楽しいんだから。楽しくてやってるんだから。
他の人を見ても、多言語学習をしている人は、ほぼ例外なくそれ自体を楽しんでいて、「勉強せずにはいられない、それを止めることはできない」みたいな感じです。
なので、長々と記事を書いて最後にひどいなぁとは思うんですが、多言語学習のメリットとかデメリットとか真剣に考えている人は、多言語学習には向いていないのでやめた方がいいです!w
もし、色んな言語勉強していて楽しさしかない!という方がいましたらお友達になりたいのでぜひツイッターのフォローをお願いします!
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