「英語学習では4技能をバランスよく身に付けるべき」って言ってる人なんなん?
どのくらい語学ができるのかを測るとき、よく4技能というものを基準にして考えます。
これは、
- リーディング(読む)
- リスニング(聞く)
- スピーキング(話す)
- ライティング(書く)
を指します。
最近よく、
「従来の教育は、リーディングとリスニングを中心とした受信型英語に偏った学習が中心だった。しかし今の時代、スピーキングとライティングという発信型の英語力も鍛えなければグローバル化の流れについていくことができなくなる。今後は、それら発信力を含めた4技能を総合的に伸ばすことで、グローバル人材の育成を図っていこう。」
というようなことが叫ばれています。
これは、大学入試を改革しようとしている政府はもちろんのこと(文部科学省のHPに行けばわかります)、民間の語学スクールや、学校の先生などもよく口にすることで、英語業界全体のトレンドであると言ってもいいでしょう。
しかし、ぼくはこの流れに対してちょっとした問題意識を感じています。
それは、このような「4技能をまんべんなく伸ばしてこその英語力だ」といったことが叫ばれてしまうと、その考え方に縛られてしまい、せっかく英語を勉強しようという意欲があるのに、英語学習がうまくいかなくなってしまう人が出てきてしまうのではないか、という懸念です。
英語は目的に合わせて勉強すればいい
そもそも、一言で英語学習と言っても、個人個人によってどのような形で英語と関わっていくのかは全く異なってくるので、「これこそが本当の英語力なんだ」というものは存在しないはずなんですよ。
読むのと聞くのしかできないとグローバル人材になれないからスピーキングもやらないといけない?
ではたとえば、会社で海外から英語で送られてきたメールを読んで返信する、という業務において英語が必要だという人はどうでしょう。
この人に必要なスキルは、英文を読んで理解するリーディング力と、返信のメールを書くライティング力だけなんです。
極端な話、全っ然英語がしゃべれなくてもいいわけです。
もし、この人が「英語は4技能まんべんなく伸ばさないといけない」といったことに影響されてしまったらどうなるでしょうか。使いもしないリスニングやスピーキングのスキルのために無駄な時間を使ってしまうことになるかもしれません。
またその結果、スピーキング力がうまく伸びなかったりしたときに、それが全然使わないスキルであるにもかかわらず、「自分は英語ができないんだ」と思い込んでしまい、英語の勉強自体をやめてしまう可能性もあります。
これってすごくもったいないと思いませんか?
この人に必要な英語力はリーディングとライティングだけです。業務をしっかりとこなすために、徹底的にこの2つに絞って学習していけばいいんですよ。
グローバル人材の育成のために4技能をバランスよく、とは言われますが、英語のメールを読んで英語で返信をする、これって立派なグローバル人材じゃないですか?
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「1技能だけ伸ばすのは不可能」の嘘
予想される反論としては、
「4技能はすべて互いにリンクしている。ひとつやふたつだけ選んで向上させることは不可能だ。」
というのがあります。
英語学習法が書いてある本を読んでいるとよく見る文言ですが、こういう考えの人って、知ってる世界が狭すぎると思うんですよね。
以前、日本在住歴が長い台湾人で、日本語から中国語への同時通訳ができる人に会ったことがあります。
ぼくが話したことを日本語がわからない台湾人にその場で同時通訳してもらったんですが、ぼくが日本人でも早いと感じるくらいのスピードで話しても、まったく問題なく通訳していました。
で、驚いたのが、彼女の日本語のスピーキング力です。めちゃくちゃ早い日本語が聞き取れるのに、全然しゃべれないんですよ。
これだけ早い日本語を聞いて同時通訳できるのだから、当然日本語も話せるんだろうなと当時のぼくは思っていたので、これには大きなショックを受けたのを覚えています。
外国語の勉強法に関する名著に、『外国語学習法』(千野栄一著)という本があります。
- 作者: 千野栄一
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1986/01/20
- メディア: 新書
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この本にも、リーディング力だけ身につけた人が出てきます。
おもしろいのでちょっと引用してみます。
筆者がプラハの学生寮にいたときのことである。ある日、見知らぬチェコ人の訪問を受けた。その人は汽車で三時間ほどの地方の都市にいる人で、一週に一回、私に日本語を習いたいというのである。一体いくらで教えてくれるか、どのくらいの期間で日本語が習得できるかという質問から始まったのだが、次に出された条件にびっくりさせられた。この人がいうのには、発音は全然教えなくともいい、書いてあることの意味が分かればいいというのである。
いろいろ詳しく事情を聞いてみると、この人は化学の技師で化学の文献を訳せればいいというのが学習の目的であった。
(略)
こんなに明確な学習意識を持ち、学習の対象すなわちどの領域のどのことがどの程度できるようになればいいのかが分かっている人の進歩がどんなものであったかは、いうまでもあるまい。
このような例は本当にいくらでもあるんですよ。
僕自身が確認した範囲でもうひとつ覚えているのは、「molecule(=分子)」をどう発音したらいいのか知らないのに、分子生物学の研究をしている人です。
研究のためには膨大な量の論文を英語で読まなければいけないわけですが、別に「molecule」が発音できなくても、それが「分子」を表すことさえわかれば自分の目的は達成されてしまうんです。
似たような話で、「law(=法律)」の発音を知らないのに、法律学をやっているインド人が『わたしの外国語学習法』という本にも出てきてましたね。
- 作者: ロンブカトー,Lomb Kat´o,米原万里
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2000/03
- メディア: 文庫
- 購入: 12人 クリック: 189回
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他人の基準で考えるな!
まとめると、英語学習は、それぞれの目的に合わせて、その目的を達成するために必要な部分だけを伸ばすようにすればいいということです。
さっきは、仕事で英語を使う人を例として挙げましたが、なにもそんなに難しいことではありません。
隣の家に外国人が引っ越してきたからちょっとあいさつだけでもできるようになりたいという人が、今流行りの「洋書多読」とかやっても時間のムダですよということです。
今すぐに本屋へ行き、「日常英会話フレーズ100」みたいな本を買ってきて覚えて実際に使ってみてください。
それでもし聞き取れないことに不自由を感じたらその時はまたその時でリスニングの勉強をすればいいだけです。
とにかく、「4技能すべてできてこその英語力だ」というトレンドに流されて、いやそれでできるようになる人はいいんですが、ムダなことに時間を費やしたり、英語学習が楽しくなくなったりやめてしまったりするのはもったいないです。
4技能すべてできる人だけが「グローバル人材」で、そのほかの人はダメなんだみたいな単純なものじゃないんです。
誰だって得意不得意、好き嫌いがあって、4技能に偏りがあるものです。
文部科学省のHPを見ると、「4技能を総合的に育成・評価することが必要」「聞く、読むだけでなく、話す、書くも含めた英語の能力をバランスよく評価する」「4技能に係る一貫した指標で」などとあります。
英語が他の言語と異なり特殊である点は、ずばり言って多様性です。
世界中の人がそれぞれのアクセントで話し、どのくらいできるのかももちろんバラバラ。英語を勉強していると、そのような英語という言語が包括する豊かな「多様性」に触れることができ、そういう経験にはとてつもない快感・楽しさ・嬉しさがあります。
そんな「多様性」を包含している英語なのに、「英語力はこうあるべきだ」みたいな「単一な」基準を入れて考えている文部科学省って、英語の本質的なことはなにもわかっていないんだなと思います。
そんな人たちが英語教育の方針を決めてるわけですねぇ。すごく残念。
今の日本の英語学習を取り巻く環境は、
「リーディングとリスニングはできるのに、全然英語しゃべれない?それはあかん!」
という方向になっています。そうじゃなくて、
「え、この英文の意味わかんの?すごいじゃん!」
という方向になり、尖ったバランスの英語力も当たり前のように評価されるようになって欲しいものです。
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中学レベルの英語を復習するのにおすすめの参考書と勉強法を徹底解説してみた
『TOEIC TEST スコア激伸び模試3回分 新形式問題対応編』のレビュー!問題数をこなしたい人におすすめ!
続々と出版されている新形式対応のTOEIC模試問題集ですが、オススメなものがまた出たのでレビューしていこうと思います。
今回紹介するのは『スコア激伸び模試 新形式対応編』という問題集です!
TOEIC(R) TEST スコア激伸び模試3回分 新形式問題対応編
- 作者: TAC TOEIC(R) TEST講座,笠原泰彦
- 出版社/メーカー: TAC出版
- 発売日: 2016/06/01
- メディア: 大型本
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有名な資格スクールであるTACというところが出しています。
コスパが良い
この模試問題集には、新形式TOEICの模試がなんと3回分も収録されています。
驚くのが値段で、定価が¥2500となっています。消費税を考えると一回あたり約¥900と、コスパに関しては出回っているものの中でもトップクラスにいいですね。
3回分(600問)も問題が収録されているので、本自体も百科事典感出てしまうほどごっついんですが、
問題と解答がそれぞれ冊子で別れていて、取れるようになっているので、勉強しにくいということはありません。冊子になっている分、むしろ他の模試問題集より勉強しやすいくらいですね。
難易度など
模試の監修をしている笠原講師は、TOEIC TESTで満点を取得しており、満点総数も60回以上と、TOEIC TESTの傾向を熟知しています。問題傾向や使用する単語など、こだわりを持って細かい点まで本試験を再現しているため、本書の模試を解けば、試験当日にも自信を持って取り組んでいただけます。
解いてみた感じ、難易度は本家TOEICの難易度と同じか少しだけ難しいくらいでした。
リスニングの放送スピードや、リーディングの文章の難易度や文章量も同じくらい。
驚いたのが、リーディングでたまに難単語が出てくる感じを再現しているところです。TOEICって、基本的に難しい単語は出てこないじゃないですか。全体を通して総単語数5000~6000くらいのレベルの単語で構成されているんですが、1回の試験で3単語くらい、明らかにその範囲から外れた単語が出てきて、中級者以上が一瞬「あれ?」ってなるようになってるんです。この問題集ではそこが再現されていて本番っぽさが出てます。
ただ、出てくる英文は本番と同じくらいなんですが、ちょっと答えにく設問が散見されました。「少し難しいくらい」としたのはこのためです。
ぼくはこの点は良いなと思いました。というのも、TOEICは結局は試験なので、ひっかけなどの答えにくい設問に答える練習は大切だからです。
それに、設問が難しいと、「なんとなく意味がとれた」レベルでは正解できなくなるので、トレーニングとしての効果は高くなります。間違えてしまった問題を何回も復習することで、「答えにくい設問に慣れる」ことができるようになる、というのもこの問題集の良いところですね。
また、問題全てに難易度が星の数3段階で表示されているのも助かります。 星1つの問題を間違えたらヤバいってことです。もし間違えてしまったら優先的に復習しましょう。
詳しい勉強法付き
さすが資格試験のスクールが出しているだけあるな、というくらい学習方法に関するページが充実しています。模試形式の問題集って、どうしても学習法についてページが割かれていなくて、上級者ならそれでも大丈夫なんですが、初心者にとってはあまり向いていないものが多いんですよ。
しかしこの『激伸び模試』では約70ページくらいにわたってひたすらTOEICの攻略法が書かれています。
特筆すべきなのは、単語や例文の量。
それぞれのパートについて、「よく出てくる単語・文」がまとめられています。
TOEICの学習方法やテクニックに関してはもう大丈夫だどいう人も、ここを覚えるとかなりためになると思います。
試験前に一気にここに載っている単語リストを復習して、「TOEIC脳」状態にするというのも有効ですね。
類書との比較
この『激伸び模試』は、本番より難しい問題に触れることで力を上げようという"高地トレーニング"的な参考書ではなく、どちらかというと本番と同じ難易度の問題に触れることで、実際のテストをシミュレーションをしつつ勉強できるという類の模試問題集で、これは先日発売された『非公式問題集 至高の400問』に近いです。
言い忘れていましたが、『激伸び模試』はサイズとしては実際のTOEICよりも一回り小さいサイズになります。なので、当然リーディングのパートで文字が小さすぎる文章が出てくることがあり、その点で『非公式問題集』の方にぼくとしては軍配が上がってしまいます。英文のクオリティーを考えても。
しかし、なんと言ってもこの『激伸び模試』の良いところはコスパなので、とにかく問題の数を解きたい、新形式とかよくわかんないけどとりあえず問題を解きまくって傾向をつかみたい、という人は最初にこなす模試問題集として選択肢に入れていいと思います。
まとめ
ということで今回はTAC出版の『TOEIC TEST スコア激伸び模試3回分 新形式問題対応編』のレビューをしてみました。
全体としてザ・スタンダードという感じで、飛び抜けた特徴はないですが、まったくTOEICの本番には出ないような変な文や文章構成はなく、安心して買って大丈夫だと思います。
TOEICはとにかく時間足りないのが特徴で、時間対策には問題を解きまくって慣れていくことがいちばんです。この問題集を何回もやることでTOEICを時間内にサクサク解けるTOEIC脳を作っていきましょう。
TOEIC(R) TEST スコア激伸び模試3回分 新形式問題対応編
- 作者: TAC TOEIC(R) TEST講座,笠原泰彦
- 出版社/メーカー: TAC出版
- 発売日: 2016/06/01
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堀江貴文著『本音で生きる』は後悔しない人生を送りたい人の必読書である!【レビュー】
堀江貴文著『本音で生きる 一秒も後悔しない強い生き方』という本がおすすめなので紹介していこうと思います。
- 作者: 堀江貴文
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2015/12/05
- メディア: 新書
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どうやら世間には、言いたいことを言えない、やりたいことをやれないでいる人が山のようにいるらしい。だが、僕はこういう人達のことがどうにも理解できずにいる。
どうして思ったことを言えないのか、さっぱりわからないのだ。
僕にとって本音を言わずにいるのは、とても気持ちが悪い。実のところ、本音を言わずにいる人を見るのも、とても気持ちが悪い。
これが、ホリエモンが今回この本を書いたモチベーションです。
本音を言いたいんだけれど言えない?
いや、言えばいいじゃん。
この考えからこの本はスタートしています。
そして「本音で生きるためにはどうすればよいのか」ということについて、
- 言い訳しないこと
- バランスをとろうとしないこと
- 「自意識」と「プライド」を捨てること
の3つのポイントを挙げながらそれぞれ解説しています。
具体的にポイントに絞られて詳細に書かれているんですが、全体として、ぼくがこの本を読んで思ったのは、これは「合理的に生きる方法」について書かれた本だなということです。
以前、脳科学者の茂木健一郎とホリエモンが対談した音声を聞いたんですが、この中でも茂木健一郎氏は
「やっぱり堀江さんの話って、ロジカルで、すごくクリアに見てますよね。世の中のことをね。」
と言っています。
とにかくホリエモンは合理的で、ロジカル(論理的)に物事を考える人なんですが、そういう人って、「本音で生きたい」と思ってるに決まってるんです。
「本音」という言葉を聞いたときに「建前」という言葉を連想する人は多いと思います。
「本音」で生きることができない理由って、だいたいこの「建前」が邪魔しているからだと思うんです。
そしてその「建前」の壁を壊してくれるのが「合理的・論理的に考えること」で、そのためのヒントが満載なのがこの本でした。
日本人は議論が下手
それにしても、日本人の議論を避ける傾向、いや全員が同じ意見でなければならないという強迫観念はいったい何なんだろうか。
僕は、意見が一致しないからという理由でその人のことを嫌いになったりはしない。意見が一致しないことと、相手のことを嫌うということは、そもそも、まったく別のことだ。
だから僕は、対談だけでなく、ソーシャルメディアでも積極的に人とぶつかり合おうとしている。それは、その人が嫌いだからだとか、人格を否定するためではない。
違う意見を持った者同士がぶつかることで、新しい発見があるからだ。
それなのに、「議論は一致しなければ意味がない」「意見が一致しない=相手のことを嫌いなんじゃないか」と思う人がいかに多いか。
もし意見が異なる人間がいたら、自分達の輪の中から全力ではじき出そうとする。意見が違うだけで、人格から人間性、生き方まで、全否定しようと躍起になる。
この部分が個人的ハイライトです。
ここで書かれていることは、ぼくも日頃から感じていることだったので、本当に共感しました。書いてくれてありがとう・・・!
日本人って、本当に議論が下手ですよね。
「うんうんうんうん。わかるわかるー。そうだよねー。」
普通の会話ではもちろんOKなんですが、「議論」でこれを持ち込むのはNGなんです。
それは、「議論」は何か有益な結論を得たり、自分が持っていない新たな視点を得るためにするもので、意見をすり合わせるためにやるものではないからです。
これについては、人気有料メルマガ『金融日記』で有名な藤沢数希氏も言っていました。
最近わかったことは、日本人は会議とか話し合いみたいなものを、共感したり価値観を合わせる場だと思っていることだ。違った意見をぶつけ合い、より良いアイディアを生み出すためにある、とは考えていないようだ。
— Kazuki Fujisawa (@kazu_fujisawa) 2015年7月15日
まずは、みんな意見が違うのは当たり前なんだという認識を持つことがぼくは大事だと思うんですよ。
たとえばアメリカ人と話しているときは、彼らはちゃんと議論ができるように小さい頃から学校や家庭で鍛えられているので、話していてすごく楽です。
たとえカジュアルな会話であっても「それには反対だな」と言えるので、まさに「本音で」話せます。
これって、まさに「みんな意見が違うのが当たり前だ」という認識が共有されているからなんです。
他の人に意見を合わせていくのってつらくないですか?
「本音で生きる」ためには、「議論できるようになる」のがまず第一歩なんです。
ゼロイチ思考をやめる
・・・「ゼロイチ思考」にとらわれすぎているのではないだろうか。
物事を「あり」or「なし」、「勝つ」or「負ける」のように、両極端にしか見られない。
しかし今は、社会も人間関係も多彩だ。やりたいことがあるから仕事は派遣やパートでいいという人もいるし、途中で独立・起業する人もいる。それなのに、なぜ、ゼロとイチのモノクロの世界にこだわる必要があるのか。
論証の世界において、やってはいけないことの一つとして、「誤った二分法」というものがあります。
これは、「実際はいくつも選択肢があるのに、あたかも2つしかないかのようにみせかけること」で、まったくをもって非論理的な思考の一種です。
- この不況を生き抜くには残業するしかないんだよ
- 結婚できなかったら孤独な人生を歩むことになる
などが典型例ですが、ホリエモンもこの本で、この誤った二分法(この本では「ゼロイチ思考」と呼んでいる)に陥ってしまうことの危うさを説いています。ここでも徹底して論理的ですね。
世界は、そんな「どちらかを選べ」みたいなものではまったくない。
人間関係はゼロイチで測れるものではなくて、グラデーションになっている。
世界は白と黒だけの単純な構造じゃないというわけです。
これは、ホリエモンが自身のYoutubeチャンネルで紹介していた『レイヤー化する世界』という本でも書かれていたことです。
レイヤー化する世界―テクノロジーとの共犯関係が始まる (NHK出版新書 410)
- 作者: 佐々木俊尚
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2013/06/05
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世界は複雑化していて、さまざまな側面(レイヤー)の串刺しとしてしか物事は判断できないという内容が書かれていましたが、本当にその通り。
たくさんの選択肢があるというのを知るのが、「本音で生きる」ためには必要なんですね。
時間を最適化する
自分のやりたいことを片っ端からやろうとすると、最初のうちはまったく時間が足りなくなってしまうはずだ。だが、それでやりたいことを諦めてしまっては意味がない。時間という希少資源をどう使えばよいのかを常に考えることによって、自分のできる物事の範囲は広がっていく。
そんなことで僕は常に「最適化」を考えている。
いわゆる「できる人」って、時間の使い方がとにかくうまいですよね。
時間は誰にとっても平等に与えられているんですが、使い方次第で質がまったく変わってしまうんです。
ホリエモンは時間を有効に使うために、やることを「最適化」するのを推奨しています。
ホリエモンの場合はそれが徹底されており、夜のライブを控えるということから、買い物をするときになるべくカードを使って小銭を取り出す時間を短縮するという細かいことまでさまざまです。
「本音で生きる」ことは「やりたいことをやって生きる」ということでもあります。
「やりたいことをやって生きていく」ためには、時間をうまく使って日々の密度を上げていく必要があるというわけですね。
まとめ
ここで紹介した内容はほんの一部であり、その他にもホリエモン流、情報のインプットとアウトプットの仕方や、最後になる第5章「本音で生きるために必要なこと」では、この時代を本音で生きていくために必要なヒントが7つのコラムの形で載っています。
この値段でこの豊富な内容なら、かなりお得感がありますね。
ぼくはホリエモンの本は出るとだいたい読むんですが、読むたびにまさに「本音で生きる」ことの重要性に気づきます。
普通に普段生活していると、知らないうちにどんどん建前人間になっていってしまうんですよ。
「失敗が嫌だから、やらない」
「あとで何か言われそうだから言わない」
「嫌われたくないから、突っ込まない」
本音で生きてないなと思う方には特にこの本はおすすめです。
ぜひ読んでみてください!
- 作者: 堀江貴文
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ピクサー映画『ファインディング・ドリー』にレズビアンカップルが登場すると話題になっているらしい。
『ファインディング・ニモ』の続編としてアメリカでは6月17日、日本では7月に公開予定のピクサー映画『ファインディング・ドリー』の米国版予告編で、レズビアンカップル"らしい"2人が出てくるとして、アメリカで話題になっているようです。
その予告編はこちら。
You've Found the Latest 'Finding Dory' Trailer
話題になっているシーンは1:06~のわずか数秒の部分。
ベビーカーに乗った子が転んでマグマグを落としてしまいます。それをカップル(らしき)2人が拾い、ベビーカーを見てみるとそこに座っていたのはタコだったというシーンがあるんですが、その2人がレズビアンカップルだと言われています。
米国では、この予告編が公開された直後から、ソーシャルメディアを中心にかなり話題になったようです。
もし、これが本当だった場合、ディズニー映画では初のレズビアンカップルとのこと。
LGBT関連の法案の是非などについて、アメリカでは最近ずっと話題になっていたこともあり、ソーシャルメディアでは
「これはセクシャルマイノリティ受け入れへの重要な一歩だ!」
という意見が多いようですが、中には
「レズビアンのカップルを映画に出すなら見ない」
と言っている人もいるらしいです。
ところが、そういう人に対しては、
「誰がドリーの声優やってるのかわかってんの?w」
という声もあります。
というのも、今回の主人公ドリーの声優を務めたのは、エレン・デジェネレス。『エレンの部屋』などの人気番組の司会で知られるコメディアン・女優ですが、彼女は1997年にカミングアウトしたことで有名です。
ぼくがこのニュースを知ったのは、普段よく見ているアメリカのYoutubeチャンネル『Pop Trigger』です(英語注意)。
この番組に出ているパネリストでレズビアンを公言している人がいるんですが、その人はこのニュースに対して良い印象ではなかったみたいです。
「ピクサーのいかにも"狙ってやってる感"がムカつく!ゲイの人は普通に世の中で生活しているわけで、こういう風に特別に取り上げる必要はなかったんじゃないの?もしかしてこのドリーだってゲイかもよ。」
なるほど。こういう意見も多いみたいですね。「これが本当だった場合、ディズニー初のレズビアン」と言っていますが、特に取り立てて言っていないだけで、ディズニー映画にレズビアンはもう何回も出てきているはずだ、というわけですね。
このニュースを見て思い出したのは、『アナと雪の女王』のエルサです。
映画評論家町山智浩氏の映画解説「映画その他ムダ話」を聞いて知ったんですが、アメリカでは、主人公エルサが男性愛に無関心のキャラクターとして描かれていることが話題になっていたらしいです。
『アナと雪の女王』の原題は『Frozen』。英語ネイティブは、この"Frozen"という単語から、あるイメージを連想するようです。
同じ語源の単語に"frigid"という単語がありますが、この言葉の意味は、
- 極寒の
- (女性が)不感症の、性的に冷めた
です(ロングマン英和辞典より)。
ググってみると日本語サイトでもこのような分析がいくつか出てきましたが、日本ではこのようなことはほとんど話題にならなかったですね。
コメントでめちゃくちゃ非難されたみたいですが、まぁ仕方ない・・・。
ちなみに、町山智浩氏はエルサはレズビアンではなく、Aセクシャルなんじゃないかと結論付けていました。
恋愛感情を持てない? アセクシャル(無性愛者)とはいったい? - NAVER まとめ
で、数日前だったと思いますが、米国で「エルサにガールフレンドを」というハッシュタグがトレンドになりました。
これは、『アナと雪の女王』の続編でエルサのガールフレンドを登場させてくれ!という運動で、このハッシュタグでツイートしていた人達には、「子供達にLGBTに対する理解を促進させる効果がある」といった狙いがあったみたいです。
実は、『アナと雪の女王』以前からディズニー映画の登場人物がLGBTではないかとの推測が多くのファンの中で行われてきました。
ライオンキングのティモンとプンバアとか、アラジンのジーニーとか。
ただ、アナ雪のエルサもそうですが、ディズニーがあからさまにゲイを描いたことはなく、今回の『ファインディングドリー』がかなり話題になっているみたいですね。
個人的には、米国のように、日本でももっとこのようなことが話題になるべきだと思っています。
意見はさまざまだと思いますが、まず話題になり、議論されることが第一歩。かわいい魚達が出てくるだけの映画、という認識で終わってほしくないですね。
(関連記事)
アウトプットの質を最大まで高める方法は、"アウトプットしないこと"だった!
アウトプットが苦手だと思っている人は多いようです。
- 会議で自分のアイデアを出せない
- 起業したいけれど何をしたらいいのかわからない
- ブログが書けない(ぼく)
などなど、場面はさまざまだと思いますが、"自分の中からアイデアをひねり出してアウトプットできるのか"というのは、非常に大切なスキルだと言えます。
アウトプットが苦手だと思っている人が多くいる一方で、信じられないくらいアウトプットのうまい人というのも存在します。
たとえば、ぼくもブログを書く際に参考にしているブロガーのイケダハヤト氏。
ブログを更新しながら、有料メディアでも記事を毎日更新。密度の濃いツイートも毎日バンバン発信しています。本もどんどん出版していて、どれも好評のようです。まさにアウトプットの超人と言えるでしょう。
では、なぜこのように人によってアウトプットの質に大きな違いが出てきてしまうのでしょうか?
「それは、こういう人は単純に頭がいいからだ」と言う人がいるかもしれません。
たしかにそれはそうかもしれませんね。もともと世の中に価値を作り出していくことが得意な資質を持っていたという可能性は高いです。
しかし、アウトプット超人を注意深く観察していくと、実は、そういう人たちに共通していることがあるんです。
大量のインプット
まず、アウトプットが上手い人はインプットを大量にしています。
これは、よく言われることですね。そもそもインプットがしっかりしていないと、アウトプットができるはずがないという話です。
これは質の高いアウトプットをする上では大前提です。当たり前の話。
大量のアウトプットを推奨している人の一人が、ホリエモン。『本音で生きる』という本の中でも次のように書いています。
- 作者: 堀江貴文
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2015/12/05
- メディア: 新書
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コツコツ資格の勉強などをするより、はるかに大事なのは情報のシャワーを常に浴びるということだ。
日々の生活でも、情報にアクセスするかどうかで生活の質は大きく変わってくる。
もし、僕が他の人と違って見えるのであれば、それは情報の量だと思う。僕は、きっとあなたが普段見ている情報の量と、桁が一つ違うくらいの量の情報を見ていることは断言できる。大事なのは圧倒的な情報量とその処理数なのだ。
さっき名前を出したイケダハヤト氏についてもこれは当てはまります。
もはや把握してないけど、電子書籍を中心に、おそらく年間1,500冊くらい買ってると思います。それでも、一冊400円としたら60万円か。もっと投資してもいいな……。
— イケハヤ@ブロガーズギルド (@IHayato) 2016年5月29日
もちろん全部隅から隅まで読んでいるというわけではないと思いますが、読書を通じて大量のインプットを日々積んでいることは確かで、これがあのアウトプットを支えているんでしょうね。
無理にアウトプットしようとしない
質の高いアウトプットのためには、大量のインプットが必要。これはわかりました。
では、それをどうやってアウトプットに変えていけばいいのかという話ですが、それは、アウトプットしようとしないことなんです。
これがこの記事でぼくが一番強調したかった部分です。
日本一有名なニートphaさんの著作『しないことリスト』に、アイデアの出し方について重要な示唆となることが書いてありました。少し長いですが引用してみようと思います。
アイデアの出し方についての教科書的な本であるジェームス・W・ヤング『アイデアのつくり方』という本では、アイデアを出すときのやり方が次の5段階に分けられている(薄くて読みやすい本なので、興味を持った人は読んでみてください)。
1,資料を集める
2,調べた資料を読み込む
3,調べたことを完全に忘れて別のことをする
4,そうするとふとしたときにアイデアが降りてくる
5,思いついたアイデアを実現可能なように調整する
この本でも、「3」の段階のすべてを忘れてしばらく置いておく、という過程が一番重要なものとされている。
こういうのは、無意識の中に住んでいる「頭の中の小人」が働いてくれているのだ、と僕は思っている。
小人というのは、グリム童話に出てくる、靴屋が眠っているうちにやってきて仕事を仕上げてくれる、あの小人のことだ。
自分では意識できない脳の無意識の部分でも、実はいろんな情報処理がされている。
だから、情報を脳にインプットして、しばらく放置して忘れてしまっても、その間に無意識で小人が働いていてくれて、いつの間にかそれなりに考えがまとまっている、という仕組みだ。
驚くことに、これと同じようなことをホリエモンも言っています。
先程も紹介した『本音で生きる』からまた引用してみます。
情報は取り入れたら、そのまま忘れてしまって構わないのだ。それでは、情報を取り入れる意味がないかもしれないと思われるだろうが、本人が忘れたつもりでも重要な情報は脳の片隅にちゃんと残っている。
大量の情報を、脳という引き出しにいったん全部詰め込む。そうすれば、何かのきっかけで引き出しの情報と情報がぱっとつながって、新しいアイデアが生まれる。
起業のアイデアなど、頭をひねって考えるようなものではない。情報のシャワーさえ常日頃、浴びるようにしていれば、アイデアはいくらでも湧いてくる。
どうですか?びっくりするくらい似ていますね。
ホリエモンの言う「情報と情報がぱっとつながって、新しいアイデアが生まれる」の部分の「情報をぱっとつなげている」のは、まさに"頭のなかの小人"なんです。これは、"無意識"と言ってもいいでしょう。
イケダハヤト氏も実はこのようなことは言っていて、よく彼は「アイデアを風船のように浮かべている」という比喩を使っています。
「これがしたいなぁ」と思ったことを、頭の中に風船のように浮かべておくイメージで持っているようです。
中には実現できるのか?と思うようなこともたくさんあるのですが、頭の中にぷかぷかと浮かべておいたアイデアは、ふとしたことがきっかけで他の情報と繋がったりして、何らかの形で世にアウトプットされていくということなんでしょう。
このことは、ぼくもブログを書いていて日々実感しています。
このブログではよく本や英語の参考書、映画のレビューをしますが、本を読んだり映画を見ている時点で「これを後でブログにしよう」ということは考えないようにしています。
当然ブログにしない内容のインプットの量は多くなってしまうんですが、アウトプットの質はこの方法の方が高くなると感じています。
まさにホリエモンが言っているように、あるとき突然「この内容をこういう風にブログに書こう」という気持ちが湧いてくるんです。
この記事もまさにそうで、ちょうど「ブログ全然書けねーなー」と思っていたときに、phaさんの本の内容を思い出し、その瞬間本屋で数分立ち読みして結局買わなかったホリエモンの『本音で生きる』でも同じこと言ってたよな、ということを思い出したんです。
ひょっとして、ブログって、書こうとしない方が書けるんじゃないか・・・?というかこれ、アウトプットすべてに共通するヒントなんじゃないか・・・?
急いで本屋に言ってホリエモンの本を買い笑、速攻で読んでこの記事を書いています。本屋で立ち読みした数分の内容も、"頭の中の小人"だけは忘れていなかったんですね。
ぼくは、このように、「何か書けそうだ!」というのが湧いてきたら記事を書くようにしています。
アイデアが「降ってくる」「舞い降りてくる」のように表現されることも多いですが、ぼくはこれを勝手に
「わぁ~」が来る
と呼んでいます笑。
「なんか良さそうなアイデアが出てきた!ブログ書くぞ!」
という気持ちが「わぁ~」と怒涛の勢いで湧き出てくるからです(書いててなんか恥ずかしい)。
アウトプットすることは気にせずインプットをし、あとは待って「わぁ~」が来たらすかさずアウトプットをする。これが質の良いアウトプットをするための一番の方法なんじゃないか、とぼくは思うのです。
「わぁ~」を起こすためのヒント
インプットされたアイデアがパッとつながって良いアイデアがぼこぼこと湧いてくる、これを「わぁ~が来る」と勝手に名づけました。
いままで述べてきた通り、これは自分から意図的に”起こす”ものではなく、大量のインプットをしているとある日勝手に来るもの、ということでした。
しかし、実はこの「わぁ~」が起きやすくなるような習慣、心がけというものが実はいくつかあります。
①ランニングをする
走ると脳が刺激されてアイデアが出やすくなります。
ランニングは、脳において記憶や思考について重要な役割を果たしている前頭葉を刺激するんです。
まぁ難しいことはよくわかりませんが、実際にこれはぼくも効果を実感しています。
頭が疲れてきたなと思ったときに数キロ程度ランニングをすると、走り終わる頃に、ぽこっとアイデアが浮かんできたり、前に本で読んでかっこいいなと思った英語表現なんかがパッと口から出てきたりします。
②寝る
脳に記憶された情報は、寝ているときに整理されます。
つまり、睡眠中は、"頭の中の小人"が最も活発に働いてくれる時間なんです。質の良いアウトプットには、質の良い睡眠は不可欠です。
人によって最適な睡眠時間というのはかなり異なるみたいですが、最低でも1日6時間くらいは寝たほうがいいみたいです。
ちなみにぼくは8時間くらい寝たい人で、これより短い睡眠時間だと本当に何も頭から出てきません。
③考える
さっきのホリエモンの本では、アイデアを無理にひねり出す必要はないとしつつも、「考える」ことの重要性を説いています。
これは、何か新しいアイデアをアウトプットしてやろう、と思うことではなく、たとえば日々の生活でもっと改善できることはないかとか、社会問題の解決方法とか、そういったことに思考をめぐらす癖をつけることです。
ただアイデアが降ってくるのを待っているだけよりは、頭を日々使っている方が情報がつながってアイデアが出やすくなるわけですね。
まとめ
アウトプットの質を最大まで高める方法は、
- インプットを大量にする
- 無理にアウトプットしようとしない
- 日頃から考える癖をつける
の3点を意識すること。
中でも盲点になっているのが、2番の「無理にアウトプットしようとしない」ということです。
自分が意識していなくても、脳は勝手にインプットした情報を忘れずに整理してくれていて、何かがきっかけでそれらがつながってアイデアが生まれます。
大量にインプットし、日々「考える」ことで、アイデアは「わぁ~」と湧き出てくるんです。
アイデアが湧き出てきたら、それをすぐさま何らかの形でアウトプットしましょう。スピードは大事だなと思います。「頭の中の小人」からのゴーサインは見逃さないようにしたいものです。
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『TOEIC TEST 新形式模試 はじめての挑戦』を解いたのでレビューしてみる
『TOEIC TEST 新形式模試 はじめての挑戦』という参考書を解いたんですが、これがかなりおすすめできる本だったのでレビューしていこうと思います。
- 作者: 神崎正哉,Daniel Warriner,ダニエル・ワーリナ
- 出版社/メーカー: IBCパブリッシング
- 発売日: 2016/05/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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作者は神崎正哉氏。TOEIC講師では有名な人ですね。
この本は『やどかり出版』というところから出ていて、見たことない名前だなと思ったんですが、2016年の4月に神崎正哉先生が作った出版社だったみたいです。
公式twitterによると、
TOEIC®テスト毎回受験(2016年4月現在129回)、990点満点講師の神崎正哉が、品質に責任を持って書籍を刊行する出版社です。
とのこと。
本の内容
この参考書は、新形式TOEICの模試が1回分(200問)収録されています。もちろん解説付き。
マークシートも付いており、切り離して使うことで本番と同じように受験することができます。
リスニング音声については、ホームページでのダウンロードになります。
ぼくはCDをいちいちPCに取り込むのが面倒だと思ってしまうのでこれはありがたいですね。英語の教材をたくさん買っていると、教材のCDがどんどんたまっていって邪魔になることにもうんざりしていたので・・・。
なお、音声ファイルについては、リーディングの問題を吹き込んだ音声もダウンロードできるようになっているので、リーディングの復習をするときに音も使って復習がしたいという人はいいかもしれないですね。
ちなみにぼくはリーディングの音声は復習の際は使いませんが、リスニング音声のみのダウンロードもできるようになっているのでこの配慮には助かりました。
難しいのが特徴
一通り解いて答え合わせまでやって思ったのが、TOEICの模試問題集の中でもトップクラスに難しいということです。
全パートを通して、実際のTOEICテストよりも難易度が高くなっています。これは作っている側も意図していることで、本書2ページにも、
本書の模試は難易度が高めに設定されています。このレベルの問題に慣れておけば、本番のTOEICの問題が易しく感じることでしょう。このレベルだと、初中級者の人には、少し難しすぎるかもしれません。解けない問題がたくさんあったとしても落ち込まないでください。実際のTOEICではもう少し易しい問題が出題されるはずです。
とあります。
具体的にどう難しいのかというと、まずリスニングの放送分のスピードが早くてしかも長いです。情報量がかなり多くなるので、上級者でも集中して聞かないと重要な情報を聞き逃してしまう可能性があります。
次に、選択肢の難易度が高いです。簡単には選べないように作られており、あいまいに、ではなく、正確に英文の意味を理解できないと回答できないようになっています。
このような難しい問題に触れることのメリットとしては、先ほど本書から引用した部分にもあるように、「実際のテストが簡単に感じる」といういわゆる"高地トレーニング"の効果がまずありますが、その他に、学習の密度が高くなるという効果もあります。
たしかに、最初解いた時に正解できない問題が多くなるので落ち込んでしまったりする可能性はあるんですが、早いスピードで吹き込まれた音声、また簡単には選べない選択肢の問題を使って復習をすることで、より濃い内容の学習ができるんです。
これは著者の神崎正哉先生の参考書のひとつの特徴でもあります。
有名なのが『新TOEIC TEST パート3・4特急 実力養成ドリル』というリスニングの問題集です。
- 作者: 神崎正哉,Daniel Warriner
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2012/05/18
- メディア: 単行本
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この問題集も音声が早く、しかも長く収録されているので、"高地トレーニング"系の参考書でした。
実はぼくも結構前にこの本を消化していて、最初は全くできなかったんですが、復習を重ねているうちに実力が伸びていき、難しい問題を使ってトレーニングを行うことの重要性を実感させてくれた1冊だったのを覚えています。
2012年に出版された本ですが、もちろん新形式対策として今使うのにもおすすめで、実際まだまだ売れているようです。
類書との比較
新形式TOEICの公式問題集を解いたので傾向と対策を含めいろいろまとめてみるよ
でも書いたのですが、現時点で出ている新形式TOEIC模試問題集の中で、当ブログでおすすめしているのは『模試特急 新形式対策』と『非公式問題集』です。これら2冊と今回の『はじめての挑戦』を比較してみようと思います。
まず、この問題集を解いてみて近いなと思ったのが、森田鉄也氏による『TOEIC TEST 模試特急 新形式対策』です。
この本でも問題の難易度が高く、選択肢も選びにくいものが多かったという印象を受けました。
その点でこれら2冊は似ているんですが、『はじめての挑戦』の方が少し難易度としては高いです。
選択肢が選びにくいということに関しては、『模試特急』は「ひっかけ問題が多い」のに対して『はじめての挑戦』では「情報を正確に聞き取っていなければ選べない」難しさです。
とまあ、細かい違いはあるものの、どちらも"高地トレーニング"系の問題集としてはおすすめできるものです。
ただし、持ち運びに関しては『模試特急』の方がコンパクトなので向いていると言えるでしょう。通勤途中の電車などで勉強したい人は『模試特急』です。
家で勉強するのが主だという人は、解説のページが見開き1ページで見やすい『はじめての挑戦』の方がいいかもしれません。問題文と解説がページ移動なくパッとひと目でわかるので、復習が非常にしやすいです。
続いて、『非公式問題集 至高の400問』と比べてみます。
- 作者: ヒロ前田,テッド寺倉,ロス・タロック
- 出版社/メーカー: アルク
- 発売日: 2016/04/17
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以前レビュー記事でも書いたのですが、『非公式問題集』は徹底的に本番の難易度・形式に近いというのが特徴です。
なので、『はじめての挑戦』では難易度が高すぎるなと思う人はまずこちらの『非公式問題集』に取り組んでからやるとスムーズだと思います。
「本番と同じ難易度のトレーニング」と「高地トレーニング」はどちらも大事なので、バランスよくやるのが効果的です。
まとめ
というわけで今回は『TOEIC TEST 新形式模試 はじめての挑戦』のレビューでした。
言及し忘れましたが、この本は、『abceed』というアプリと提携していて、このアプリを使って自分の答えを入力すると、正解数と、それに応じた分析とアドバイスがもらえるようになっています(アプリは無料)。
ぼくも使ってみたんですが、どの種類の問題をどのように間違えてしまっているのかを詳細に教えてくれて、かなりためになりました。
この問題集を使った人はぜひ使ってみてください。
この模試のタイトルは『はじめての挑戦』とあります。
これはもちろん解く人にとってこの問題集が挑戦だということですが、この本は新しい出版社からの最初の1冊であり、また、TOEIC問題集としては珍しいアプリとの提携などしていて、この本を作っている製作者達も"挑戦している"、そんな印象を受ける良い問題集でした。
うまくまとめようとして失敗した感が果てしないですが今日はこの辺で。
- 作者: 神崎正哉,Daniel Warriner,ダニエル・ワーリナ
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中国語をゼロからはじめる初心者におすすめの参考書と勉強法をまとめてみた
今回は全くの初心者が中国語の勉強を始めたい、という場合におすすめの参考書と勉強法を紹介していきたいと思います。
これらの本は、基本的に独学で学んでいきたいという人が、
「最大の効率で中国語の基礎を身に付けるためには一体どうすればいいのか?」
を考えに考え、厳選に厳選を重ねたものです。
- 中検やHSKなどの資格試験に合格したいという人
- 単に日常会話ができるようになりたい人
- 仕事で必要な人
などなど、学習者によって勉強のゴールは様々だとは思いますが、ここで紹介した参考書を正しい方法で消化していけば、どんな目標にしろ、それを達成するために必要な基礎が完成すると信じています。
まずは発音!
外国語を学習する上では、どんな言語をやるにしても発音をいちばん最初に習得しなければいけないというのがぼくの考えですが、中国語に関しては、この"発音"が最も大切だと言っても過言ではありません。
学習の最初の段階で発音の基礎がしっかりできたのかどうかでその後の学習が成功するのかどうかが決まってしまうんです。
超大事なことなのでもう一度言います。中国語で最重要なのは発音です。
なぜ発音がここまで大切なのかというと、中国語では少しでも発音が違うと相手に通じないからです。
これは実際にしゃべってみるとわかるのですが、勉強を始めたばかりのときは、自分が正しく発音できていると思っていても、全く通じないことがあります。
こうなってしまう理由は、中国語の発音がバリエーション豊かであることから説明できます。
つまり、単純に中国語を形成している音の種類が多いんです。
音の種類が多いということは、少しでも発音が違うと、それが別の発音の単語に聞こえてしまう可能性が高いということです。
この意識をまずもつことが中国語学習の第一歩となります。
中国語以外、たとえば英語なんかでは、ある程度発音が違っていても実は結構通じます。
その単語がその単語であると認識される音声の許容範囲というものがある程度あるので、少しくらいズレがあっても意思の疎通ができてしまうわけです。
それに対して、中国語はピンポイントで正しく音を出せていなければ通じないと考えてください。
香港映画を見ていると、よく北京語と広東語の通訳の人が出てきたりしますね。英語ではイギリス英語とアメリカ英語の話者同士では通訳は必要ありませんが、中国語では方言同士でもはや"別言語"なんです。
とまぁ、中国語学習においていかに発音が大切なのかを書きましたが、じゃあ具体的に何をやればいいのかというと、これには『紹文周の中国語発音完全マスター』が最もおすすめです。
- 作者: 紹文周
- 出版社/メーカー: アスク
- 発売日: 2003/03/25
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中国語の発音の参考書はいろいろ出ていますが、これが一番おすすめです。すべてはこの1冊から始まると考えてください。
日本語の母音は「あ・い・う・え・お」の5個、子音は10個ありますが、中国語にはなんと母音が39個、子音が21個あります。めちゃめちゃ多くないですか?
この『中国語発音完全マスター』では、まずそれらの発音すべてについて、口の形、開き具合、発生する音を写真と図を使って詳しく説明しています。
さらに各ページの下にはそのページで扱っている発音がCDの音声と一緒に練習できるようになっています。
説明の仕方が非常にわかりやすく、また、CDの音声もこれでもかというくらい発音の仕方を強調し、しかもきれいな声のナレーターを使って収録しているので本当におすすめなんです。
また、第2章では、単語の発音の仕方が練習できるようになっています。
中国語は声調言語であり、四声というシステムによって発音がさらに区別されますが、2つの漢字の組み合わせにおける声調の発音が全パターン練習できるようになっています(何言ってるか全くわからないと思いますがこの本を読めばすぐわかります大丈夫です笑)。
とにかく、この本を使い、
- すべての子音と母音が正しく発音できるようになる
- 単語の発音ができるようになる(2つの漢字の組み合わせの声調)
というのを目指して練習しましょう。
発音特訓は1ヵ月継続させよう!
期間の目安としては、1ヶ月です。
この学習の最初の1ヶ月は、基本的に発音学習のみをやりましょう。毎日、30分~1時間くらいで大丈夫なので、とにかく継続してやることを意識してください。
繰り返しになりますが、中国語学習においていちばん大切なのは発音の習得です。
これをしっかりやるのかどうかですべてが決まります。
中国語の発音は正直難しいですが、この『中国語発音完全マスター』を1ヶ月しっかりやれば、発音は身に付けることができます。
ぼく自身、この参考書に1ヶ月取り組むことで、ネイティブに四声と発音がしっかりしているとお墨付きをもらえるレベルになりました。
ちなみに、発音テキストについては下記の記事でおすすめを3冊紹介しています。
「他の発音テキストも気になるな」
という人はぜひ合わせてお読みください。
文法と単語を覚える
発音の学習が終わってから何をすればよいのかについて書いていこうと思います。
基本的にやっていくことは、
- 文法を覚える
- 単語を覚える
の2つです。
文法というと、学校の英語の授業を思い出してつらくなる人がいるかもしれません。
しかし、英語や他のヨーロッパ言語を学ぶ場合とは異なり、中国語では文法学習が無いに等しいくらい簡単であるという特徴があります。
というのも、中国語の文法学習は複雑な変化形を覚えたりするようなものではないからです。
中国語では、文法学習は、漢字の"並ぶ順番"を覚えることなんです。
英語などの言語は複雑に単語が変化(動詞に~ingとつけたり)しますが、中国語ではそれがなく、単純に漢字を組み合わせていくその"組み合わせ方"が文法学習にあたります。
なので、文法と聞いても恐れる必要は全くありません。
また、個々の単語がわからなければ何も始まらないので、単語集を使っての単語暗記も同時に進めていきましょう。
それと、中国語の文法学習は単純とは言ったんですが、たまにわかりにくい事項が絶対に出てくるので、文法が詳しく書かれた本を1冊用意しておき、たまにそれを参照するという形で使っていきます。
それでは
- 文法を学習する
- 文法でわからないことがあれば調べる
- 単語も同時進行で覚える
という3つそれぞれについて、おすすめの勉強方法を紹介していこうと思います。
文法を学ぶ
文法学習は、基本的に文法(=漢字の並ぶ順番と意味)を覚え、あとはそれを例文を音読していく中で体に染み込ませていく、という方法で勉強していきます。
なので、ここで使う参考書は、文法の解説と、それを使った例文が載っていて、しかもCD音声も付いているものです。
徹底的にリサーチを重ねた結果、選択肢は2つに絞れました。
まずは、『ゼロからスタート中国語』です。
『文法編』と『文法応用編』の2冊が出ていますが、これを使う場合は必ず2冊とも勉強してください。
1冊だけやると中途半端になってしまうので注意。
1冊目の『文法編』から順番にやっていきます。
最初に簡単に発音のトレーニングができるようになっていますが、発音はこの時点でもう完璧になっていますね。飛ばします。
そのあとは、あいさつフレーズから始まり、各文法事項の説明と例文、詳しい解説が載っています。
使う際の注意点としては、必ずCDで音声を聞き、さらに例文を音読してください。中国語では音声がとにかく大事なんです。
さて、もうひとつの選択肢ですが、これは『本気で学ぶ中国語』シリーズです。
実は、個人的には本当はこれがいちばんおすすめです。
ではなぜ、最初に『ゼロからスタート中国語』を紹介したのかというと、『本気で学ぶ中国語』は、タイトルからも想像がつくように、かなり"ガチな参考書"になってます。
分厚い本です。かなりのボリューム感があります。
しかしその分内容はなかり充実しています。
最初にその課のテキストが載っていて、その後に文法事項の解説が続きます。
例文がとてつもなく豊富で、しかもそれらすべてにもれなく音声がついています。
音声を聞いて、自分で音読をすることで、文法を体に染み込ませてしまいましょう。
この本も続編が出ています。それが『本気で学ぶ中級中国語』です。
『本気で学ぶ中国語』をメインで使っていこうという人は、こちらの続編も絶対に消化してください。
ここまでやれば、実用レベルでの文法事項は制覇したことになります。
さきほど紹介した『ゼロからスタート中国語』は、『本気で学ぶ中国語』ほど到達点が高くはありません。
なので、中国語検定で言うところの3級~2級程度が最終目標の人は『ゼロからスタート』を、中検準1級からそれを超えたレベルを目指していく人は『本気で学ぶ』をメインのテキストとして使っていきましょう。
文法を調べるための総合教材
中国語の文法は簡単なものであると書きましたが、時にはどうしても詳しい説明が必要になってしまうときがあります。
そういうときのために、文法のことならなんでも載っている総合教材を1冊手元に用意しておきましょう。
これには『Why?にこたえるはじめての中国語の文法書』を使うのがベストです。
この本は、中国語を勉強する人は全員必ず手元に置いておかなければなりません。超おすすめです。
なかなか分厚い文法書で圧倒されてしまいそうですが、中を開いてみると意外と字が大きく、また、説明も難しい言葉は使っておらず、文体も講義調だったりして非常にわかりやすいです。
本の最後に索引が載っているので、文法テキストで学習をしている最中、どうしても納得のいかない文法事項があれば、そこから調べて該当箇所を読んでいくようにしましょう。
また、これを順番に読んでいくという勉強法もアリです。
普通は、文法書というのは参照して使うもので通読には向かないのですが、この本は読みやすいのでどんどん読んでいくことができます。
文法テキストを使った学習&単語暗記がもちろん学習の中心ですが、たまに勉強に疲れてきたらこの本を読んでみるのも良いでしょう。
おすすめの単語帳
さて、続いて単語帳です。
全く何も中国語の単語を知らない人が一番最初に取り組む単語帳としておすすめなのは、『クラウン 中国語単語600』もしくは『キクタン中国語 入門編』です。
- 作者: 和平,古屋昭弘
- 出版社/メーカー: 三省堂
- 発売日: 2015/03/11
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- 作者: 内田慶市,沈国威,氷野善寛,紅粉芳惠,関西大学中国語教材研究会
- 出版社/メーカー: アルク
- 発売日: 2008/05/27
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収録されている単語を見ると、あまり差がないのでどちらを選ぶのかは好みの問題になりますが、個人的には『クラウン』が好きです。例文の質が『キクタン』よりも実用的な気がします。
ただ、『キクタン』は入門編の後にも初級編→初中級編→中級編→上級編のシリーズが続いていて、中検の準1級レベルまで1単語のかぶりもなくボキャブラリーを積んでいくことができます。
なので、上級レベルを最終的に目指したいと思っている人は『キクタン』を使った方がいいでしょう。
(参考記事)
⇒中国語の単語帳おすすめリスト!ランキング形式で紹介します!
⇒『キクタン 中国語』の使い方を徹底解説!これが最良の覚え方だ!
番外編
今まで書いた学習方法があくまでメインなのですが、教科書的なテキストだけでずっと勉強していると、ネイティブが普段使うような会話表現のストックがどうしても足りなくなってしまいます。
なので、日常生活でまさに使いそうな表現が掲載されており、覚えるだけでそのまま使えるような"便利なフレーズが詰まった会話集"を1冊やっておくと効果的です。
おすすめの会話フレーズ集については、難易度と共にランキングトップ10を作ったので下の記事をぜひ参考にしてみてください。
また、ここまで中国語の学習方法について詳しく書いてきましたが、
「いきなり教材を買いそろえて始めるのはちょっと・・・。」
という人もいるかと思います。
そういう方については、まず『中国語のしくみ』を1回ざっと読んでから本格的な学習に取り組むか決めるのがおすすめです。
この本では、中国語を全く勉強したことのない人を想定し、なるべくわかりやすく中国語についてざっくり概要を説明しています。
なので、これから中国語を勉強したいと思っている人が、まずざっとその概観を把握するのにはもってこいの本であるといえます。
まとめ
というわけで今回は中国語をゼロからはじめる初心者の学習方法についてまとめてみました。
もう一度最後に整理しておくと、
- まずは発音をマスターする
- 文法学習&単語暗記
- わからないことは文法書を参照する
- 日常会話表現が不足しがちなのでそれを補うトレーニングも必要に応じて行う
という感じです。
ここまでやればその後にどんな方向に学習を進めようと、基礎がしっかりしているので、目標を楽に達成してしまうと思います。
(その他の中国語関連記事はこちらから!)
ジェニファー・ローレンス主演映画『JOY/ジョイ』は絶対に日本公開するべきだと思う【レビュー】
※重要なネタバレは含みません
2015年のアメリカ映画『JOY』を見ました。
予告編はこんな感じ。
JOY | Official Trailer [HD] | 20th Century FOX
実際の話を元にしている
この映画は、ジョイ・マンガーノという実在の人物の人生を元にしています。
ジョイ・マンガーノはアメリカの起業家であり、また発明家です。
この人の発明品の中で最も有名なのが「ミラクルモップ」。
これは、手を汚すことなくモップを絞ることができ、さらにモップの拭く部分を取り出して洗えるというものです。
今では当たり前なこれらの機能ですが、ミラクルモップが開発されるまでは、手でモップを絞り、普通にキッチンのシンクで細菌だらけのモップを洗っていたわけですね。
ちなみにジョイ・マンガーノ本人はこんな人です。
Joy Mangano & Macy’s: Huggable Hangers
『世界にひとつのプレイブック』の3人
今回の『JOY』では、主人公のジョイが、ミラクルモップを開発し、億万長者になるまでが描かれています。
主人公ジョイを演じるのはジェニファー・ローレンス。
この人は、『世界にひとつのプレイブック』という映画で、アカデミー賞主演女優賞を受賞したことで話題になりましたね。
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実は、『JOY』はこの『世界にひとつのプレイブック』と深い関係があります。
というのも、『世界にひとつのプレイブック』の監督はデヴィッド・O・ラッセル、主演がジェニファーローレンスとブラッドリー・クーパーでしたが、今回の『JOY』でもこの3人が再びチームを組んでの製作となっているんです。
前半はコメディ
ジョイは最初から大金持ちだったわけではありません。2人の子供を持つシングルマザーで、航空会社の搭乗受付員をしています。
働きながら育ち盛りの子供の世話をするだけでも大変なのに、家では離婚した両親が毎日のように喧嘩をしており、しかも姉のペギーともうまくいっていません。さらに、地下に離婚した元夫(自称歌手)も暮らしているという見事なカオスっぷり。わけわかんねぇ。。
そんなめちゃくちゃな状況をジョイが一人で仕切っていかなければならないという状況なんですが、これが不思議、悲壮感が全くないんです。
むしろ、クスッと笑ってしまうようなシーンが多いんですよ。
これは『世界にひとつのプレイブック』でもそうでした。
世界にひとつのプレイブックでも、救いようのないような人がたくさん出てきますが、普通の映画だったらそれが悲しいムードを作り出してしまうところを、どこかのほほんとしたような雰囲気の、たまにちょっと笑えるコメディにしていました。
そして、この雰囲気を作ることに成功しているのは、紛れもなく主演のジェニファー・ローレンスの演技力と言って間違いないでしょう。
この映画の後半では、ジョイの発明品が売れて、大金持ちへとなっていく過程が描かれていきますが、そこも含め、つまり、最初の悲愴感ある設定を設定を崩さずにコメディにする力、また後半のアゲアゲになっていく映画全体のムードの切り替わり、すべてを含めた要素に、ジェニファーローレンスの演技力が大きな役割を担っているんです。
この人は、持ち前の明るさや、ひょうきんでおどけた感じはもちろん、力強い演技、シリアスな演技、はたまた女の弱さを垣間見せるシーン、すべてができてしまうんです。
その意味で、今回のようないかにも成功しなさそうな境遇にいる主人公が成功を掴んでいく映画にはまさにピッタリの配役だったといえるでしょう。
ジェニファー・ローレンスが過去に演じた、力強さと弱さを兼ね備える主人公としては、『ハンガー・ゲーム』の主人公カットニスをまず思い出しますが、今回の『ジョイ』の方が本来の良さを存分に発揮できるキャラだったのではないでしょうか。
後半の盛り上がりが気持ちよすぎる
そんな全く余裕のない毎日の生活に追われていたジョイですが、ある日、割れたガラスをモップで掃除している最中、モップを絞ったときに手を切ってしまいます。
そのときに閃いたアイデア、それが「ミラクルモップ」。
売れるまでには数々の困難があり、そこもこの映画の見所なんですが、ぼくが注目したいのは、モップが飛ぶように売れていくシーン。
ジョイの努力がとうとう報われた!というカタルシスはもちろんですが、ビジネスがどんどん盛り上がっていく様子のテンポが良すぎて見ていて純粋に気持ちがよかったです。
ぼくはこのような、ごく普通の人間が始めたビジネスがどんどん盛り上がっていき、億万長者になっていくようなシーンがある映画が大好きなんです。
たとえば『ソーシャル・ネットワーク』。
ただの学生が思いつきで始めたサイトがどんどんどんどん成長していき、世界を変えてしまうくらいの影響力を持つサービスになっていく過程が見ていてスカっとします。
ちょっと残念だったところ
主人公のジョイがあまりに魅力的すぎて、映画を見終わった今、他のキャラクターの記憶がほとんどないんです笑。
ロバートデニーロやブラッドリークーパーといった名だたる名優が出演しているにもかかわらず、です。
『世界にひとつのプレイブック』で、ジェニファー・ローレンスとブラッドリー・クーパーのかけあいが良かったなと思った自分としては、そこが少し残念でしたね。もはやこの映画ではブラッドリー・クーパやロバートデニーロが単なるチョイ役だったと言ってもいいくらいですね。。
とはいえ、全体的に言って、全体を通して楽しめる良映画でした。
この映画、なんとまだ日本公開が決まっていません。大人の事情はよくわかりませんが、このすばらしい映画が日本でも早く公開されることを願っています。
(追記:DVD&ブルーレイが発売されたようです)
ジョイ 2枚組ブルーレイ&DVD(初回生産限定) [Blu-ray]
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- 発売日: 2017/02/22
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工業英検の勉強は『工業英語ハンドブック 基礎例文・単語集』から始めよう!
かっこいい技術系の英文が書けるようになりたいなと思い、工業英検を受験しようと決めました。
しかし、工業英検は英語系資格の中でもマイナーな位置づけということもあり、
一体何から勉強していいのかわからない!
という状況だったんです。
ところが先日、『工業英語ハンドブック』という参考書を見つけ、この本が、"これから工業英検の勉強を始める人が最初に消化したい本"としてベストだなと思ったので今回紹介していきたいと思います。
本の内容
この本は、大きく分けて2つのパートに分かれており、前半が例文集、後半が単語集になっています。
まず、前半の例文集ですが、ここでは工業英検3・4級で過去に実際に出題された和文英訳の問題を含む500の例文が、左ページに英文、右ページにその日本語訳というレイアウトで載っています。
問題は、最初の方は
Drill a hole in this panel.
このパネルに穴をあけなさい。
のような比較的簡単な文なんですが、後半に進むにつれてだんだんと
The gasoline-and-air mixture is drawn into the cylinder, compressed, and ignited by a spark.
ガソリンと空気の混合気は、シリンダに送られ、圧縮され、火花によって点火される。
のような、かなり骨のある文になっていきます。
シンプルなレイアウトで例文がひたすら500文続いたあとは単語集になっています。
ここでは1600語の単語が載っています。
本書冒頭に
単語編では、専門にとらわれない工業英語の基礎的な単語をアルファベット順に計1600語網羅しています。
とあるように、「practically(=実際は)」のような技術系の文以外でも出てきそうな単語から、「project schedule(=工程表)」のような、いかにもテクニカルライティングの訓練用だなという単語まで掲載されています。
この本の良いところ
『工業英語ハンドブック』の良いところを紹介していきます。
まず、この本は工業英検を受験する人にとって最適な本となっています。というのも、この本は工業英検を実施している日本工業英語協会という組織が出版したものだからです。問題を作っている本家が「重要ですよ」と言っている例文・単語なので、もう絶対間違いないんですよ。「これって覚える価値あるのか?」といった、余計なことを考えずに学習を進めることができるんです。
次に、本のサイズとレイアウトがいいですね。全部で約130ページ程度で、大きさもポケットに収まってしまうくらいなので、携帯性に優れています。これなら満員電車の中でも楽々勉強できるでしょう。
レイアウトに無駄が一切ないというのも魅力です。ページの端とかに余計なことがぐちゃぐちゃと書いてある参考書って嫌いなんですよね。。
使い方
どのようにこの本を使っていくのかについてですが、これは和文英訳しかないと思います。
例文集は左側が英文、右側が日本語文になっているので、左側の英語を紙か何かで隠して見えないようにして、日本語を英語に訳していくというのが基本的な使い方です。
実際、工業英検では和文英訳が出題され、ここが受験者にとっていちばんの難関になっているので、工業英検を意識するという意味でも、和文英訳のトレーニングという形でこの本を消化するのがいいと思います。
また、例文を消化していく中で、わからない単語、特に専門用語に何回も遭遇することになりますが、これはあとで単語レベルで復習ができるように、その部分だけ赤ペンで線を引いておくと効果的です。
このように赤ペンで線を引いておけば、文全体を訳す復習以外にも、時間がないときなどは単語のみで復習ができるようになります。
本の後半の1600語の単語リストですが、1600という語数は少し多い気もするので、覚えたい単語のみマーカーでチェックするなどして、少しずつ覚えていくのがよい方法だと思いますね。
まとめ
というわけで今回は工業英検の勉強を始めた人が最初に取り組む参考書としておすすめの『工業英語ハンドブック』について紹介してみました。
本書冒頭に
一般英語から工業英語へと学び始める際の補助テキストとして利用することができます。
とあるように、英語自体は勉強してきたけれど、工業英語の勉強はどうしたらいいのかわからないという人が、工業英語の世界にスムーズに入っていくのを助けてくれるような内容でした。
あ、一点だけ注意点として言い忘れていましたが、このテキストには音声も発音記号もついていないので、正しい発音がわからない場合は電子辞書の発音機能などを使って各自調べるしかないです。
ただ、発音についてはもうだいたい大丈夫なので発音記号などはついていない方がいいという人もいるでしょうし、そうでない人でも、このデメリットを考えてもおすすめできる内容です。
工業英検の受験を考えている人はぜひ使ってみてください!
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英日通訳では日本語力を伸ばす練習も必要っぽいですねという話。
日本語がしゃべれない!
こんにちは、通訳スクールに通ってトレーニングしているかずーいです。
学校に通いはじめてから約1ヶ月が経ちました。
スクールで数回授業を受け、また、自宅での英語学習も通訳することを意識したトレーニングにシフトさせてやってきましたが、その中でいくつか(というか山ほど)課題が見えてきました。
その中でもいままで盲点で、すぐさま取り組まなければいけないなと思っているのが日本語力の向上です。
日英通訳のときはまだ大丈夫なんですよ。日本語を聞き、意味を理解できればいいわけですから。
ただ問題なのは英日翻訳のときです。
英日翻訳って、聞こえてくる英語を理解することが出発点としてまず大事なんですが、実際にやることは「日本語をしゃべること」なんです。
日本語なんか普段しゃべっているんだから大丈夫なんじゃない?と思われるかもしれませんが、これが難しいんですよ。
というのも、通訳で扱うことの多い内容は、国際会議やニュースなどの専門性の高いものが多くなっており、これらは日本語でも普段話す機会の少ないトピックだからです。
普段声に出して話していないようなことを、しかも英語を訳して話すというのはどう考えても無理です。ある程度専門性の高い分野で通訳をするには、日本語力も必要だということなんです。
というわけで今回は通訳者を目指す人が日本語力を向上させるためのトレーニングを紹介していきたいと思います。
※この記事はぼくの通っている通訳スクールの内容とは一切関係がなく、あくまで個人の見解です。
本・新聞を読む
英日通訳の際に役立つ日本語力を鍛えるには、まずしっかりとした内容のある日本語に多く触れていくことが大前提になってきます。
そのための方法がずばり日本語を読むことです。
ただし、どんなものでもいいからとにかく本を読めばいいのかといえばそうでもなく、
- ノンフィクション
- 専門性のある程度高いもの
の2点は最低限満たしている必要があります。
1のノンフィクションですが、小説を読んでも通訳トレーニングには効率が悪いです。日本語の力を伸ばすという意味では小説もある程度は役に立つかもしれませんが、小説の場合、知識を吸収することができなくなります。通訳トレーニングには知識を身に付けるというのも大事で、ノンフィクションの本を読むと、日本語力が上がると同時に知識も身に付けることができるのです。
2については、種々雑多なことが書いてあるエッセイよりも、ひとつのテーマが決まった専門性のある本の方が向いているということす。個人的には、岩波新書なんかは中身がしっかりしていて、またサクッと読めるのでおすすめです。
また、新聞を読むというのももちろんおすすめです。
ただ、今時紙の新聞を読んでいる人って、かなーり少ないんじゃないかと思います。深刻なオワコン化が進んでいますからね。内容も読んでいて面白くないです(個人の感想)。
なので、オンラインでニュース記事を読むというのが現実的な戦略になってくるでしょう。オンラインで記事を読みたくないという人は、仕方ないですが新聞を買うか、日本語を読む日を決めて、その日だけ集中して『エコノミスト』などの雑誌を通読するというのもありだと思います。
日本語のシャドーイング・リプロダクション
通訳者を目指している人は、日常的にシャドーイングとリプロダクションのトレーニングをしていると思いますが、これを日本語でもやるわけです。
ぼくは普段、Youtubeの動画を使って英語のシャドーイング・リプロダクションをやることが多いですが、日本語でもYoutubeの動画を使うのがよさそうです。
しっかりとした内容があり、知識も吸収できるという意味ではやはりニュースを教材として使うのがいちばんです。おすすめは『ANNnewsCH』と『NHKニュース』です。
このトレーニングはかなりおすすめです。ニュースは普段聞き慣れていると思いますが、いざ自分の口から発声するとなると、しっかりとした内容のある日本語を話すのがいかに難しいのかがわかると思います。
また、シャドーイングについては、以前英語シャドーイングについての記事でも書きましたが、放送の音に意識を向けたり、自分の声に意識を向けたりと、色々な方向から角度を変えてやっていくとより効果的です。
まとめ
というわけで英日通訳トレーニングでは日本語力を鍛えることも大切ですよねという話でした。
ノンフィクションの読書をすることと、日本語のシャドーイング&リプロダクションをする方法を紹介しましたが、上に挙げた方法以外にも、普段からしっかりとした日本語を話すように意識するのも大切だと思います。
「詳しい詳細」
「頭痛が痛い」
など、おかしい日本語を使わないようにしたり、また、
「あれだよ、あれ。ほらあれ。」
を無くして、ちゃんとその名前を言うように意識するのも大事だと思います。
実際の通訳では「あれ」とか言ったら一発でアウトですからね笑。
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